91 / 446
DAY4
1
しおりを挟む
伯母の片桐佳子は、母の双子の姉だった。
一卵性双生児で、子供の頃のふたりは周囲には見分けがつかないほどよく似ていたらしい。
もっとも大人になってからの母と佳子しか知らない響野には、彼女たちがそれほど似ているようには思えなかった。
母は母であり、伯母は伯母である。
佳子と顔を合わせる機会はそれほど多いわけではなかったが、ふたりとも髪型などは違っていたし、顔にあるホクロの数と位置も違っていた(母のほうが少し多いようだった)。
それに伯母は、母があまり着ない黒っぽい服を好んで着ていた。
* * * * *
昨日の夕方、響野が電話をかけると、佳子のスマートフォンは何コール目かのあとで留守番電話に切り替わった。
まだ仕事中なのだろう。
ふと気遅れを感じて切りかけたが、一応自分の名前と「またかけ直します」というメッセージを吹き込んだ。
水元に請け合った約束が宙ぶらりんになっているのを感じながら、響野は手の中のスマホを意味もなく裏返し、また表に向ける。
親戚という言葉は、自分にとっては母方の祖母と、母の姉である佳子のことを指していた。
一卵性双生児で、子供の頃のふたりは周囲には見分けがつかないほどよく似ていたらしい。
もっとも大人になってからの母と佳子しか知らない響野には、彼女たちがそれほど似ているようには思えなかった。
母は母であり、伯母は伯母である。
佳子と顔を合わせる機会はそれほど多いわけではなかったが、ふたりとも髪型などは違っていたし、顔にあるホクロの数と位置も違っていた(母のほうが少し多いようだった)。
それに伯母は、母があまり着ない黒っぽい服を好んで着ていた。
* * * * *
昨日の夕方、響野が電話をかけると、佳子のスマートフォンは何コール目かのあとで留守番電話に切り替わった。
まだ仕事中なのだろう。
ふと気遅れを感じて切りかけたが、一応自分の名前と「またかけ直します」というメッセージを吹き込んだ。
水元に請け合った約束が宙ぶらりんになっているのを感じながら、響野は手の中のスマホを意味もなく裏返し、また表に向ける。
親戚という言葉は、自分にとっては母方の祖母と、母の姉である佳子のことを指していた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
33
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる