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第三章 バーナムの街
第80話
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辿り着いたそこは、岩場と言うより巨石群って感じです。
雰囲気的には、紅茶の国の有名なアレみたいに、岩が積み重ねてあるようなやつ。
「…遺跡?」
思わず呟いた言葉に、ネルが反応しました。
「ううん、飾りよ」
…へ?
「昔さぁ、若気の至りって言うかさぁ…ちょっとカッコイイかなぁって」
…?
「ほら、フィールドデザインみたいなやつ?なんか意味ありげなモニュメントっぽいやつを配置するのが流行りだったのよねー」
え?どう言うこと?
「だから、私がガイアスを作ったのよ?忘れた?
その頃、同時期に世界創りをしてた神のなかで、なんていうかゲームっぽい感じのオブジェを配置するのが、最新トレンドだったのよ。だから見た目に意味はないんだなぁ」
なるほど、一見歴史的な意味の有りそうな建造物っぽく見えるエクステリアだって事か。
「紛らわしいわっ!
けどまぁ、ここが神殿でしたとか、隠しダンジョンの入り口がありますとかいうと、攻略しないとダメ系のフラグで身動き取れなくなりそうだから良かったけどさ」
「ここにはないわよ。他のとこにはダンジョンになったのもあるんだけどね」
…またさりげなく凄い事言ってるし。
「あるんだ?ダンジョン…」
「そりゃあるわよ。あいつら勝手に生えてくるのよ?
場所は選ぶみたいで街の中に生えたりはしないんだけどさぁ…
こういう飾りっぽい場所とかわりと好みみたいなのよ。
まぁ、魔力が溜まりやすい場所ではあるんだけどね」
ネルの解説によれば、ダンジョンは魔力が滞留しやすい場所に自然発生するらしいです。
生き物じゃないけど成長したり、成長すると子ダンジョンを生み出したりもするらしく、イメージとしては植物っぽいので「生えてくる」って表現してるんだってさ。
もちろん人の表現では「発生する」なんだけど、ネルの表現の方がしっくりくるかも。
「たまに成長したダンジョンが、エサにする人を集めるために、いわゆるお宝を生み出したりするから、暇つぶしに潜ってみてもいいんじゃないかしら」
「物騒だなっ!暇つぶしって言われてもなぁ…危ないんじゃないの?」
「普通の人ならね。アンタなら平気よ?」
アンタならって…
確かに興味はあるけどね。
「とりあえず、見つけたら考えるよ。それより密約書を回収しちゃわない?
ねぇグラル。取りに行ってきてよ」
「もちろんでさ。すぐに持って来ますぜ」
グラルは馬車を降りると、巨石の一つへと駆け寄り、程なく凝った装飾の箱を取り上げて戻ってきました。
「ちゃんとありましたぜ。中身もこの通り」
箱を開くと中には、封蝋が押された書状と、目録っぽい書式の紙が同封されています。
目録には様々な品目と、密約に対するメッセージに添えてグラベール男爵のサインが書かれていました。
「ふむ、これは確かに価値のあるものだねぇ。奪われた男爵も相当焦っているに違いない」
「一応、身を守る保険にもなれば位に思ってたんですがね。結果として、旦那とお近づきになれたんで良かったでさぁ」
無事に目的の物を手に入れたし、一旦休憩をとって、草原でもう一泊してからバーナムの街に帰ろうと思います。
とりあえず昼食を食べている時に、ちょっとした事件が発生しました。
馬車を牽いてくれた馬に、約束の美味しい物を与えようという事で、検討してみた辛味人参を提供したんですよね。
まぁ馬だし、アレも一応人参だし。
それでも新鮮な方が良いだろうと、馬の目の前で活け締めして、人参本体と葉っぱを両方食べさせたんです。
とても気に入ってくれたらしくて、機嫌良さげに嘶くので、風羽花に通訳してもらったところ、もっと欲しいとの事。
で、結局10本ほど食べた時に異変が起きたんです。
馬が進化しました。
