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友達と約束
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チチチと、小鳥がさえずる声が聞こえ、クーはゆっくりと目を覚ました。カーテンの隙間から朝日が差し込んでいるのを見て、あのまま朝まで眠ってしまったのだと理解した。
体を起こすと、前に置かれた机に食事と置手紙がある事に気が付いた。綺麗な筆跡で描かれたそれは、アカネからのものだった。
〔こちら、朝食になります。お召し上がりになりましたら、暫くお部屋で待機していただきますよう、お願いいたします〕
手紙を読み、改めて机の上を見る。拳大のおにぎりが二つと、水筒が黒色のものと白色のものの二つがある。黒色の水筒の蓋を開けると、中にはみそ汁が入っており、もう一方には麦茶が入っていた。双方とも蓋は器も兼ねており、中身を注ぎ淹れる。みそ汁の湯気が立ち上り、良い匂いが部屋に漂った。それはクーのお腹も刺激し、盛大に音を鳴らした。空腹を満たすべく、クーはすぐにそれらを口に運んだ。どちらも彼女にはあまり馴染のない料理だったが、とても美味しかった。
朝食を取り、水筒に入った麦茶を飲みながら部屋で待っていると、ノックの音が聞こえてきた。クーが扉を開くと、アカネが静かに佇んでいた。
「おはようございます。昨晩はごゆっくりと出来ましたでしょうか?」
「お、おかげさまで」
そう言えば、後程食事を持ってくると言っていたが、朝まで寝ていたとなれば、彼女に無駄足を運ばせてしまったのではないかと、クーは申し訳ない気持ちになった。だがアカネは特に気にした様子もなく微笑みを浮かべた。
「それは良かった。朝食はお口に合いましたでしょうか?」
「は、はい。あ、あの。とても、美味しかったです」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げたアカネ。どことなく嬉しそうに映るその様子から、あれは彼女の手作りだったようだ。
「こちらこそ、ありがとうございます」
クーも頭を下げて、お礼を言う。互いに顔を上げると、再びアカネが口を開いた。
「マーニ様。昨日の件について、隊長がお話ししたいとのことです。ご足労頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。わかりました」
クーはそのまま、廊下へと足を伸ばす。アカネは「それではこちらへ」と、彼女に背を向けて歩き出し。クーはその後を追った。
昨日と同じように突き当りの階段まで行き、下へと降りる。その先にもう階段は無く、ここが一番下のフロアのようだ。ひと気のなかった昨日と違い、今のクーが来ているものと同じような服を身に付けた男女と何度かすれ違った。彼らは皆、アカネに連れられたクーに対し物珍しそうな視線を向けており、クーはばつが悪かった。
玄関を通り、外へと出る。ここが寮だというのは、昨日説明された。そことは別の建物が二つ、正面と左手にあった。アカネが正面の建物を目指した。
寮と同じく玄関を通り抜け、廊下を進むとやがて仰々しい扉が見えてきた。
「こちらが、隊長の執務室になります」
クーに説明すると、アカネはすぐに扉をノックした。
「隊長。ヒナタです。マーニ様をお連れしました」
「ありがとう。入ってくれ」
扉の向こうから聞こえてきたのは、昨日少しだけ言葉を交わしたマイの兄、エンドゥのものだった。アカネが扉を開くと、最初に木製の長いテーブルが目に入る。それを挟んだ席にエンドゥとマイがいた。
「マーニ様。どうぞ」
アカネが入室を促すと、クーは恐る恐るその中へと足を踏み入れた。
「それでは、私は失礼いたします」
アカネは頭を下げると、扉を閉める。部屋の中に入ったクーはどうすればいいかわからず、その場で立ちつくしていた。
