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第五章 フランカ市
第133話
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…どうも、僕です。
華麗なるスルーにしくじった僕は、正座で針の筵なう。
どうやら、誤魔化そうとした姿勢が、ネルとマイラさんの疳に触ったみたいです。
「誤魔化すのはどうだろうと思うのよ?そもそもねぇ…」
「ネル様の言われた通りさ。素直になればいいのに、どうして君は…」
代わる代わる説教される僕。
有り難い事に、今後に対する影響を考慮してナディアから見えない場所でする、という配慮はしてくれてます。
「ふぅ…このくらいにしといてあげるわ。正直言い足りないんだけど」
「そうですね。これからの話もしないといけないし、ユーマ君も反省してるだろ?」
「も、もちろんであります!以後十分注意して取り組む所存です!」
ふぅ、乗り切った…
「…乗り切ってはないわよ?」
ひぃっ!?さりげなく僕の膝に手を置いたネルが。
「…まぁ、いいわ。貸しにしといてあげる。ナディアの事を話ましょう」
貸し…なんて嫌な響きなんだろう。
きっといつか、取り立てに来るんだろうなぁ…
「ユーマ君、今のは君が悪い。諦めるんだねぇ。とりあえずナディアの話を進めよう」
「はいっ!わかりました!」
勝ち目のない戦いを挑む勇気はありませんでした。
「…なるほどねぇ。確かに変化を使わせれば、恐らく特殊な魔眼持ち以外なら気付かれる事はないよ。途中の街や村であればそれで十分だろう。
ただ、王都は別さ。あそこはまず中に入る時に『審判の目』って言う魔道具でチェックを受ける決まりがあるんだよ。
アタシも何度か受けた経験があるけど、事前の申告と齟齬があった場合にそれが判るんだ。種族、犯罪歴、禁制品の持ち込みなんかが申告の項目だね」
「種族を偽る人っているの?他は理解出来るけど…」
「随分昔の話だけど、戦争中に魔族や獣人族が入り込んで破壊活動をした事があったらしくてねぇ。今は入市に種族の制限はなくなったんだけど、その名残でチェックされるのさ。
まぁ、誤魔化そうとする時点で、何かやましい事があるって事だからねぇ」
そうなんだ…って事はナディアも魔族だと申告しないと怪しまれちゃうんだね。
「入市許可証にはその事が記載されるルールになってるし、あらゆる所で確認されるんだ。つまり王都内では変化は推奨出来ないって事だね」
「魔族に対して忌避感とかがなければ構わないんだけどさ。
けどそうなると、侯爵を訪ねる時も魔族の姿で行く事になるんだよね。
やっぱり奴隷化しといた方が無難だろうなぁ…」
「引き渡しても構わないなら、しなくてもいいわよ?私としてはそれで構わないし。
ただ、クレイドル侯爵からしてみたら、自領の街を落とされた恨みがあるでしょうから、扱いがどうなるのかなんて言うまでもないわよね?」
それなんだよね…
「マイラさん、ちょっと確認なんだけどさ、さっきのなんとかっていう魔道具で奴隷かどうか判別できるのかな?」
「ん?『審判の目』の事かい?
アレは申告に対して判別するだけだからね。
衛兵も、いちいちあなたは奴隷ですかなんて確認する必要はないだろう?むしろ、奴隷の入市に手間をかけてたら、偉いさん方の不興を買う事になりかねないからねぇ」
「そうですか、そりゃよかった。エリーヌの事思い出したんですよね。ほら、彼女って違法奴隷だから、バレたらやばいなぁって」
グラルはともかく、エリーヌは奴隷化される理由がないんだよね。まぁ、こじつけ出来ない事はないけど不自然極まりない。
「なるほどね。まぁ、通常の奴隷は一目でわかるように首輪だったり入れ墨だったりしてるからねぇ。
グラルには首輪でもしたらいいかもしれないよ」
「シアの種族はどうなるんだろう?」
「どうなるんだろうねぇ…さすがにアタシにもわからないよ。本人にしかわからないんじゃないかな?
ただ『審判の目』の機能としては、本人の認識と申告の齟齬を調べるだけだからね。
彼女自身が思ってる通りに申告すれば大丈夫さ」
そっか。シアがなんて申告するのかちょっと興味出てきた。後で聞いてみよっと。
「じゃあ、入市審査については問題なさそうだね。そしたらナディアの奴隷化しなきゃだ。ナディアと話してくるよ」
「待ちなさい?その辺の話は私とマイラでするわ。だから先にお風呂よ。お・ふ・ろっ!」
あ、そうだ。すっかり忘れてたよ。
ナディアの様子を見に行く前にお湯張りしてたんだった。かけ流しだから冷める事はないけどさ。
一足先に表に出てお風呂に向かうと、話をしていた僕達以外が既に入浴中でした。
お風呂好きなシアはもちろん、最初は抵抗感を持ってたエリーヌもグラルを気にする事なく入っています。そのグラルは相変わらず巴の世話を楽しそうにしてました。
「おぉ!ユーマ様。先に頂いておるよ。久しぶりじゃが、やはり良いのっ!早よ入ると良いのじゃ」
「うん、そうするよ。ネルとマイラさんはナディアと話するって言ってたから、後で来ると思うし」
「ならば、我の独り占めじゃの!早よ入られよ」
急かされなくても入るからね?
ナディアさんの件が色々ありすぎて忘れてたけど、僕だって久しぶりのお風呂は楽しみにしてたんだから。
少し熱めに感じる湯に肩まで浸かると、全身の疲労が湯に溶け出して行くような気持ち良さです。
思わず目を閉じてその感覚に浸っていると、腕に柔らかい感触。シアが僕の腕に抱きついて来たようです。
「んふっ、しばらくこうさせてて欲しいのじゃ」
たまに甘えてくるシアも、かわいいとか思ってしまいました。
華麗なるスルーにしくじった僕は、正座で針の筵なう。
どうやら、誤魔化そうとした姿勢が、ネルとマイラさんの疳に触ったみたいです。
「誤魔化すのはどうだろうと思うのよ?そもそもねぇ…」
「ネル様の言われた通りさ。素直になればいいのに、どうして君は…」
代わる代わる説教される僕。
有り難い事に、今後に対する影響を考慮してナディアから見えない場所でする、という配慮はしてくれてます。
「ふぅ…このくらいにしといてあげるわ。正直言い足りないんだけど」
「そうですね。これからの話もしないといけないし、ユーマ君も反省してるだろ?」
「も、もちろんであります!以後十分注意して取り組む所存です!」
ふぅ、乗り切った…
「…乗り切ってはないわよ?」
ひぃっ!?さりげなく僕の膝に手を置いたネルが。
「…まぁ、いいわ。貸しにしといてあげる。ナディアの事を話ましょう」
貸し…なんて嫌な響きなんだろう。
きっといつか、取り立てに来るんだろうなぁ…
「ユーマ君、今のは君が悪い。諦めるんだねぇ。とりあえずナディアの話を進めよう」
「はいっ!わかりました!」
勝ち目のない戦いを挑む勇気はありませんでした。
「…なるほどねぇ。確かに変化を使わせれば、恐らく特殊な魔眼持ち以外なら気付かれる事はないよ。途中の街や村であればそれで十分だろう。
ただ、王都は別さ。あそこはまず中に入る時に『審判の目』って言う魔道具でチェックを受ける決まりがあるんだよ。
アタシも何度か受けた経験があるけど、事前の申告と齟齬があった場合にそれが判るんだ。種族、犯罪歴、禁制品の持ち込みなんかが申告の項目だね」
「種族を偽る人っているの?他は理解出来るけど…」
「随分昔の話だけど、戦争中に魔族や獣人族が入り込んで破壊活動をした事があったらしくてねぇ。今は入市に種族の制限はなくなったんだけど、その名残でチェックされるのさ。
まぁ、誤魔化そうとする時点で、何かやましい事があるって事だからねぇ」
そうなんだ…って事はナディアも魔族だと申告しないと怪しまれちゃうんだね。
「入市許可証にはその事が記載されるルールになってるし、あらゆる所で確認されるんだ。つまり王都内では変化は推奨出来ないって事だね」
「魔族に対して忌避感とかがなければ構わないんだけどさ。
けどそうなると、侯爵を訪ねる時も魔族の姿で行く事になるんだよね。
やっぱり奴隷化しといた方が無難だろうなぁ…」
「引き渡しても構わないなら、しなくてもいいわよ?私としてはそれで構わないし。
ただ、クレイドル侯爵からしてみたら、自領の街を落とされた恨みがあるでしょうから、扱いがどうなるのかなんて言うまでもないわよね?」
それなんだよね…
「マイラさん、ちょっと確認なんだけどさ、さっきのなんとかっていう魔道具で奴隷かどうか判別できるのかな?」
「ん?『審判の目』の事かい?