…脚が4対8脚に増えたんです。体格も一回り大きく筋肉質になりましたわ。大きさ的には◯竜号とか松◯みたいな感じですね。
いきなりピカって光るんだもん。
「何事かと思ったら、なんでスレイプニルになってんのよ?ソイツ」
「例の人参10本ほど食べさせたらこうなりました」
「そりゃ魔力飽和したのね。もしかしたらスレイプニルの因子持ちだったのかも。先祖にスレイプニルの血が入ってたって事ね、多分」
ネル先生の解説によれば、偶然にも因子持ちだったところに、魔法薬の材料になる位魔力豊富な辛味人参を、一度に大量摂取したせいで、馬のスレイプニル因子が活性化した上に、有り余る魔力が魔石を形成した結果として再構成されたみたい。
「良かったわね、因子持ちで。ただの馬なら、魔力の過剰摂取でショック死してるわよ?」
…まじすか。危うく、人力で馬車を牽く羽目になるところだったのね。
スレイプニルは魔獣に分類される生物で、性格は勇敢。普段は温厚なものの、いざ戦闘になれば格上の敵にも怯まず向かうみたい。
某神話では、神の乗騎として戦場を駆け巡ったという位に、足も速く体力も凄いそうな。
で、どうやら進化のきっかけを作った僕に懐いてくれてるみたいな感じだったので、テイムの魔力をぶつけるとすんなりテイムされてくれました。
でも念話については迷い中。だって風羽花の話聞いてると、結構愚痴っぽかったしなぁ…
「早速従魔化したのね。それなら名付けしてあげなさい?
あ、参考までに教えておくけど、その子牝馬よ。ちなみにスレイプニルは牡馬の方が気性が穏やかだから。言い換えたらじゃじゃ馬娘って事よ」
うへぇ…まじかぁ。
「だったらせめて名前だけでも淑やかにしてあげた方がいいのかなぁ…
いや、それだと違和感あるような気もするしなぁ…」
さぁ、どうしよう?迷う…
雰囲気的には、紅茶の国の有名なアレみたいに、岩が積み重ねてあるようなやつ。
「…遺跡?」
思わず呟いた言葉に、ネルが反応しました。
「ううん、飾りよ」
…へ?
「昔さぁ、若気の至りって言うかさぁ…ちょっとカッコイイかなぁって」
…?
「ほら、フィールドデザインみたいなやつ?なんか意味ありげなモニュメントっぽいやつを配置するのが流行りだったのよねー」
え?どう言うこと?
「だから、私がガイアスを作ったのよ?忘れた?
その頃、同時期に世界創りをしてた神のなかで、なんていうかゲームっぽい感じのオブジェを配置するのが、最新トレンドだったのよ。だから見た目に意味はないんだなぁ」
なるほど、一見歴史的な意味の有りそうな建造物っぽく見えるエクステリアだって事か。
「紛らわしいわっ!
けどまぁ、ここが神殿でしたとか、隠しダンジョンの入り口がありますとかいうと、攻略しないとダメ系のフラグで身動き取れなくなりそうだから良かったけどさ」
「ここにはないわよ。他のとこにはダンジョンになったのもあるんだけどね」
…またさりげなく凄い事言ってるし。
「あるんだ?ダンジョン…」
「そりゃあるわよ。あいつら勝手に生えてくるのよ?
場所は選ぶみたいで街の中に生えたりはしないんだけどさぁ…
こういう飾りっぽい場所とかわりと好みみたいなのよ。
まぁ、魔力が溜まりやすい場所ではあるんだけどね」
ネルの解説によれば、ダンジョンは魔力が滞留しやすい場所に自然発生するらしいです。
生き物じゃないけど成長したり、成長すると子ダンジョンを生み出したりもするらしく、イメージとしては植物っぽいので「生えてくる」って表現してるんだってさ。
もちろん人の表現では「発生する」なんだけど、ネルの表現の方がしっくりくるかも。
「たまに成長したダンジョンが、エサにする人を集めるために、いわゆるお宝を生み出したりするから、暇つぶしに潜ってみてもいいんじゃないかしら」
「物騒だなっ!暇つぶしって言われてもなぁ…危ないんじゃないの?」
「普通の人ならね。アンタなら平気よ?」
アンタならって…
確かに興味はあるけどね。
「とりあえず、見つけたら考えるよ。それより密約書を回収しちゃわない?
