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第五章 フランカ市
第130話
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「どなたかの?初めて見る顔じゃが」
シアがドアを開けると、そこには丸眼鏡やをかけた細身で銀髪の青年が、人懐こい笑顔で立っていました。
「突然お邪魔してすいません。ちょっと人を探してまして」
「こんな人里離れた場所で人探しとはのぉ…恐らくとは思うが、そなた魔族じゃろ?
ちなみにお主の探し人はアレかの?」
「…あ、アレですね。なんとなくですけど、アレご迷惑をおかけしてるでしょ?
こんな時間に、重ねて申し訳ありませんでした」
なんていうか、言葉遣いと表情から申し訳なさが溢れて出てるような気がします。
「えーっと…アレの様子を見ると、身バレしちゃってますよね?変化すらしてないし…」
「身バレというかの、フランカの事も併せて全部勝手に喋ったんじゃが…」
「…ハァ。やっぱり単独行動とかさせるんじゃなかった…めんどくさ」
溜息を吐きながらボヤいてます。
「…状況は大体わかりました。自分は彼女の部下で副隊長のバーミルと言います。
お聞き頂いた通りの事情でフランカに滞在してるんですが、明日には引き上げますんで、見逃して貰えると有難いです。
で、アレについては、もう煮るなり焼くなりお任せしますので、お好きな様にして下さい」
「お、おい!?バーミル?どういう事だ?ワタシを連れ戻しに来たんじゃないのか?
それに撤退だなどと…そのような話は聞いていないぞ!
バーミル!越権行為ではないのかっ!?」
うん、普通考えたらそうだよね。ナディアさんの疑問はもっともです。
「…小隊長。誰のせいでしょうね?
自分は出撃時点で、大隊長から命令を受けてました。アナタが何らかのミスをした場合、解任して後の指揮は自分が摂る事になってます。
また、いかなる理由があっても、本作戦において我々の関与が露見した場合は、速やかに撤退する事も決まってます。
コレ、大隊長の命令書です」
「大隊長のサイン…ワタシは何も聞いてないのに…」
「それからですね、想定されたケースなんで、一応現場判断ということで、アナタを軍規違反で処分する許可も貰ってるんですけど…
多分ソレすると、自分の身の安全が保障されそうにないんですよね…」
バーミル君、なかなか鋭い。
「正直なところ、変化を解いて全力で戦っても生き残る可能性が全く見えないので、こうして大人しくしてるわけで」
「あ、ちょっといいかな?僕はここにいるメンバーの引率なんだけどさ。あ、名前はユーマです。
それで、コレ引き取ってくれないの?
本人は帰れないって聞かないんだよね」
「えーっと…ムリっす。っていうか要らないです。
仮に引き取っても、確実にどっかで処分しなきゃいけないですし、急ぎ撤退するんで騒がれたら迷惑なんですよね。
あ、了解頂けるんでしたらココで処分したいですけど?」
えー…それはヤダなぁ。
「流石にそれはいい気分じゃないから無理だわ。かと言って、そこらで適当に解放するわけにもいかないしなぁ…」
「あ!それなら差し上げます!慰みモノにしてもらっても全然いいんで。
どっかで奴隷化して、売り払って頂いても大丈夫です。
どうせ拷問しても、重要機密はこの人には伝えられてないんで問題ないし」
バーミル君の発言を聞いたナディアさんは、あまりの衝撃に一瞬機能停止した後、我に返って絶叫しました。
「どういうことっ!?なんで?ワタシが受けた命令って重要機密じゃなかったって事っ!?
それにたとえ大隊長の命令があったって、そんな事すればパパが黙ってないわっ!」
「えーっとですね…今更の報告ながら、アホネン子爵と奥様は既にご了承済みなんですよね…
というか、子爵ご夫婦からのご提案と聞いてますね」
…あーあ、ぶっちゃけたね。
恐らく不出来な娘を合法的に処分して、家の名誉を守るとかそういう話じゃないかな。貴族ならやりそうだし。
「不始末があった場合は、名誉の戦死扱いにするということで話がついていますので、ご実家には迷惑はかかりません。どうぞご安心下さい。
というわけで、ユーマ殿でしたね。コレはお任せします」
ナディアさんは、両親にすら完全に見放されてた事実を知って顔が青褪めてる。うーん…さすがにちょっと可哀想だね。
「それ聞いちゃうとなぁ…
まぁ、バーミル君と押し問答してもアレだし、かと言って処分されるのわかってて引き渡すのも後味悪いし。
とりあえず引き取るよ、仕方ない。みんなもそれでいい?」
みんなを見ると、ヤレヤレって顔をしながらも笑って頷いてくれてました。やっぱりみんな優しいな…
「助かります。事情でこうはなりましたけど、一応同じ釜の飯を食べた仲間だったんで、ちょっと呵責もあるんです。
手間をおかけして申し訳ありませんが、ありがとうございます。
そのお礼じゃないですけど、機密漏洩にならない程度ですが、少し情報提供させて下さい。
今回の襲撃に関しての事なんで、偉い方に報告して頂いても大丈夫です。どう判断されるかはわかりませんけど…」
どうやら、当事者から一連の出来事について説明が貰えるみたいです。
僕達はバーミル君の話を聞く事にしました。
シアがドアを開けると、そこには丸眼鏡やをかけた細身で銀髪の青年が、人懐こい笑顔で立っていました。
「突然お邪魔してすいません。ちょっと人を探してまして」
「こんな人里離れた場所で人探しとはのぉ…恐らくとは思うが、そなた魔族じゃろ?
