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第四章 プラム村
第116話
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「バルドさん、少し仲間達と相談させて貰えますか?流石に価値がある物だと思うので…」
「ふむ。確かにユーマ殿の言われる事には一理あるがね。軍としては強制押収みたいな事はしたくない。
これでも、防衛戦の殊勲者であるユーマ殿にだからこその提案だと言う事さ。
ただ、一存で決められないのも理解は出来る。
私は一旦司令室に戻るから、話がまとまったらそちらを訪ねてくれ」
そう言って、バルドさんは立ち去っていきました。
さすが軍隊だね。押収って言われるとは思わなかったよ。
バルドさんの言ってた事って、言い換えたら気を遣った脅しだもんなぁ。結論ありきで、物は渡せ、引き換えにお金を受け取るか受け取らないかはこっちに任せるぞって事じゃん。
そりゃ結局物は渡すんだから、お金は受け取らないって選択肢はありえないでしょ。
でも、気になる事もあるんだよね。
「マイラさん、事件の証拠品って言ってるけど、全体が必要な理由ってあると思う?
そこがちょっと引っかかってさ」
「うん、これといって理由は思いつかないねぇ。証拠品足り得るモノさえあれば十分なはずだよ。
アタシなら、焼印が押されたジェネラルが居たって事実はわかるように、皮を剥いで討伐証明部位を添えて渡すかな。
ギルドに、ジェネラルである保証書を添付して貰えたら上出来だと思うね」
なるほど、流石マイラさん。
それなら交渉する価値があるかもしれないなぁ。まぁ、最悪全部渡して代金貰うとしても仕方ないわけだし。
「ありがとう!じゃあ、一応バルドさんと交渉してみるよ。ダメでもともとだし」
「ユーマ、私達はあんたが決めた事なら誰も否定しないわよ!
任せるからしっかりやりなさいよね!」
ネルの言葉にみんなが頷いてくれました。よし、頑張ろ!
司令室に入ると、バルドさんは応接セットで書類を読みながらお茶を飲んでいました。
「やぁ、待ってたよ。結論はまとまったみたいだね」
「お待たせしてすいません。大枠は決まりました。
でもその前に確認なんですけど、オーク・ジェネラルの肉って食べた事ありますか?」
「肉?あぁ、昔一度だけ食べたが美味しかったなぁ。今度のあれも証拠品じゃなかったら、なんてな」
お、これはなんだか行けそうな気がする。
「実は僕、結構料理が得意なんです。それで、いつも香辛料なんかも持ち歩いてましてね。あのジェネラルの肉で焼肉やらスープやらを作ろうと思ってたんですよ。
それで、仲間達とも話し合ってみたんですけど、あのジェネラルの肉で慰労会と炊き出しをしようかなと。
結論から言えば、証拠品にするだけなら、焼印が押された皮と、ジェネラルだと言う保証書をギルドに発行して貰えば十分じゃないかなと」
「…だが、全身の調査をする可能性もある」
「間に合わなかったんですって。焼印がある報告を受けた時には、もう炊き出しが始まってた。
権利者の僕達が、善意で慰労会を開いてたわけですよ。
治安部隊としては、最低限証拠品足り得る物は交渉して確保して、ギルドの保証も取った。
防衛に活躍してくれた兵士や冒険者、怖い思いをした村人達は美味い肉で英気を養う。
どうです?それで手を打ちませんか?」
悩んでるね。責任感ある人だなぁ。
「もちろん僕達にも欲はあります。全身を買い取って貰う方が査定額は上がるんです。でも、経費もかかりますよね?結構な高額になりますよ。
まぁ、押収されても構わないんですけどね。
沢山の人に喜んで貰えなくなるのは残念ですが」
「若いのになかなか交渉上手じゃないか。だが、いい案だ。
ふっ…間に合わなかったか…
この歳まで実直に生きて来たが、こう言う悪巧みもなかなか心が躍るもんだな。
いいだろう。ユーマ殿のマイナスがいささか多い様な気もするが、この私に悪事の片棒を担がせる代金だと思うんだな」
にやにやしながら何言ってるんだか。この人ノリノリじゃないですか。
けど話はまとまったね。
その後、バルドさんと共に冒険者ギルドを訪ね、カウフマン所長に計画の概要を説明すると、所長は大笑いしながら保証書の作成に同意してくれました。
カウフマン所長がバルドさんと握手しながら「あんたも意外と融通が利くようになったな」なんて言ってニヤニヤするもんだから、バルドさんも照れながら「軍人にも悪い奴はいるもんだ」なんて言ってたのが印象的でした。
「ユーマ殿の炊き出しには、ギルドも全面的に強力させてもらいたい。調理や配膳に必要な道具や人手も手配させて貰う」
「治安部隊は会場準備を手伝わせて貰おう。ちょうど門の前が片付いて開けてるから、あそこを使えばちょうどいい。
カマドも数が必要だろう?部下達の訓練にもなるからな。戻り次第、取り掛かれるようにしておく」
2人の力強い共犯者が出来たので、炊き出しのプランを立てて共有すると、早速準備の為に動くことに。
バルドさんと別れ解体場に向かうと、カウフマンさんが、解体されたジェネラルの肉を会場まで運ぶ様に指示をしてくれました。
彼が職員に部位毎の切り分けを指示した時に、炊き出しの話をすると驚きと歓声が上がったのにはびっくりしたけどね。
「職員やってるようなヤツラは全員、ジェネラルの肉が高級食材で美味いのくらい知ってるからな。
滅多にありつけないご馳走だ、そりゃ喜ぶに決まってるさ」
だってさ。
なんだか、とんでもないことを提案しちゃった様な気がします。
「ふむ。確かにユーマ殿の言われる事には一理あるがね。軍としては強制押収みたいな事はしたくない。
これでも、防衛戦の殊勲者であるユーマ殿にだからこその提案だと言う事さ。
ただ、一存で決められないのも理解は出来る。
私は一旦司令室に戻るから、話がまとまったらそちらを訪ねてくれ」
そう言って、バルドさんは立ち去っていきました。
さすが軍隊だね。押収って言われるとは思わなかったよ。
バルドさんの言ってた事って、言い換えたら気を遣った脅しだもんなぁ。結論ありきで、物は渡せ、引き換えにお金を受け取るか受け取らないかはこっちに任せるぞって事じゃん。
そりゃ結局物は渡すんだから、お金は受け取らないって選択肢はありえないでしょ。
でも、気になる事もあるんだよね。
「マイラさん、事件の証拠品って言ってるけど、全体が必要な理由ってあると思う?