「とりあえず、ここに座りなさい」
マイが声を掛けると、クーは少しだけ安心したように、彼女の横へと腰掛けた。
「えっと、マイ。もう大丈夫なの?」
「うん。もうばっちり。さすがアカネさんだね」
マイが元気だと示すように、腕を曲げ伸ばしする。昨日打たれた針も、全て抜かれたようだ。
「彼女の活針術はピカイチだからね。任務でも良くやってくれてるよ」
マイの前に座るエンドゥは、ティーカップにお茶を注ぎ、マイとクーに差し出した。マイはすぐにそれに口を付けると、渋い顔を浮かべた。
「お兄。これまずい。アカネさんに任せた方が良かったんじゃないの?」
「いや。そこまで彼女の世話になるのも……ただでさえ、色々やってもらってるのに」
申し訳なさそうな顔を浮かべるエンドゥ。クーもお茶を口に含むが、確かに渋みが強く、あまり美味しいとは言えない出来だった。
「それより本題に入ろう。マーニくん、君は光の勇者だそうだね」
エンドゥの言葉に、クーは驚いて、カップを落としそうになる。昨日彼には、魔物に襲われた所をマイに助けてもらった事と、研究所もまた襲われ、ここに逃げてきたという事しか伝えていない。意図的に素性を隠した訳ではないが、まるで嘘を見抜かれたかのようで、クーは怯えるように固まってしまった。
「いや。別に責めている訳じゃあないんだ。ただ確認したかっただけで……」
クーの態度に、エンドゥは慌てたように弁解する。マイは二人の様子などどこ吹く風と、お茶請け用のお菓子に手を伸ばしていた。
「光の勇者は皆が待ち望んでいた存在だ。だのに、どこからも報告がなかったのが気になってね」
「……私にこの紋章が出てきたの、ほんの五日前なんです」
紋章が発現し、町長に旅立つように促されたのが五日前。冒険の準備を整えたのが四日前。心配する両親を前に強がって、町を出たのが三日前。魔物から逃げに逃げ、町から一番近い村に到着したのが一昨日。そして昨日、魔物退治を引き受け、マイに出会った。
「私の故郷、こことはかなり離れてますし、そのせいで、報告がなかったんじゃないでしょうか」
クーが自分の考えを伝えると、隣にいたマイが、盛大なため息をついた。
「なんかさ、あんたの町の町長って、随分無責任ね。待望の勇者が現れたなら、まずは国の王様に謁見させるのが筋でしょ」
「そうなの?」
クーの言葉に、マイは「当然でしょ」と返した。
「紅い月は、国どころか大陸全土にわたる問題なの。それを一個人で解決させるなんて、いくら勇者だからってできっこないでしょ」
「え、えっと……」
「もう一つ。言い伝えでは、紅い月の出現と同時に、魔王が復活するって言われている。じゃあ、その魔王っていうのはどこにいるの? あんたは勇者になって五日かもしれないけど、紅い月は現れてから三か月くらい経ってる。にも関わらず、魔王が現れたなんて話は聞いたことがない。そうでしょ?」
マイの問いかけにエンドゥは頷く。思えばクーも、狂暴化した魔物の話は聞けど、魔王が現れたという話は聞いたことがなかった。
「あたしが町長だったら、まずは王様に会いに行かせる。あんたの身に何かあったらいけないし、当然護衛を付けてね。さらに、なるべく早く着けるように馬車か、海路があれば船を使うわ。それで、自分の町で勇者が出たって事実を利用した、町おこしでもするわね。勇者が生まれた家とか通っていた学校とか、勇者まんじゅうや勇者クッキーなんて作って、大儲けを狙ったり……」
「マイ。その辺で。話がずれてるよ」
兄に窘められ、マイはハッとして、気を取り直すように咳払いを一度した。
「とにかく。少なくとも安っぽい剣一つ渡して、「さあ魔王を退治しに行きなさい」って一人放り出すなんて無責任な真似、まともな大人ならしないってこと」
