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DAY5
2
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「さっき、佳子さんから電話があって」
言いながら、水元がベッドのはしに腰かける。
響野は肘をついて上半身を起こそうとした。
身体もやけにだるかった。重力と綱引きするようにのろのろと動いていると、「大丈夫か?」と声がして水元の腕が背中を支える。助け起こしてもらって、ようやく自分の身体をベッドの上で安定させることに成功した。
「響野に電話したけど、つながらないから俺のほうにかけ直してきたみたいなんだ。山崎さんって知ってる?」
「自動車保険の?」
「わからないけど、そうかな? とにかくその人の件みたいだったよ。連絡するように伝えてくれって頼まれた」
わかった、と響野はうなずいた。スマホを探して枕元に顔を向けると、察したように水元が見つけて渡してくれる。
「ありがとう」
どういたしまして、と相手は言った。
「しんどそうだな。薬のせい?」
「かもな。……ぼんやりする」
響野は手のひらで目をこすり、何か言いたげな様子で沈黙している水元をもう一度見た。ベッドに腰かける相手の姿は、ピンぼけのままだ。先ほどあんなにくっきりと見えたように感じたのは気のせいだったのだろうか。
「どうかした?」
スマホを手にしたまま固まっている響野をいぶかしんだのか、水元はたずねる。
言いながら、水元がベッドのはしに腰かける。
響野は肘をついて上半身を起こそうとした。
身体もやけにだるかった。重力と綱引きするようにのろのろと動いていると、「大丈夫か?」と声がして水元の腕が背中を支える。助け起こしてもらって、ようやく自分の身体をベッドの上で安定させることに成功した。
「響野に電話したけど、つながらないから俺のほうにかけ直してきたみたいなんだ。山崎さんって知ってる?」
「自動車保険の?」
「わからないけど、そうかな? とにかくその人の件みたいだったよ。連絡するように伝えてくれって頼まれた」
わかった、と響野はうなずいた。スマホを探して枕元に顔を向けると、察したように水元が見つけて渡してくれる。
「ありがとう」
どういたしまして、と相手は言った。
「しんどそうだな。薬のせい?」
「かもな。……ぼんやりする」
響野は手のひらで目をこすり、何か言いたげな様子で沈黙している水元をもう一度見た。ベッドに腰かける相手の姿は、ピンぼけのままだ。先ほどあんなにくっきりと見えたように感じたのは気のせいだったのだろうか。
「どうかした?」
スマホを手にしたまま固まっている響野をいぶかしんだのか、水元はたずねる。
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