そこがちょっと引っかかってさ」
「うん、これといって理由は思いつかないねぇ。証拠品足り得るモノさえあれば十分なはずだよ。
アタシなら、焼印が押されたジェネラルが居たって事実はわかるように、皮を剥いで討伐証明部位を添えて渡すかな。
ギルドに、ジェネラルである保証書を添付して貰えたら上出来だと思うね」
なるほど、流石マイラさん。
それなら交渉する価値があるかもしれないなぁ。まぁ、最悪全部渡して代金貰うとしても仕方ないわけだし。
「ありがとう!じゃあ、一応バルドさんと交渉してみるよ。ダメでもともとだし」
「ユーマ、私達はあんたが決めた事なら誰も否定しないわよ!
任せるからしっかりやりなさいよね!」
ネルの言葉にみんなが頷いてくれました。よし、頑張ろ!
司令室に入ると、バルドさんは応接セットで書類を読みながらお茶を飲んでいました。
「やぁ、待ってたよ。結論はまとまったみたいだね」
「お待たせしてすいません。大枠は決まりました。
でもその前に確認なんですけど、オーク・ジェネラルの肉って食べた事ありますか?」
「肉?あぁ、昔一度だけ食べたが美味しかったなぁ。今度のあれも証拠品じゃなかったら、なんてな」
お、これはなんだか行けそうな気がする。
「実は僕、結構料理が得意なんです。それで、いつも香辛料なんかも持ち歩いてましてね。あのジェネラルの肉で焼肉やらスープやらを作ろうと思ってたんですよ。
それで、仲間達とも話し合ってみたんですけど、あのジェネラルの肉で慰労会と炊き出しをしようかなと。
結論から言えば、証拠品にするだけなら、焼印が押された皮と、ジェネラルだと言う保証書をギルドに発行して貰えば十分じゃないかなと」
「…だが、全身の調査をする可能性もある」
「間に合わなかったんですって。焼印がある報告を受けた時には、もう炊き出しが始まってた。
権利者の僕達が、善意で慰労会を開いてたわけですよ。
治安部隊としては、最低限証拠品足り得る物は交渉して確保して、ギルドの保証も取った。
防衛に活躍してくれた兵士や冒険者、怖い思いをした村人達は美味い肉で英気を養う。
どうです?それで手を打ちませんか?」
悩んでるね。責任感ある人だなぁ。
「もちろん僕達にも欲はあります。全身を買い取って貰う方が査定額は上がるんです。でも、経費もかかりますよね?結構な高額になりますよ。
まぁ、押収されても構わないんですけどね。
沢山の人に喜んで貰えなくなるのは残念ですが」
「若いのになかなか交渉上手じゃないか。だが、いい案だ。
ふっ…間に合わなかったか…
この歳まで実直に生きて来たが、こう言う悪巧みもなかなか心が躍るもんだな。
いいだろう。ユーマ殿のマイナスがいささか多い様な気もするが、この私に悪事の片棒を担がせる代金だと思うんだな」
にやにやしながら何言ってるんだか。この人ノリノリじゃないですか。
けど話はまとまったね。
その後、バルドさんと共に冒険者ギルドを訪ね、カウフマン所長に計画の概要を説明すると、所長は大笑いしながら保証書の作成に同意してくれました。
カウフマン所長がバルドさんと握手しながら「あんたも意外と融通が利くようになったな」なんて言ってニヤニヤするもんだから、バルドさんも照れながら「軍人にも悪い奴はいるもんだ」なんて言ってたのが印象的でした。
「ユーマ殿の炊き出しには、ギルドも全面的に強力させてもらいたい。調理や配膳に必要な道具や人手も手配させて貰う」
「治安部隊は会場準備を手伝わせて貰おう。ちょうど門の前が片付いて開けてるから、あそこを使えばちょうどいい。
カマドも数が必要だろう?部下達の訓練にもなるからな。戻り次第、取り掛かれるようにしておく」
2人の力強い共犯者が出来たので、炊き出しのプランを立てて共有すると、早速準備の為に動くことに。
バルドさんと別れ解体場に向かうと、カウフマンさんが、解体されたジェネラルの肉を会場まで運ぶ様に指示をしてくれました。
彼が職員に部位毎の切り分けを指示した時に、炊き出しの話をすると驚きと歓声が上がったのにはびっくりしたけどね。
「職員やってるようなヤツラは全員、ジェネラルの肉が高級食材で美味いのくらい知ってるからな。
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だってさ。
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