170 / 170
第六章 王都
第168話
しおりを挟む
「ダメなものはダメじゃ!ぬしにはまだ早い!」
「うぅ…そこをなんとか…」
「何度も言わすでない!えぇい!ユーマ様も情けは不用じゃよ?」
えー…ここお風呂では現在、僕は全裸の幼女にしがみつかれ、その幼女をシアが引き剥がさんとしています。
※事案です。
…違います。いや、ほんとだからね?
食事の後、いつも通りのお風呂タイムに事は起こりました。
湯船でくつろいでいると、少し遅れてやってきたシアの両腕に4、5歳位の見た目の女の子が抱えられています。
彼女はその子を抱えたまま湯船に浸かりました。
その姿は、まるで仲の良い母娘の様でほっこりしちゃうほどです。
「で、シア。どこで攫ってきたの?怒らないから言ってごらん?」
「ふあっ!?ほっこりしておった顔からの衝撃発言じゃっ!くふぁ…キタコレ…
って、違うのじゃ!攫ってなどおらぬわっ!
此奴は先程の泉の主じゃよ!
此奴に風呂の話をしたらの、入ってみたいと申すもんじゃから…」
「やっぱりそうなんだ?そんな気はしたんだけどね」
まぁ、誰でも思いつくでしょ。
「あ、あえての弄り…愛を感じるのじゃ…」
「で、なんで人化してるのさ?さっきの姿でもあのサイズなら入れるんじゃないの?」
「あ、それはの、竜身で入るよりも人化した方が気持ち良いからじゃよ?
せっかく初めての風呂じゃからして、此奴にも味あわせてやらねば」
へぇ、いいとこあるじゃん。なんだかんだ言っても眷属には優しいんだね。
まぁ実際のところ、お湯に浸かってくつろぎウーパールーパーとかあんまり見たくないから、結果的には良かった気もするけど。
「そっか。それでウーパーちゃん。どう?気持ち良いかな?」
「うむ、ルーテシア様の仰る通りであるのじゃ。これは良い。蕩けるようじゃ…」
「ほれ、ユーマ様。済まぬが此奴を抱えてやってもらえんかの?
我もお風呂を堪能したいのじゃよ」
シアはそう言いながらウーパーちゃんを渡してきました。
「え?え?いや、この子水の精霊竜でしょ?1人でも溺れるとかないんじゃ…」
「ぬふふ…我が見たいのじゃ。幼子を抱き抱えたユーマ様をの。
ほれ、まさに父娘のようじゃ。眼福眼福」
ぐぬっ…
「ユーマ殿、嫌じゃったかの?吾を抱えるのは…」
いや、それは嫌じゃないんだけどさ…なんていうか、その、犯罪臭がねぇ…
「事案ね」
「違うからっ!
あ、そういえば、ずっとウーパーちゃんって呼んでるけど、まだ名前聞いてなかったね。
なんて呼んだらいい?」
「ふぁっ!?ユーマ様!いかんのじゃ!」
え?いきなりどうしたの?
「此奴はまだ幼いゆえ、名前はないのじゃ。
じゃが、真名を教えるわけにはいかん!それはまだ早い!」
「そうなの?よくわかんないけど、本人が良ければいいんじゃないの?」
真名って、なんか特別な名前なんだっけか確か。
シアもルーテシアは真名じゃないのか。
「ユーマ殿、吾は構わぬのじゃ。吾の名はテ…」
「いかーん!許さぬ!まだ早いと言っておろう?さぁ、ユーマ様から離れるのじゃ」
「しかし、せっかくユーマ殿がこのように…」
って具合で冒頭にもどるわけです。
ほら、事案じゃないでしょ?アイム ノット ギルティ。
「ほれユーマ様、そやつの妄言に振り回されてはいかんのじゃ。
まだほんの幼生に過ぎぬゆえ、正常な判断が出来ておらぬだけじゃからのっ!」
「うーん…まぁ、シアがそこまで言うなら聞かないけどさ。けど、ウーパーちゃんって呼び続けるのもなんか申し訳なくて」
「そって!それならっ!せめて吾に名前を付けてたもれ!」
…え?大丈夫なの?
