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第3話
夏2
しおりを挟む『バロン』第3話
*ひとりの少年と
地域猫と呼ばれる猫の日常の物語
春希が、公園に向かうには幹線道路を
横断しなくてはならない。
通学時には必ず少し
遠回りして手押し信号のある
横断歩道を渡るのだが
サッカーの練習に行く時だけは
父さんと一緒に横断歩道の無い
ここを渡っている。
普段は、交通量もまばらな
幹線道路なので
春希は、右左と何回も何回も
確認し右手を上げ渡たりはじめた。
すると、上げた右手に持っていた袋の
中から、お菓子がこぼれた。
こぼれたお菓子を拾おうと
しゃがみ込むと
首から下げた大きな水筒が転げ落ちた。
それに気づいたバロンは、また
体の向きを変え
春希の方へ向かおうと目を向ける。
すると、東の方から一台の
白いライトバンが春希の方へ
向かっている。
春希には、車の音が聞こえて無い。
周りで、作業をしてる人達も
ネギ植えに一生懸命で気づいていない。
ライトバンの運転手は、春希の存在に
気づいているのかバロンには
分からなかったが危険を
感じた、バロンは一目散に
ライトバンの前に飛び出した。
携帯電話を片手に持った運転手は
飛び出したバロンに慌ててブレーキ
を踏みハンドルを切った。
もの凄いブレーキの音に
ネギ植えをしてる人達も辺りを見渡す。
ライトバンは、春希の
10メートル手前で、止まっている。
ブレーキの音に気づいた春希が運転手と
目が合った。
若い営業マンらしき運転手は春希の
存在に気づきびっくりした表情をして
動揺を隠せない様子だ。
春希も、びっくりして急いで
お菓子をかき集め水筒を股に挟んで
道を渡って行った。
安堵した運転手は、ため息気を吐き
今度は、飛び出して来た猫の様子が
気になるのか車の外に出て
確認している。
しかし、猫の姿はどこにも無い。
猫をひかずにすんだ事を確認すると
運転手は車の中に戻り
まるで、神隠しにでもあったかの様な
表情を浮かべてミラーで何回も辺りを
確認し、また、走り去って行った。
春希は、ネギ植えをしている人達が
近所の人なので怒られたり
家族に言いつけられると思い
泣きそうな表情をしていると
ひとりのおばちゃんが春希の手をとり
優しく怪我が無いか確認してる。
大丈夫だと確認したおばちゃんは
春希の頭をポンポンと二回叩くと
笑いながらネギ植えに戻って行った。
びっくりしたのと怖わかったのと
おばちゃんに怒られずに
安心したのとで
頭の中は、ぐちゃぐちゃだ。
春希は、シャツの胸元を引っ張り
上げて、涙と汗拭いた。
そして、逃げる様にいつもの
場所へ向かった。
つづく
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません
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