マイの指摘は最もだと、クーは思った。自分に勇者の紋章が現れたとしても、それまでは戦いとは無関係な学生だったのだ。それをいきなり剣と防具を渡して、訓練もせずに外へ出すなど、死にに行けと言っているのと同じことだ。
「……まあ、その辺りの真意は、当人に確認しない事には何とも言えないね」
エンドゥはそれで話をまとめ、自分の淹れた紅茶をすすった。渋い顔を浮かべる所を見ると、彼自身も失敗したと思ったようだ。
「それで、君はマイの研究を手伝い、その力の詳細を解明する。そして自分の力を失くしたり、誰かに譲ったりしたいって考えている。間違いないかい?」
「はい…………ダメ、でしょうか?」
恐る恐る伺うクーに、エンドゥは首を横に振った。
「全然。むしろ、その力が多くの人が宿せるなら、これ以上の事はない。応援するよ」
エンドゥの後押しに、クーはホッとした。望んでも得られないような力を捨てたいと言うのは、往々にして非難されると思ったからだ。国や町を守るような騎士の立場にある人は特に、そういう考えだと思い込んでいた。
「それじゃあ早いところ、マイの研究所を何とかしないとね」
エンドゥは腰を上げて、席を立つ。クーが入ってきた扉とは反対に向かうと、そこには普段使っているであろう机があり、彼はその後ろで腰を落とした。
「マイ。昨日の魔物について、もう一度確認してもいいか?」
「うん。見た目はキラーベアとそっくりだけど、普通のやつより二倍くらいの大きさ。瞳に月の模様があって、弱点は地属性。弱ると体を変化させて、火を纏う。かなり頑丈だから、生半可な攻撃じゃ弾かれるよ」
「了解」
机の後ろから、再びエンドゥが姿を現す。立派な弓と矢筒を携え、まさに戦う者の姿だった。
「それじゃあ、行ってくるよ。吉報を期待していてくれ」
「魔物を退治したって報告なら、吉報とは言えないよ。いつもの事だもん」
にやりと口角を上げたマイに、エンドゥも笑みを浮かべ、二人を残して部屋を後にした。
「それじゃあ、あたし達も行こうか」
マイはすぐに席を立ち、エンドゥと同じように部屋の外へと出ていった。クーも後に続いて、二人は廊下を歩く。玄関を抜けると、マイは右の建物を目指した。
体を起こすと、前に置かれた机に食事と置手紙がある事に気が付いた。綺麗な筆跡で描かれたそれは、アカネからのものだった。
〔こちら、朝食になります。お召し上がりになりましたら、暫くお部屋で待機していただきますよう、お願いいたします〕
手紙を読み、改めて机の上を見る。拳大のおにぎりが二つと、水筒が黒色のものと白色のものの二つがある。黒色の水筒の蓋を開けると、中にはみそ汁が入っており、もう一方には麦茶が入っていた。双方とも蓋は器も兼ねており、中身を注ぎ淹れる。みそ汁の湯気が立ち上り、良い匂いが部屋に漂った。それはクーのお腹も刺激し、盛大に音を鳴らした。空腹を満たすべく、クーはすぐにそれらを口に運んだ。どちらも彼女にはあまり馴染のない料理だったが、とても美味しかった。
朝食を取り、水筒に入った麦茶を飲みながら部屋で待っていると、ノックの音が聞こえてきた。クーが扉を開くと、アカネが静かに佇んでいた。
「おはようございます。昨晩はごゆっくりと出来ましたでしょうか?」
「お、おかげさまで」
そう言えば、後程食事を持ってくると言っていたが、朝まで寝ていたとなれば、彼女に無駄足を運ばせてしまったのではないかと、クーは申し訳ない気持ちになった。だがアカネは特に気にした様子もなく微笑みを浮かべた。
「それは良かった。朝食はお口に合いましたでしょうか?」
「は、はい。あ、あの。とても、美味しかったです」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げたアカネ。どことなく嬉しそうに映るその様子から、あれは彼女の手作りだったようだ。
「こちらこそ、ありがとうございます」
クーも頭を下げて、お礼を言う。互いに顔を上げると、再びアカネが口を開いた。
