84 / 170
第三章 バーナムの街
第82話
しおりを挟む
巴には馬の姿に戻ってもらい、僕達は巨石の近くで簡単な昼食を済ませました。
朝と同様の平パンサンド。そろそろジルさんのソースを完成させなきゃね。あと香辛料欲しい。
ちなみに巴は、草で栄養確保は出来るもの、スレイプニルになったと言う事で肉も食べられるそうです。頼むから馬の姿で肉を欲しがらないで?
昼ご飯を済ませた後は、街道方面に向かって移動する事に。
巴は、馬具に文句を言う事も無く馬車を牽き始めてくれます。しかも、スレイプニルになったおかげで、行き道よりも快調なペースで進めてるんだよね。
今、巴の背中には風羽花とネルが乗り込み、巴を交えて何やらトークで盛り上がってるみたい。
かく言う僕はグラルとシア、マイラさんの4人で雑談タイム。
そんな平和なひと時は銀の報告で終わりを告げました。
『殿!周囲を哨戒している配下から連絡がありました。
左手方向から、武装した10人程の人族がこちらに向かっているとの事でござる!』
「ありがと、銀。配下達は相手に接触しないように気をつけて戻らせて。何者だろうね?」
『そこまではわかりませぬ。ただ騎乗の者はおらず、全員が徒歩であると聞いたでござる』
騎乗してないって事は騎士ではないのか…
そうなると可能性は、冒険者のパーティかもしくは盗賊ってあたりかな?
先制攻撃するわけにもいかないから、向こうの行動待ちするしかないのが難点だね。
とりあえず、まずは初撃に備えておいて、それから反撃に移る方針でいこう。
数分後辿り着いた10人は、予想していた冒険者でした。予想と全く違っていたのは彼らの第一声。
「おおぃ!助けてくれっ!あ、いや、あんたらも逃げろ!」
いきなり逃げろと言われましてもねぇ…
「逃げろとは物騒な話じゃの?何があったのじゃ?」
「飛竜だ!俺たちを狙ってやがる!せめてどこか障害物がある所にでも逃げないとダメだ!」
「ふん、おおかた親飛竜の留守に卵泥棒でもしたんじゃないのかい?全く報酬に釣られるアホ共が。
悪い事は言わないよ、盗んだ卵をそっと置いていくんだねぇ」
マイラさんの言葉に動揺を隠せない様子の冒険者達。
完全にやらかしてんじゃん。それなら自業自得だからなぁ…助ける気にもならないや。
「部外者が勝手な事言ってんじゃねぇ!俺達だって生活がかかってんだよ!」
「ならば、そちらこそ勝手にすれば良かろ?我等に付き合う理由はないのじゃ。
ほれ、とっとと去れ。そこに居られては、我等まで卵泥棒の仲間と勘違いされるじゃろ」
「クッソ!テメェ等の顔は覚えたからなっ!いつか街で見かけたらタダじゃ済まさねぇ!
って、行くぞ!時間無駄にしちまった!急げ!」
捨て台詞を投げた連中は、どうやら僕達がいた遺跡っぽい巨石へ向かうようです。
隠れてやり過ごすつもりか、障害物を盾に飛竜と戦うつもりなのかは知らないけど。
「マイラさん、その飛竜の卵って高く売れる物なの?10人で行動しても赤字にならないって事だよね?」
「そうか、ユーマ君なら知らなくてもおかしくないねぇ。
アレの卵には使い途がいくつかあるのさ。それはね…」
飛竜。
マイラさんの説明によれば、下位のドラゴンだと言う人もいるが、複数の種類がいるんだそうです。
ブレス攻撃が出来る種類は下位のドラゴンで、ブレスの吐けない種類については、形が似ているだけの羽根が生えたでっかいトカゲらしい。
当然、下位のドラゴンである方は、それなりの脅威度であり、その属性に応じたブレス攻撃をしてくる難敵という認識。その上知性も高い為に狩るのが難しい反面、卵から孵して子供から育てる事により、騎竜として使う事も可能なんだって。
一方、大羽根トカゲである方は、基本的な攻撃手段が噛みつき、爪撃、尻尾での薙ぎ払いだけのため、力のある冒険者であれば単独で狩る事も可能なんだそうな。
ただ、どちらの種類にせよ、その卵は高級食材として非常に人気があり、王侯貴族のパーティなどではメインの一角を張る程。
そのため、多少の危険を覚悟で採取に向かう冒険者も少なくないそうです。
「親の姿を見てないから判断は難しいけど、さっきの連中を見た感じだと、多分羽根トカゲを狙ってたんじゃないかねぇ。
それ程腕が立つようにも見えなかったし」
ただし注意しなきゃいけない事があるんだって。
それは、どちらの種類の飛竜でも、巣作りの習性や、卵の形状に大きな差がないって事。
もちろん、鑑定に長けた人は見分ける事が可能なんだけど、そうじゃない場合はトカゲ狙いでドラゴンの方の巣を漁って、あっさり全滅させられるケースも少なくないみたい。
「さっきの連中が、下位のドラゴンの巣を引き当ててないとは言えないからねぇ。
せめて卵を置いて逃げれば、アタシならどっちか判断出来たんだけど。
まぁ、どっちの飛竜も性格的に相当しつこいし、卵に関しての執着は特に凄いからねぇ」
とか話してると上空に大きな影。
あ、来たね。真っ直ぐさっき連中の向かった先を目指してるみたい。
もう少し出発が遅かったら巻き込まれてたパターンだわ。
朝と同様の平パンサンド。そろそろジルさんのソースを完成させなきゃね。あと香辛料欲しい。
ちなみに巴は、草で栄養確保は出来るもの、スレイプニルになったと言う事で肉も食べられるそうです。頼むから馬の姿で肉を欲しがらないで?