ねぇグラル。取りに行ってきてよ」
「もちろんでさ。すぐに持って来ますぜ」
グラルは馬車を降りると、巨石の一つへと駆け寄り、程なく凝った装飾の箱を取り上げて戻ってきました。
「ちゃんとありましたぜ。中身もこの通り」
箱を開くと中には、封蝋が押された書状と、目録っぽい書式の紙が同封されています。
目録には様々な品目と、密約に対するメッセージに添えてグラベール男爵のサインが書かれていました。
「ふむ、これは確かに価値のあるものだねぇ。奪われた男爵も相当焦っているに違いない」
「一応、身を守る保険にもなれば位に思ってたんですがね。結果として、旦那とお近づきになれたんで良かったでさぁ」
無事に目的の物を手に入れたし、一旦休憩をとって、草原でもう一泊してからバーナムの街に帰ろうと思います。
とりあえず昼食を食べている時に、ちょっとした事件が発生しました。
馬車を牽いてくれた馬に、約束の美味しい物を与えようという事で、検討してみた辛味人参を提供したんですよね。
まぁ馬だし、アレも一応人参だし。
それでも新鮮な方が良いだろうと、馬の目の前で活け締めして、人参本体と葉っぱを両方食べさせたんです。
とても気に入ってくれたらしくて、機嫌良さげに嘶くので、風羽花に通訳してもらったところ、もっと欲しいとの事。
で、結局10本ほど食べた時に異変が起きたんです。
馬が進化しました。
…脚が4対8脚に増えたんです。体格も一回り大きく筋肉質になりましたわ。大きさ的には◯竜号とか松◯みたいな感じですね。
いきなりピカって光るんだもん。
「何事かと思ったら、なんでスレイプニルになってんのよ?ソイツ」
「例の人参10本ほど食べさせたらこうなりました」
「そりゃ魔力飽和したのね。もしかしたらスレイプニルの因子持ちだったのかも。先祖にスレイプニルの血が入ってたって事ね、多分」
ネル先生の解説によれば、偶然にも因子持ちだったところに、魔法薬の材料になる位魔力豊富な辛味人参を、一度に大量摂取したせいで、馬のスレイプニル因子が活性化した上に、有り余る魔力が魔石を形成した結果として再構成されたみたい。
「良かったわね、因子持ちで。ただの馬なら、魔力の過剰摂取でショック死してるわよ?」
…まじすか。危うく、人力で馬車を牽く羽目になるところだったのね。
スレイプニルは魔獣に分類される生物で、性格は勇敢。普段は温厚なものの、いざ戦闘になれば格上の敵にも怯まず向かうみたい。
某神話では、神の乗騎として戦場を駆け巡ったという位に、足も速く体力も凄いそうな。
で、どうやら進化のきっかけを作った僕に懐いてくれてるみたいな感じだったので、テイムの魔力をぶつけるとすんなりテイムされてくれました。
でも念話については迷い中。だって風羽花の話聞いてると、結構愚痴っぽかったしなぁ…
「早速従魔化したのね。それなら名付けしてあげなさい?
あ、参考までに教えておくけど、その子牝馬よ。ちなみにスレイプニルは牡馬の方が気性が穏やかだから。言い換えたらじゃじゃ馬娘って事よ」
うへぇ…まじかぁ。
「だったらせめて名前だけでも淑やかにしてあげた方がいいのかなぁ…
いや、それだと違和感あるような気もするしなぁ…」
さぁ、どうしよう?迷う…
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