「マーニ様。昨日の件について、隊長がお話ししたいとのことです。ご足労頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。わかりました」
クーはそのまま、廊下へと足を伸ばす。アカネは「それではこちらへ」と、彼女に背を向けて歩き出し。クーはその後を追った。
昨日と同じように突き当りの階段まで行き、下へと降りる。その先にもう階段は無く、ここが一番下のフロアのようだ。ひと気のなかった昨日と違い、今のクーが来ているものと同じような服を身に付けた男女と何度かすれ違った。彼らは皆、アカネに連れられたクーに対し物珍しそうな視線を向けており、クーはばつが悪かった。
玄関を通り、外へと出る。ここが寮だというのは、昨日説明された。そことは別の建物が二つ、正面と左手にあった。アカネが正面の建物を目指した。
寮と同じく玄関を通り抜け、廊下を進むとやがて仰々しい扉が見えてきた。
「こちらが、隊長の執務室になります」
クーに説明すると、アカネはすぐに扉をノックした。
「隊長。ヒナタです。マーニ様をお連れしました」
「ありがとう。入ってくれ」
扉の向こうから聞こえてきたのは、昨日少しだけ言葉を交わしたマイの兄、エンドゥのものだった。アカネが扉を開くと、最初に木製の長いテーブルが目に入る。それを挟んだ席にエンドゥとマイがいた。
「マーニ様。どうぞ」
アカネが入室を促すと、クーは恐る恐るその中へと足を踏み入れた。
「それでは、私は失礼いたします」
アカネは頭を下げると、扉を閉める。部屋の中に入ったクーはどうすればいいかわからず、その場で立ちつくしていた。
「とりあえず、ここに座りなさい」
マイが声を掛けると、クーは少しだけ安心したように、彼女の横へと腰掛けた。
「えっと、マイ。もう大丈夫なの?」
「うん。もうばっちり。さすがアカネさんだね」
マイが元気だと示すように、腕を曲げ伸ばしする。昨日打たれた針も、全て抜かれたようだ。
「彼女の活針術はピカイチだからね。任務でも良くやってくれてるよ」
マイの前に座るエンドゥは、ティーカップにお茶を注ぎ、マイとクーに差し出した。マイはすぐにそれに口を付けると、渋い顔を浮かべた。
「お兄。これまずい。アカネさんに任せた方が良かったんじゃないの?」
「いや。そこまで彼女の世話になるのも……ただでさえ、色々やってもらってるのに」
申し訳なさそうな顔を浮かべるエンドゥ。クーもお茶を口に含むが、確かに渋みが強く、あまり美味しいとは言えない出来だった。
「それより本題に入ろう。マーニくん、君は光の勇者だそうだね」
エンドゥの言葉に、クーは驚いて、カップを落としそうになる。昨日彼には、魔物に襲われた所をマイに助けてもらった事と、研究所もまた襲われ、ここに逃げてきたという事しか伝えていない。意図的に素性を隠した訳ではないが、まるで嘘を見抜かれたかのようで、クーは怯えるように固まってしまった。
「いや。別に責めている訳じゃあないんだ。ただ確認したかっただけで……」
クーの態度に、エンドゥは慌てたように弁解する。マイは二人の様子などどこ吹く風と、お茶請け用のお菓子に手を伸ばしていた。
「光の勇者は皆が待ち望んでいた存在だ。だのに、どこからも報告がなかったのが気になってね」
「……私にこの紋章が出てきたの、ほんの五日前なんです」
紋章が発現し、町長に旅立つように促されたのが五日前。冒険の準備を整えたのが四日前。心配する両親を前に強がって、町を出たのが三日前。魔物から逃げに逃げ、町から一番近い村に到着したのが一昨日。そして昨日、魔物退治を引き受け、マイに出会った。
「私の故郷、こことはかなり離れてますし、そのせいで、報告がなかったんじゃないでしょうか」
クーが自分の考えを伝えると、隣にいたマイが、盛大なため息をついた。
