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DAY5
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「さっきの話だけど、“さわられても勘違いするな”ってことが言いたいんなら、承知した」
結局どう伝えれば良いかわからず、ひどく直截なもの言いになってしまった。
水元がはっきりとうろたえる。
「そういう意味で言ったんじゃないよ」
「介助のために俺にさわるけど、それは感情抜きだって話だろう?」
「それは……そうだけど……そんなふうに聞こえたか? 釘を刺すみたいな」
響野は手の中のスマホを表に向けた。そろそろ伯母からの伝言を実行したほうが良さそうだった。
「いや……今のは俺の言い方が悪かった」
錆びついた頭を無理矢理動かして、思い付いた中でもっとも穏当そうな言葉を選ぶ。
「水元には感謝してる。ここ数日だけで一生分くらい世話になった。今も不満を言ったわけじゃなくて、“了解”と伝えたかったんだ。うまく言えなかったけど」
水元からは迷うような沈黙が返ってきただけだった。響野の発言が本心からのものか判断がつきかねているのかもしれない。
「電話するよ」ともう一度言うと、ようやく「うん」と応答がある。
「じゃあ、一階にいるから、何かあったら呼んで。大声を出すのがつらいようだったらLINEや電話をくれてもいい」
結局どう伝えれば良いかわからず、ひどく直截なもの言いになってしまった。
水元がはっきりとうろたえる。
「そういう意味で言ったんじゃないよ」
「介助のために俺にさわるけど、それは感情抜きだって話だろう?」
「それは……そうだけど……そんなふうに聞こえたか? 釘を刺すみたいな」
響野は手の中のスマホを表に向けた。そろそろ伯母からの伝言を実行したほうが良さそうだった。
「いや……今のは俺の言い方が悪かった」
錆びついた頭を無理矢理動かして、思い付いた中でもっとも穏当そうな言葉を選ぶ。
「水元には感謝してる。ここ数日だけで一生分くらい世話になった。今も不満を言ったわけじゃなくて、“了解”と伝えたかったんだ。うまく言えなかったけど」
水元からは迷うような沈黙が返ってきただけだった。響野の発言が本心からのものか判断がつきかねているのかもしれない。
「電話するよ」ともう一度言うと、ようやく「うん」と応答がある。
「じゃあ、一階にいるから、何かあったら呼んで。大声を出すのがつらいようだったらLINEや電話をくれてもいい」
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