アレは申告に対して判別するだけだからね。
衛兵も、いちいちあなたは奴隷ですかなんて確認する必要はないだろう?むしろ、奴隷の入市に手間をかけてたら、偉いさん方の不興を買う事になりかねないからねぇ」
「そうですか、そりゃよかった。エリーヌの事思い出したんですよね。ほら、彼女って違法奴隷だから、バレたらやばいなぁって」
グラルはともかく、エリーヌは奴隷化される理由がないんだよね。まぁ、こじつけ出来ない事はないけど不自然極まりない。
「なるほどね。まぁ、通常の奴隷は一目でわかるように首輪だったり入れ墨だったりしてるからねぇ。
グラルには首輪でもしたらいいかもしれないよ」
「シアの種族はどうなるんだろう?」
「どうなるんだろうねぇ…さすがにアタシにもわからないよ。本人にしかわからないんじゃないかな?
ただ『審判の目』の機能としては、本人の認識と申告の齟齬を調べるだけだからね。
彼女自身が思ってる通りに申告すれば大丈夫さ」
そっか。シアがなんて申告するのかちょっと興味出てきた。後で聞いてみよっと。
「じゃあ、入市審査については問題なさそうだね。そしたらナディアの奴隷化しなきゃだ。ナディアと話してくるよ」
「待ちなさい?その辺の話は私とマイラでするわ。だから先にお風呂よ。お・ふ・ろっ!」
あ、そうだ。すっかり忘れてたよ。
ナディアの様子を見に行く前にお湯張りしてたんだった。かけ流しだから冷める事はないけどさ。
一足先に表に出てお風呂に向かうと、話をしていた僕達以外が既に入浴中でした。
お風呂好きなシアはもちろん、最初は抵抗感を持ってたエリーヌもグラルを気にする事なく入っています。そのグラルは相変わらず巴の世話を楽しそうにしてました。
「おぉ!ユーマ様。先に頂いておるよ。久しぶりじゃが、やはり良いのっ!早よ入ると良いのじゃ」
「うん、そうするよ。ネルとマイラさんはナディアと話するって言ってたから、後で来ると思うし」
「ならば、我の独り占めじゃの!早よ入られよ」
急かされなくても入るからね?
ナディアさんの件が色々ありすぎて忘れてたけど、僕だって久しぶりのお風呂は楽しみにしてたんだから。
少し熱めに感じる湯に肩まで浸かると、全身の疲労が湯に溶け出して行くような気持ち良さです。
思わず目を閉じてその感覚に浸っていると、腕に柔らかい感触。シアが僕の腕に抱きついて来たようです。
「んふっ、しばらくこうさせてて欲しいのじゃ」
たまに甘えてくるシアも、かわいいとか思ってしまいました。
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