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第四章 プラム村
第110話
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「バルド隊長!後方に控えていたオークの集団が動き出しました!数は26!中央に金属を纏った巨体のオークがいます!」
「何っ!…クソっ、まだそんなにいやがるのか…
聞こえたか?オークはあとたった26匹だぞ!気合い入れろ!勝てるぞ!」
バルドは内心を隠し、部下達を鼓舞する。
彼も理解しているのだ。まだ死者は出ていないものの、兵士達の心身は既に限界に近い。
何人かはオークの攻撃を受け、かなりの重症を負っている。
それら兵士達は、辛うじて即死ではなく、ポーションや冒険者の回復魔法もあって、再び戦列に復帰してはいるものの、心に受けたダメージはそんなに簡単には回復しないものだ。
今は村を守るという使命感により、理性で無理矢理、恐怖心を抑え込んで戦っている。
だからこそ、バルドは己の内心を隠す。
バルドの気持ちが折れ、弱気が表に出た瞬間、部隊の士気は崩壊してしまう。そしてそれは敗北と同時に村の破滅であるのだ。
また、兵士達も理解している。
自分達が限界に近い事も、バルドが気持ちを抑えて鼓舞している事もわかってるのだ。
だからこそ、この勇敢な指揮官が折れない限り、彼らも限界を超えて戦い続けられるのだった。
(少しオークの襲来ペースが落ちている?)
門から侵入してくるオークはまだいる。しかし、侵入してくる間隔が当初より開いて来ているのだ。
そのおかげで、負傷者の治療や回復に充てる時間が確保しやすくなっている。
兵士達もまた、それに気づいているようだった。
「隊長!奴らの圧力が弱まってきてませんか?」
「確かにな、だが先程の報告からすればこれからのはず…」
「報告!先程の集団に対して極めて強力な魔法攻撃がおこなわれました!
あ、またです!これはなんという…
残っていたオーク部隊の半数以上が、魔法により倒された模様です!」
物見からの報告は、バルドにとって福音に近いものに感じられていた。
この後予想されていた危機が、軽減される可能性が出て来たという事になるのだから。
「援軍なのか…?」
だがそんなはずはない。
唯一の可能性として、依頼に出ている冒険者が、帰還途中に戦闘に参加する事は考えられる。
しかし、先程の報告に上がった様な大規模魔法を使える冒険者の話など、この村では聞いた事がなかった。
偶然、高位の冒険者が通りかかる可能性もゼロではないが、そんな事に期待を寄せられる程、余裕ある状況ではないのだ。
指揮官たる者、常に現実主義でなければならないのである。
そして何よりも気になるのは、巨体のオークである。
まず間違いなくソレはオーク達の長であろう。そしてその巨体からして、間違いなく上位のオーク、オークナイトもしかしたらジェネラル、最悪の場合キングである可能性もあるのだ。
もし、それらのクラスのオークであった場合、ここに居る全員でかかっても、間違いなく全滅するだろう。
その巨体が倒された報告はまだない…
「隊長!オークの侵入が止まりました!しばらく侵入の恐れはありません」
「わかった!この隙に立て直すぞ!怪我のあるものは大至急回復にかかれ!」
戦闘中は時間が取れず、小さな負傷は後回しにせざるを得なかった。
だがしかし、その様な怪我の積み重ねは、徐々に体力を減らし、いずれは生命に関わる、重大な負傷に繋がってしまうものだ。
しっかり治療する事で、再び戦闘力を取り戻し、部隊全体の能力を十全に発揮出来るようになるのはありがたかった。
しかし、その行動は良い方向で無駄になったのだ。
「隊長!報告!オークの指揮官と見られる個体が倒された模様!
残ったオークは動揺から、森へと逃げつつあります!」
「なんだと!?何が起きた?さっきの魔法か?」
もちろん伝令兵にも、その理由は分からなかった。
「わかりません!突然倒された様にしか…」
「そうか…まぁいい。みんな!勝ったぞ!敵は去った!