って言うか、シアに僕から引き剥がされたウーパーちゃんが、必死に手を伸ばしながら叫ぶ姿があまりにも切なさを伝えてきます。
「まだ言うか?ダメだと言うておろうに」
「真名じゃなくてもダメなの?もうなんか可哀想になってきたんだけど…」
「名付けなどしては、此奴をユーマ様の従魔にするのと同義じゃ。
我がおるんじゃし、此奴など不要なのじゃ」
え、そうなの?今まで従魔契約してから名前付けてたんだけど、逆もありなの?
あと、確かに不要っちゃ不要かな。シアの眷属なら多分シアの方が優秀だろうし、子供枠には風羽花がいるしなぁ…
「名前を付けてもらう事を望んで、付けられた名前を受け入れるって事は、隷属の契約の様なものよ?
ほら、名付け親とか言うじゃない。肉親の繋がりと変わらないわ。
まして、それをアンタがしたらまず間違いなく従魔契約になるわね。アンタの意思に関係なく」
「意思関係ないんだ…?」
「アンタの場合は、ね。だって正直言って制御出来てるようで、しきれてないじゃない。恐らく無意識でやらかすわよ?」
…ぐぬっ
ネルにそう言われても、否定できない自分が情け無いです。
「そういう事じゃよ。しかも此奴、そうなる可能性を考えて言うておったようじゃしの?のう?」
シアにそう言われて、目を合わせないウーパーちゃん。どうやら図星だった模様です。
でもなんで?そんな慕われるような覚えもないんだけどなぁ…
「うぅ…そこをなんとか…」
「何度も言わすでない!えぇい!ユーマ様も情けは不用じゃよ?」
えー…ここお風呂では現在、僕は全裸の幼女にしがみつかれ、その幼女をシアが引き剥がさんとしています。
※事案です。
…違います。いや、ほんとだからね?
食事の後、いつも通りのお風呂タイムに事は起こりました。
湯船でくつろいでいると、少し遅れてやってきたシアの両腕に4、5歳位の見た目の女の子が抱えられています。
彼女はその子を抱えたまま湯船に浸かりました。
その姿は、まるで仲の良い母娘の様でほっこりしちゃうほどです。
「で、シア。どこで攫ってきたの?怒らないから言ってごらん?」
「ふあっ!?ほっこりしておった顔からの衝撃発言じゃっ!くふぁ…キタコレ…
って、違うのじゃ!攫ってなどおらぬわっ!
此奴は先程の泉の主じゃよ!
此奴に風呂の話をしたらの、入ってみたいと申すもんじゃから…」
「やっぱりそうなんだ?そんな気はしたんだけどね」
まぁ、誰でも思いつくでしょ。
「あ、あえての弄り…愛を感じるのじゃ…」
「で、なんで人化してるのさ?さっきの姿でもあのサイズなら入れるんじゃないの?」
「あ、それはの、竜身で入るよりも人化した方が気持ち良いからじゃよ?
せっかく初めての風呂じゃからして、此奴にも味あわせてやらねば」
へぇ、いいとこあるじゃん。なんだかんだ言っても眷属には優しいんだね。
まぁ実際のところ、お湯に浸かってくつろぎウーパールーパーとかあんまり見たくないから、結果的には良かった気もするけど。
「そっか。それでウーパーちゃん。どう?気持ち良いかな?」
「うむ、ルーテシア様の仰る通りであるのじゃ。これは良い。蕩けるようじゃ…」
「ほれ、ユーマ様。済まぬが此奴を抱えてやってもらえんかの?