「なんかさ、あんたの町の町長って、随分無責任ね。待望の勇者が現れたなら、まずは国の王様に謁見させるのが筋でしょ」
「そうなの?」
クーの言葉に、マイは「当然でしょ」と返した。
「紅い月は、国どころか大陸全土にわたる問題なの。それを一個人で解決させるなんて、いくら勇者だからってできっこないでしょ」
「え、えっと……」
「もう一つ。言い伝えでは、紅い月の出現と同時に、魔王が復活するって言われている。じゃあ、その魔王っていうのはどこにいるの? あんたは勇者になって五日かもしれないけど、紅い月は現れてから三か月くらい経ってる。にも関わらず、魔王が現れたなんて話は聞いたことがない。そうでしょ?」
マイの問いかけにエンドゥは頷く。思えばクーも、狂暴化した魔物の話は聞けど、魔王が現れたという話は聞いたことがなかった。
「あたしが町長だったら、まずは王様に会いに行かせる。あんたの身に何かあったらいけないし、当然護衛を付けてね。さらに、なるべく早く着けるように馬車か、海路があれば船を使うわ。それで、自分の町で勇者が出たって事実を利用した、町おこしでもするわね。勇者が生まれた家とか通っていた学校とか、勇者まんじゅうや勇者クッキーなんて作って、大儲けを狙ったり……」
「マイ。その辺で。話がずれてるよ」
兄に窘められ、マイはハッとして、気を取り直すように咳払いを一度した。
「とにかく。少なくとも安っぽい剣一つ渡して、「さあ魔王を退治しに行きなさい」って一人放り出すなんて無責任な真似、まともな大人ならしないってこと」
マイの指摘は最もだと、クーは思った。自分に勇者の紋章が現れたとしても、それまでは戦いとは無関係な学生だったのだ。それをいきなり剣と防具を渡して、訓練もせずに外へ出すなど、死にに行けと言っているのと同じことだ。
「……まあ、その辺りの真意は、当人に確認しない事には何とも言えないね」
エンドゥはそれで話をまとめ、自分の淹れた紅茶をすすった。渋い顔を浮かべる所を見ると、彼自身も失敗したと思ったようだ。
「それで、君はマイの研究を手伝い、その力の詳細を解明する。そして自分の力を失くしたり、誰かに譲ったりしたいって考えている。間違いないかい?」
「はい…………ダメ、でしょうか?」
恐る恐る伺うクーに、エンドゥは首を横に振った。
「全然。むしろ、その力が多くの人が宿せるなら、これ以上の事はない。応援するよ」
エンドゥの後押しに、クーはホッとした。望んでも得られないような力を捨てたいと言うのは、往々にして非難されると思ったからだ。国や町を守るような騎士の立場にある人は特に、そういう考えだと思い込んでいた。
「それじゃあ早いところ、マイの研究所を何とかしないとね」
エンドゥは腰を上げて、席を立つ。クーが入ってきた扉とは反対に向かうと、そこには普段使っているであろう机があり、彼はその後ろで腰を落とした。
「マイ。昨日の魔物について、もう一度確認してもいいか?」
「うん。見た目はキラーベアとそっくりだけど、普通のやつより二倍くらいの大きさ。瞳に月の模様があって、弱点は地属性。弱ると体を変化させて、火を纏う。かなり頑丈だから、生半可な攻撃じゃ弾かれるよ」
「了解」
机の後ろから、再びエンドゥが姿を現す。立派な弓と矢筒を携え、まさに戦う者の姿だった。
「それじゃあ、行ってくるよ。吉報を期待していてくれ」
「魔物を退治したって報告なら、吉報とは言えないよ。いつもの事だもん」
にやりと口角を上げたマイに、エンドゥも笑みを浮かべ、二人を残して部屋を後にした。
「それじゃあ、あたし達も行こうか」
マイはすぐに席を立ち、エンドゥと同じように部屋の外へと出ていった。クーも後に続いて、二人は廊下を歩く。玄関を抜けると、マイは右の建物を目指した。
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