我々の勝利だ!勝閧を上げろ!」
バルドの声に、一瞬顔を見合わせた兵士達だった。
だが、その言葉の意味を理解すると同時に、一気に顔を綻ばせ、歓喜の声を上げるのだった。
「何っ!…クソっ、まだそんなにいやがるのか…
聞こえたか?オークはあとたった26匹だぞ!気合い入れろ!勝てるぞ!」
バルドは内心を隠し、部下達を鼓舞する。
彼も理解しているのだ。まだ死者は出ていないものの、兵士達の心身は既に限界に近い。
何人かはオークの攻撃を受け、かなりの重症を負っている。
それら兵士達は、辛うじて即死ではなく、ポーションや冒険者の回復魔法もあって、再び戦列に復帰してはいるものの、心に受けたダメージはそんなに簡単には回復しないものだ。
今は村を守るという使命感により、理性で無理矢理、恐怖心を抑え込んで戦っている。
だからこそ、バルドは己の内心を隠す。
バルドの気持ちが折れ、弱気が表に出た瞬間、部隊の士気は崩壊してしまう。そしてそれは敗北と同時に村の破滅であるのだ。
また、兵士達も理解している。
自分達が限界に近い事も、バルドが気持ちを抑えて鼓舞している事もわかってるのだ。
だからこそ、この勇敢な指揮官が折れない限り、彼らも限界を超えて戦い続けられるのだった。
(少しオークの襲来ペースが落ちている?)
門から侵入してくるオークはまだいる。しかし、侵入してくる間隔が当初より開いて来ているのだ。
そのおかげで、負傷者の治療や回復に充てる時間が確保しやすくなっている。
兵士達もまた、それに気づいているようだった。
「隊長!奴らの圧力が弱まってきてませんか?」
「確かにな、だが先程の報告からすればこれからのはず…」
「報告!先程の集団に対して極めて強力な魔法攻撃がおこなわれました!
あ、またです!これはなんという…
残っていたオーク部隊の半数以上が、魔法により倒された模様です!」
物見からの報告は、バルドにとって福音に近いものに感じられていた。
この後予想されていた危機が、軽減される可能性が出て来たという事になるのだから。
「援軍なのか…?」
だがそんなはずはない。
唯一の可能性として、依頼に出ている冒険者が、帰還途中に戦闘に参加する事は考えられる。
しかし、先程の報告に上がった様な大規模魔法を使える冒険者の話など、この村では聞いた事がなかった。
偶然、高位の冒険者が通りかかる可能性もゼロではないが、そんな事に期待を寄せられる程、余裕ある状況ではないのだ。
指揮官たる者、常に現実主義でなければならないのである。
そして何よりも気になるのは、巨体のオークである。
まず間違いなくソレはオーク達の長であろう。そしてその巨体からして、間違いなく上位のオーク、オークナイトもしかしたらジェネラル、最悪の場合キングである可能性もあるのだ。
もし、それらのクラスのオークであった場合、ここに居る全員でかかっても、間違いなく全滅するだろう。
その巨体が倒された報告はまだない…
「隊長!オークの侵入が止まりました!しばらく侵入の恐れはありません」
「わかった!この隙に立て直すぞ!怪我のあるものは大至急回復にかかれ!」
戦闘中は時間が取れず、小さな負傷は後回しにせざるを得なかった。
だがしかし、その様な怪我の積み重ねは、徐々に体力を減らし、いずれは生命に関わる、重大な負傷に繋がってしまうものだ。
しっかり治療する事で、再び戦闘力を取り戻し、部隊全体の能力を十全に発揮出来るようになるのはありがたかった。
しかし、その行動は良い方向で無駄になったのだ。
「隊長!報告!オークの指揮官と見られる個体が倒された模様!
残ったオークは動揺から、森へと逃げつつあります!」
「なんだと!?何が起きた?さっきの魔法か?」
もちろん伝令兵にも、その理由は分からなかった。
「わかりません!突然倒された様にしか…」
「そうか…まぁいい。みんな!勝ったぞ!敵は去った!
我々の勝利だ!勝閧を上げろ!」
バルドの声に、一瞬顔を見合わせた兵士達だった。
だが、その言葉の意味を理解すると同時に、一気に顔を綻ばせ、歓喜の声を上げるのだった。
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