我もお風呂を堪能したいのじゃよ」
シアはそう言いながらウーパーちゃんを渡してきました。
「え?え?いや、この子水の精霊竜でしょ?1人でも溺れるとかないんじゃ…」
「ぬふふ…我が見たいのじゃ。幼子を抱き抱えたユーマ様をの。
ほれ、まさに父娘のようじゃ。眼福眼福」
ぐぬっ…
「ユーマ殿、嫌じゃったかの?吾を抱えるのは…」
いや、それは嫌じゃないんだけどさ…なんていうか、その、犯罪臭がねぇ…
「事案ね」
「違うからっ!
あ、そういえば、ずっとウーパーちゃんって呼んでるけど、まだ名前聞いてなかったね。
なんて呼んだらいい?」
「ふぁっ!?ユーマ様!いかんのじゃ!」
え?いきなりどうしたの?
「此奴はまだ幼いゆえ、名前はないのじゃ。
じゃが、真名を教えるわけにはいかん!それはまだ早い!」
「そうなの?よくわかんないけど、本人が良ければいいんじゃないの?」
真名って、なんか特別な名前なんだっけか確か。
シアもルーテシアは真名じゃないのか。
「ユーマ殿、吾は構わぬのじゃ。吾の名はテ…」
「いかーん!許さぬ!まだ早いと言っておろう?さぁ、ユーマ様から離れるのじゃ」
「しかし、せっかくユーマ殿がこのように…」
って具合で冒頭にもどるわけです。
ほら、事案じゃないでしょ?アイム ノット ギルティ。
「ほれユーマ様、そやつの妄言に振り回されてはいかんのじゃ。
まだほんの幼生に過ぎぬゆえ、正常な判断が出来ておらぬだけじゃからのっ!」
「うーん…まぁ、シアがそこまで言うなら聞かないけどさ。けど、ウーパーちゃんって呼び続けるのもなんか申し訳なくて」
「そって!それならっ!せめて吾に名前を付けてたもれ!」
…え?大丈夫なの?
って言うか、シアに僕から引き剥がされたウーパーちゃんが、必死に手を伸ばしながら叫ぶ姿があまりにも切なさを伝えてきます。
「まだ言うか?ダメだと言うておろうに」
「真名じゃなくてもダメなの?もうなんか可哀想になってきたんだけど…」
「名付けなどしては、此奴をユーマ様の従魔にするのと同義じゃ。
我がおるんじゃし、此奴など不要なのじゃ」
え、そうなの?今まで従魔契約してから名前付けてたんだけど、逆もありなの?
あと、確かに不要っちゃ不要かな。シアの眷属なら多分シアの方が優秀だろうし、子供枠には風羽花がいるしなぁ…
「名前を付けてもらう事を望んで、付けられた名前を受け入れるって事は、隷属の契約の様なものよ?
ほら、名付け親とか言うじゃない。肉親の繋がりと変わらないわ。
まして、それをアンタがしたらまず間違いなく従魔契約になるわね。アンタの意思に関係なく」
「意思関係ないんだ…?」
「アンタの場合は、ね。だって正直言って制御出来てるようで、しきれてないじゃない。恐らく無意識でやらかすわよ?」
…ぐぬっ
ネルにそう言われても、否定できない自分が情け無いです。
「そういう事じゃよ。しかも此奴、そうなる可能性を考えて言うておったようじゃしの?のう?」
シアにそう言われて、目を合わせないウーパーちゃん。どうやら図星だった模様です。
でもなんで?そんな慕われるような覚えもないんだけどなぁ…
0
お気に入りに追加
535
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(19件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。

クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
「やらかしました?」からの女神ギャーギャーの流れ使いすぎてクドイね。そもそも改造したん女神やから「この女神アホなん?しょーもな」ってのが読者の感想やろし笑
コレ、女神同行無しで魔法の成長もう少しペース落として、少しじっくり物語進めたらかなり面白かったんじゃ……
更新待ってました〜‼︎
再開バンザイ🙌
ありがとうございます!
また止まってたら
お叱りをお願いします