ちなみにお主の探し人はアレかの?」
「…あ、アレですね。なんとなくですけど、アレご迷惑をおかけしてるでしょ?
こんな時間に、重ねて申し訳ありませんでした」
なんていうか、言葉遣いと表情から申し訳なさが溢れて出てるような気がします。
「えーっと…アレの様子を見ると、身バレしちゃってますよね?変化すらしてないし…」
「身バレというかの、フランカの事も併せて全部勝手に喋ったんじゃが…」
「…ハァ。やっぱり単独行動とかさせるんじゃなかった…めんどくさ」
溜息を吐きながらボヤいてます。
「…状況は大体わかりました。自分は彼女の部下で副隊長のバーミルと言います。
お聞き頂いた通りの事情でフランカに滞在してるんですが、明日には引き上げますんで、見逃して貰えると有難いです。
で、アレについては、もう煮るなり焼くなりお任せしますので、お好きな様にして下さい」
「お、おい!?バーミル?どういう事だ?ワタシを連れ戻しに来たんじゃないのか?
それに撤退だなどと…そのような話は聞いていないぞ!
バーミル!越権行為ではないのかっ!?」
うん、普通考えたらそうだよね。ナディアさんの疑問はもっともです。
「…小隊長。誰のせいでしょうね?
自分は出撃時点で、大隊長から命令を受けてました。アナタが何らかのミスをした場合、解任して後の指揮は自分が摂る事になってます。
また、いかなる理由があっても、本作戦において我々の関与が露見した場合は、速やかに撤退する事も決まってます。
コレ、大隊長の命令書です」
「大隊長のサイン…ワタシは何も聞いてないのに…」
「それからですね、想定されたケースなんで、一応現場判断ということで、アナタを軍規違反で処分する許可も貰ってるんですけど…
多分ソレすると、自分の身の安全が保障されそうにないんですよね…」
バーミル君、なかなか鋭い。
「正直なところ、変化を解いて全力で戦っても生き残る可能性が全く見えないので、こうして大人しくしてるわけで」
「あ、ちょっといいかな?僕はここにいるメンバーの引率なんだけどさ。あ、名前はユーマです。
それで、コレ引き取ってくれないの?
本人は帰れないって聞かないんだよね」
「えーっと…ムリっす。っていうか要らないです。
仮に引き取っても、確実にどっかで処分しなきゃいけないですし、急ぎ撤退するんで騒がれたら迷惑なんですよね。
あ、了解頂けるんでしたらココで処分したいですけど?」
えー…それはヤダなぁ。
「流石にそれはいい気分じゃないから無理だわ。かと言って、そこらで適当に解放するわけにもいかないしなぁ…」
「あ!それなら差し上げます!慰みモノにしてもらっても全然いいんで。
どっかで奴隷化して、売り払って頂いても大丈夫です。
どうせ拷問しても、重要機密はこの人には伝えられてないんで問題ないし」
バーミル君の発言を聞いたナディアさんは、あまりの衝撃に一瞬機能停止した後、我に返って絶叫しました。
「どういうことっ!?なんで?ワタシが受けた命令って重要機密じゃなかったって事っ!?
それにたとえ大隊長の命令があったって、そんな事すればパパが黙ってないわっ!」
「えーっとですね…今更の報告ながら、アホネン子爵と奥様は既にご了承済みなんですよね…
というか、子爵ご夫婦からのご提案と聞いてますね」
…あーあ、ぶっちゃけたね。
恐らく不出来な娘を合法的に処分して、家の名誉を守るとかそういう話じゃないかな。貴族ならやりそうだし。
「不始末があった場合は、名誉の戦死扱いにするということで話がついていますので、ご実家には迷惑はかかりません。どうぞご安心下さい。
というわけで、ユーマ殿でしたね。コレはお任せします」
ナディアさんは、両親にすら完全に見放されてた事実を知って顔が青褪めてる。うーん…さすがにちょっと可哀想だね。
「それ聞いちゃうとなぁ…
まぁ、バーミル君と押し問答してもアレだし、かと言って処分されるのわかってて引き渡すのも後味悪いし。
とりあえず引き取るよ、仕方ない。みんなもそれでいい?」
みんなを見ると、ヤレヤレって顔をしながらも笑って頷いてくれてました。やっぱりみんな優しいな…
「助かります。事情でこうはなりましたけど、一応同じ釜の飯を食べた仲間だったんで、ちょっと呵責もあるんです。
手間をおかけして申し訳ありませんが、ありがとうございます。
そのお礼じゃないですけど、機密漏洩にならない程度ですが、少し情報提供させて下さい。
今回の襲撃に関しての事なんで、偉い方に報告して頂いても大丈夫です。どう判断されるかはわかりませんけど…」
どうやら、当事者から一連の出来事について説明が貰えるみたいです。
僕達はバーミル君の話を聞く事にしました。
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