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DAY4
4
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彼が何も気付いていないということはない気がするから、しらばっくれているのか、響野がふざけたと思っているのかもしれない。
相手の態度に変化がないことにホッとする一方で、胸の奥のつかえは徐々に重みを増していた。
結局、夕食のグラタンは半分も喉を通らず、響野は理由を説明するのに苦労しながら料理を残したことをあやまった。
* * * * *
朝、起きて最初におこなうことが視力のチェックになって早くも三日が経とうとしていた。
目が覚めると、まず枕元のあたりをながめてから顔の前に手をかざしたり、室内を見渡したりして見え方を確認する。
視力の回復は順調そうだ。視界に映る物体の色と輪郭が昨日よりずっとはっきり見えていることがわかって、響野は安堵のため息をついた。
ただし、ピントが合っていないのか、洋服の柄や文字などの比較的小さな映像を見分けることはできなかった。
スマートフォンを起動してみると、こちらも画面がぼやけてほとんど見えない。近視のように物と眼の距離を近づければ見やすくなるというわけでもないらしい。
音声アシスタントが水元からのLINEが届いていることを告げた。
紙のメモなどは使えないので、伝えたいことを直接言えないときはLINEを連絡手段にすると取り決めている。それがきているということは、向こうはもう家を出たのだろう。
相手の態度に変化がないことにホッとする一方で、胸の奥のつかえは徐々に重みを増していた。
結局、夕食のグラタンは半分も喉を通らず、響野は理由を説明するのに苦労しながら料理を残したことをあやまった。
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朝、起きて最初におこなうことが視力のチェックになって早くも三日が経とうとしていた。
目が覚めると、まず枕元のあたりをながめてから顔の前に手をかざしたり、室内を見渡したりして見え方を確認する。
視力の回復は順調そうだ。視界に映る物体の色と輪郭が昨日よりずっとはっきり見えていることがわかって、響野は安堵のため息をついた。
ただし、ピントが合っていないのか、洋服の柄や文字などの比較的小さな映像を見分けることはできなかった。
スマートフォンを起動してみると、こちらも画面がぼやけてほとんど見えない。近視のように物と眼の距離を近づければ見やすくなるというわけでもないらしい。
音声アシスタントが水元からのLINEが届いていることを告げた。
紙のメモなどは使えないので、伝えたいことを直接言えないときはLINEを連絡手段にすると取り決めている。それがきているということは、向こうはもう家を出たのだろう。
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