昼ご飯を済ませた後は、街道方面に向かって移動する事に。
巴は、馬具に文句を言う事も無く馬車を牽き始めてくれます。しかも、スレイプニルになったおかげで、行き道よりも快調なペースで進めてるんだよね。
今、巴の背中には風羽花とネルが乗り込み、巴を交えて何やらトークで盛り上がってるみたい。
かく言う僕はグラルとシア、マイラさんの4人で雑談タイム。
そんな平和なひと時は銀の報告で終わりを告げました。
『殿!周囲を哨戒している配下から連絡がありました。
左手方向から、武装した10人程の人族がこちらに向かっているとの事でござる!』
「ありがと、銀。配下達は相手に接触しないように気をつけて戻らせて。何者だろうね?」
『そこまではわかりませぬ。ただ騎乗の者はおらず、全員が徒歩であると聞いたでござる』
騎乗してないって事は騎士ではないのか…
そうなると可能性は、冒険者のパーティかもしくは盗賊ってあたりかな?
先制攻撃するわけにもいかないから、向こうの行動待ちするしかないのが難点だね。
とりあえず、まずは初撃に備えておいて、それから反撃に移る方針でいこう。
数分後辿り着いた10人は、予想していた冒険者でした。予想と全く違っていたのは彼らの第一声。
「おおぃ!助けてくれっ!あ、いや、あんたらも逃げろ!」
いきなり逃げろと言われましてもねぇ…
「逃げろとは物騒な話じゃの?何があったのじゃ?」
「飛竜だ!俺たちを狙ってやがる!せめてどこか障害物がある所にでも逃げないとダメだ!」
「ふん、おおかた親飛竜の留守に卵泥棒でもしたんじゃないのかい?全く報酬に釣られるアホ共が。
悪い事は言わないよ、盗んだ卵をそっと置いていくんだねぇ」
マイラさんの言葉に動揺を隠せない様子の冒険者達。
完全にやらかしてんじゃん。それなら自業自得だからなぁ…助ける気にもならないや。
「部外者が勝手な事言ってんじゃねぇ!俺達だって生活がかかってんだよ!」
「ならば、そちらこそ勝手にすれば良かろ?我等に付き合う理由はないのじゃ。
ほれ、とっとと去れ。そこに居られては、我等まで卵泥棒の仲間と勘違いされるじゃろ」
「クッソ!テメェ等の顔は覚えたからなっ!いつか街で見かけたらタダじゃ済まさねぇ!
って、行くぞ!時間無駄にしちまった!急げ!」
捨て台詞を投げた連中は、どうやら僕達がいた遺跡っぽい巨石へ向かうようです。
隠れてやり過ごすつもりか、障害物を盾に飛竜と戦うつもりなのかは知らないけど。
「マイラさん、その飛竜の卵って高く売れる物なの?10人で行動しても赤字にならないって事だよね?」
「そうか、ユーマ君なら知らなくてもおかしくないねぇ。
アレの卵には使い途がいくつかあるのさ。それはね…」
飛竜。
マイラさんの説明によれば、下位のドラゴンだと言う人もいるが、複数の種類がいるんだそうです。
ブレス攻撃が出来る種類は下位のドラゴンで、ブレスの吐けない種類については、形が似ているだけの羽根が生えたでっかいトカゲらしい。
当然、下位のドラゴンである方は、それなりの脅威度であり、その属性に応じたブレス攻撃をしてくる難敵という認識。その上知性も高い為に狩るのが難しい反面、卵から孵して子供から育てる事により、騎竜として使う事も可能なんだって。
一方、大羽根トカゲである方は、基本的な攻撃手段が噛みつき、爪撃、尻尾での薙ぎ払いだけのため、力のある冒険者であれば単独で狩る事も可能なんだそうな。
ただ、どちらの種類にせよ、その卵は高級食材として非常に人気があり、王侯貴族のパーティなどではメインの一角を張る程。
そのため、多少の危険を覚悟で採取に向かう冒険者も少なくないそうです。
「親の姿を見てないから判断は難しいけど、さっきの連中を見た感じだと、多分羽根トカゲを狙ってたんじゃないかねぇ。
それ程腕が立つようにも見えなかったし」
ただし注意しなきゃいけない事があるんだって。
それは、どちらの種類の飛竜でも、巣作りの習性や、卵の形状に大きな差がないって事。
もちろん、鑑定に長けた人は見分ける事が可能なんだけど、そうじゃない場合はトカゲ狙いでドラゴンの方の巣を漁って、あっさり全滅させられるケースも少なくないみたい。
「さっきの連中が、下位のドラゴンの巣を引き当ててないとは言えないからねぇ。
せめて卵を置いて逃げれば、アタシならどっちか判断出来たんだけど。
まぁ、どっちの飛竜も性格的に相当しつこいし、卵に関しての執着は特に凄いからねぇ」
とか話してると上空に大きな影。
あ、来たね。真っ直ぐさっき連中の向かった先を目指してるみたい。
もう少し出発が遅かったら巻き込まれてたパターンだわ。
0
お気に入りに追加
536
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる