転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

文字の大きさ
上 下
146 / 170
第五章 フランカ市

第144話

しおりを挟む
 「ふむ…銀は銀牙シルバーファングウルフで間違いないと思うんだ。昔一度だけ見た事があるからねぇ。
 耳と牙と爪の3人は、以前の銀と同じ銀狼シルバーウルフだね。
 よくわからないのがふーちゃんさ。元は賢者梟ワイズオウルなのは間違いないんだけどね…」

 流石マイラさん。伊達に長生きしてませ…

 「なんだい?ユーマ君」

 おうふ…
 マイラさんの勘の冴えが怖いです。

 「いや、なんでもないっす。
 流石のマイラさんでも、風羽花が進化した先はわかりませんか?」

 「うーん…サイズが少し大きくなってはいるけどねぇ…
 見た目の変化がそれだけだとすると、成鳥の賢者梟との違いがよくわからないんだよ。
 もしかすると新種かもしれないし、それとも過去見つかってる賢者梟の中にも、今のふーちゃんと同種がいたのに、誰も気付いてなかっただけなのか…」

 「あー…それはあるかもしれないですね。でもそうすると、結果的には新種って事になるのかな?
 風羽花、おいで?」

 風羽花を呼ぶと、直ぐに飛んできて肩に止まります。

 『主人様?どうしたですか?』

 「うん、風羽花の種族が何になったんだろうねって、お話してたんだよ」

 『種族なのです?よくわからないのです。ふうかはふうかなのですっ!』

 そうだよなぁ。現実的な話をすれば、種族とかなんでもいいんだよね。
 種族の問題は棚上げでもいいかな。

 「アタシはそういうのは気になる性分だからねぇ…
 急ぐ必要はないけど、特定出来るならしたいよ。今度王都に行った時に、冒険者ギルドの資料室を漁ってみようか。
 もしかしたら種族がわかるかもしれないし、新種だとわかるかもしれないしねぇ」

 「なるほどですね。それなら王都のギルドで調べましょう。2人、3人で探せばヒントくらいは見つかるかもしれませんし」

 「何言ってるのさ?ギルドの資料室はギルド員しか利用出来ないよ?
 ユーマ君も冒険者になるかい?
 まぁ、ギルドに加入しても資料の閲覧には階級ごと制限があるからねぇ。ユーマ君が全制限解除になるのは、随分先の話になるよ」

 あちゃー…そんなシステムなのか。それならマイラさんに任せるしかないなぁ。

 「まぁ、まだ先の話だよ。必ずしもやらなきゃいけないわけじゃないんだからねぇ」

 「ですね。そしたら一旦忘れてお風呂にしましょうか」

 「えっ?今日はお風呂はしないって言ってなかったかい?」

 ふふん。やっぱりマイラさんも勘違いしてるぞ。

 「小屋のお風呂は使わないって言ったんですよ?さっき解体をお願いした時に準備したんです。
 自信作なんで期待してください!」

 「やる事があるって、そういう事だったんだね?
 君もなんというか、変な所で拘るよねぇ…」

 …変って言うなし。

 「ともかくっ!さっと後片付けして向かいましょう?案内しますから」

 「あははは…わかったよ」



 風羽花達の進化でゴタゴタしたけど、みんなで後片付けすればすぐ終わります。
 僕はその間に斜面を登り、露天岩風呂に魔導給湯器を設置して起動しておきますか。
 …そういえば、これ金貨10万枚だったわ。


 「片付けお疲れ様!みんな集合してね」

 呼びかけに集まったみんなを引率して斜面を登ります。

 「ユーマ様よ。夕食の前に何やらゴソゴソしておったのは知っておったんじゃが…
 ん?何やら気配がするのぅ?」

 「ふふふっ。流石シアだねっ!さぁ、着いたー!」

 「ほぅ!これはまた…」

 よしよし。みんな驚いてるぞ。
 まぁ、広く作ったからね。小屋のお風呂の倍以上はあるはず。
 これだけ広ければ、銀達も遠慮しなくていいだろうし、みんなが足を伸ばしてゆったり浸かれるでしょ?

 掛け湯も出来るように湯船の周りは一段低く作ってあるし、手桶も用意した。もっと言えば、湯上り後に使えるようにすのこも作って置いてます。

 「いやぁ…ユーマ君がやる事だからとは思うけど、なんというかすごい技術で作ってあるねぇ…
 知らない人が見たら、何かの遺跡と勘違いするんじゃないかい?」

 「そんなに褒められたら照れますよ」

 「…いや、どちらかといえば呆れてるんだけどねぇ。
 排水がどうなってるかるかとか、気になる所は沢山あるんだけど、聞いたら疲れそうだから言わないでくれよ?」

 え!?聞いてくれないのっ!?まじか…

 地下まで突き抜けた排水溝とか、滑りにくくかつ痛くない流し場の床とか、デコボコを無くした滑らかな浴槽の内側とか、自慢したかったのにっ!

 「ユーマ。それは諦めなさい?私は凄いと思うわよ?
 一晩しか使わない風呂にここまでする情熱とか、無駄に高い技術力とか」

 「それ、求めてる褒めポイントと違うし…てゆーか、寧ろバカにしてない?」

 「………してないわよ?」

 随分と間がありましたけどっ!?
 もう、拗ねるしかないです。

 「ネル様、あれはちょっと言い過ぎではないかと…」

 「そうじゃよ、ネル様。ユーマ様は我らの為にと…」

 「なんで私が悪者みたいになってんのよっ!?」

 ふふふ…何か言ってるけど、知らんもんね。気分切り替えて露天風呂を堪能しとこ。
 あー気持ちいいなぁ…
 馬車移動って、座ってるだけなのに意外と全身疲れるんだよね。無意識のうちにバランス取ったりしてるからかな?
 思ってたのと違うリアクションで傷付いた 気持ちハートも癒しながら、露天岩風呂を堪能する事になりました。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——? ⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...