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第六章 王都
第156話
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とりあえず食事も無事済ませ、ちょっとゆったりしていると、ケイトが近づいて来ました。なんか言いたそうだね。
「あの…ちょっとお話し出来ますか?」
「えーと…そうですね、少しなら。どうしました?」
そう問いかけた僕を、もの凄く不安げな表情で見返すケイト。いや。じっと見られても…
「あのっ!みなさん凄い連携ですね!ほとんど言葉を交わしてないのに、すごくスムーズに準備から片付けまで。
やっぱり訓練の成果なんでしょうか?」
「えーと、はい。まぁ慣れです」
念話でめっちゃ喋ってたけどね。
「私、訓練とかほんとに必死で頑張ってるんですけど、何をやらせて貰っても、全然上達しないんです。いつも足を引っ張ってばかりで…
ユーマ殿とみなさんの動きを見て、何かヒントになるんじゃないんかと思ったんです」
「大器晩成って言う言葉があるじゃないですか。努力を続けるのが確実ですよ」
「やはりそうですか…わかりました!あ、それからもう一つ…」
ん?こっちが本命の質問か。
「実は最近、所属部隊から疎まれている様な気がして…ユーマ殿方もあまり接して下さらないし。
私に何か難点があるのでしょうか!?」
はい。大ありです。
「私は、クレイドル侯爵の孫娘として生まれましたが、この血筋がいけないのでしょうか?
でも!私はそんな事を鼻にかけたり、血筋を振りかざして無理難題を押し付けたり、そんな貴族の風上にも置けない様な行いなど一切してないです!」
…わぉ。まじか。やってますが。
「それなのに…どうしてなんでしょう?何かヒントになる様な事はないでしょうかっ!?」
「どうなんでしょうね。私の様に外にいる者ではわかりかねます。
ただ、一つ言えるのは、もう少し周りの雰囲気を読み取られてはいかがでしょう?」
さっきから、周りの視線がめちゃくちゃ集まってるんだよね。
流石に念話を放り込んで来る人は居なかったけどさ。
「はぅっ!これは大変な失礼をいたしました!
この先もし、何か気付かれる事がありましたら教えて下さい!失礼しますっ!」
え?失礼しますとか言いながら、暗い方まで走ってっちゃったよ…
『風羽花!ごめん。すぐケイトを追いかけて!』
『はいなのです!』
ほぼ真っ暗闇の中を、どこに行くつもりなんだろうね。
って言うか、こういう考え無しの行動が多いんだろうなぁと思います。
『主人様!ケイトさん木の下で座ったです!』
しばらくすると風羽花から追跡の報告が届きました。
どうやら当てもなく走り去ったものの、疲れて休憩しているみたい。
ほっといて帰って来れるのかねぇ…
『風羽花、そのまま様子見ててくれるかな?移動し始めたら追いかけて。何かあったらすぐ教えてね』
『はいなのです!』
とりあえず風羽花に任せとけば大丈夫かな。
けど、ほんとどういうつもりなんだろう?感情任せで後先考えずに行動するとか、軍人としては最低の行為じゃない?
普通の指揮官なら、即懲罰だろうけどな…
「ユーマ、あの子大丈夫なの?」
「うん、とりあえず風羽花が監視してくれてる。何かあれば連絡あるはずだから」
「一応伝令役だからねぇ。まさか職務放棄はしないだろうけど、何かあれば護衛役のアタシ達にも責任があるわけだろう?このまま放置するのかい?」
探しに行くポーズだけでも必要って事かな?そもそも護衛対象の身勝手に振り回されるとか、聞いてないです。
「面倒だけど仕方ないか。じゃあ、銀に探させたって体で連れ戻しに行くよ。
マイラさん、僕と来て下さい。銀と流も一緒に。シアと剛、蒼は馬車と他のみんなを守ってね」
シアがいれば、万が一馬車に何かあっても大丈夫だろうし、そこらにいそうな魔物や魔獣位なら、正直巴でも蹴散らせると思うんだよなぁ。
「よし!行こう!銀、方向はわかりそう?」
『勿論でござるよ!むしろ殿もマイラ様も我らの背にお乗りくだされ。全速で向かいますれば、すぐでござるよ』
まじか!そういえば銀に乗るのは初めてだね。
ずっとネルの専用機って感じだったもんなぁ。
「うぉっ!こりゃたまらん!フッカフカのもっふもふじゃん!もしかして、これお風呂入ったらもっとモフモフするんじゃね?」
「アタシも魔獣に乗ったのは生まれて初めてだよ!銀狼の毛皮ってこんなに気持ちいいんだねぇ!」
銀と流の背に跨る僕達は、あまりの心地よさに変なテンションになってます。
それにしても速いな。落ちたら逝くレベルだし。
『間も無く到着しますぞ!』
え?まじ?早すぎる…
いやもうこのままモフモフに包まれていたいのに。
銀達は、ほんの数分でケイトが走った距離を埋め、僕の視界にもぽつんと立つ木の輪郭が見える所にまで近づいて来たみたいです。
「あそこだね?銀、一旦止まって?あとは歩いて近付こうか。
『承知!流、ここで止まれと仰せじゃ!』
銀達から降りた僕とマイラさんは、軽く周囲を警戒しながら、先の立木へ向かう銀達の後を追って歩き始めました。
空が薄い雲で覆われているせいか、星明かりすらない草原は、暗闇に包まれ暗視の魔眼が無かったら歩く事さえままならないんじゃないかな。
そう考えると、ケイトもよくここまで平気で走ってきたなぁ…
ほどなく、弱い風で立木が揺れて葉が擦れる音とともに、鞘から刃が引き抜かれる鋭い音が聞こえてきたんです。
「あの…ちょっとお話し出来ますか?」
「えーと…そうですね、少しなら。どうしました?」
そう問いかけた僕を、もの凄く不安げな表情で見返すケイト。いや。じっと見られても…
「あのっ!みなさん凄い連携ですね!ほとんど言葉を交わしてないのに、すごくスムーズに準備から片付けまで。
やっぱり訓練の成果なんでしょうか?」
「えーと、はい。まぁ慣れです」
念話でめっちゃ喋ってたけどね。
「私、訓練とかほんとに必死で頑張ってるんですけど、何をやらせて貰っても、全然上達しないんです。いつも足を引っ張ってばかりで…
ユーマ殿とみなさんの動きを見て、何かヒントになるんじゃないんかと思ったんです」
「大器晩成って言う言葉があるじゃないですか。努力を続けるのが確実ですよ」
「やはりそうですか…わかりました!あ、それからもう一つ…」
ん?こっちが本命の質問か。
「実は最近、所属部隊から疎まれている様な気がして…ユーマ殿方もあまり接して下さらないし。
私に何か難点があるのでしょうか!?」
はい。大ありです。
「私は、クレイドル侯爵の孫娘として生まれましたが、この血筋がいけないのでしょうか?
でも!私はそんな事を鼻にかけたり、血筋を振りかざして無理難題を押し付けたり、そんな貴族の風上にも置けない様な行いなど一切してないです!」
…わぉ。まじか。やってますが。
「それなのに…どうしてなんでしょう?何かヒントになる様な事はないでしょうかっ!?」
「どうなんでしょうね。私の様に外にいる者ではわかりかねます。
ただ、一つ言えるのは、もう少し周りの雰囲気を読み取られてはいかがでしょう?」
さっきから、周りの視線がめちゃくちゃ集まってるんだよね。
流石に念話を放り込んで来る人は居なかったけどさ。
「はぅっ!これは大変な失礼をいたしました!
この先もし、何か気付かれる事がありましたら教えて下さい!失礼しますっ!」
え?失礼しますとか言いながら、暗い方まで走ってっちゃったよ…
『風羽花!ごめん。すぐケイトを追いかけて!』
『はいなのです!』
ほぼ真っ暗闇の中を、どこに行くつもりなんだろうね。
って言うか、こういう考え無しの行動が多いんだろうなぁと思います。
『主人様!ケイトさん木の下で座ったです!』
しばらくすると風羽花から追跡の報告が届きました。
どうやら当てもなく走り去ったものの、疲れて休憩しているみたい。
ほっといて帰って来れるのかねぇ…
『風羽花、そのまま様子見ててくれるかな?移動し始めたら追いかけて。何かあったらすぐ教えてね』
『はいなのです!』
とりあえず風羽花に任せとけば大丈夫かな。
けど、ほんとどういうつもりなんだろう?感情任せで後先考えずに行動するとか、軍人としては最低の行為じゃない?
普通の指揮官なら、即懲罰だろうけどな…
「ユーマ、あの子大丈夫なの?」
「うん、とりあえず風羽花が監視してくれてる。何かあれば連絡あるはずだから」
「一応伝令役だからねぇ。まさか職務放棄はしないだろうけど、何かあれば護衛役のアタシ達にも責任があるわけだろう?このまま放置するのかい?」
探しに行くポーズだけでも必要って事かな?そもそも護衛対象の身勝手に振り回されるとか、聞いてないです。
「面倒だけど仕方ないか。じゃあ、銀に探させたって体で連れ戻しに行くよ。
マイラさん、僕と来て下さい。銀と流も一緒に。シアと剛、蒼は馬車と他のみんなを守ってね」
シアがいれば、万が一馬車に何かあっても大丈夫だろうし、そこらにいそうな魔物や魔獣位なら、正直巴でも蹴散らせると思うんだよなぁ。
「よし!行こう!銀、方向はわかりそう?」
『勿論でござるよ!むしろ殿もマイラ様も我らの背にお乗りくだされ。全速で向かいますれば、すぐでござるよ』
まじか!そういえば銀に乗るのは初めてだね。
ずっとネルの専用機って感じだったもんなぁ。
「うぉっ!こりゃたまらん!フッカフカのもっふもふじゃん!もしかして、これお風呂入ったらもっとモフモフするんじゃね?」
「アタシも魔獣に乗ったのは生まれて初めてだよ!銀狼の毛皮ってこんなに気持ちいいんだねぇ!」
銀と流の背に跨る僕達は、あまりの心地よさに変なテンションになってます。
それにしても速いな。落ちたら逝くレベルだし。
『間も無く到着しますぞ!』
え?まじ?早すぎる…
いやもうこのままモフモフに包まれていたいのに。
銀達は、ほんの数分でケイトが走った距離を埋め、僕の視界にもぽつんと立つ木の輪郭が見える所にまで近づいて来たみたいです。
「あそこだね?銀、一旦止まって?あとは歩いて近付こうか。
『承知!流、ここで止まれと仰せじゃ!』
銀達から降りた僕とマイラさんは、軽く周囲を警戒しながら、先の立木へ向かう銀達の後を追って歩き始めました。
空が薄い雲で覆われているせいか、星明かりすらない草原は、暗闇に包まれ暗視の魔眼が無かったら歩く事さえままならないんじゃないかな。
そう考えると、ケイトもよくここまで平気で走ってきたなぁ…
ほどなく、弱い風で立木が揺れて葉が擦れる音とともに、鞘から刃が引き抜かれる鋭い音が聞こえてきたんです。
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