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第三章 バーナムの街
第78話
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楽しい工作の時間を終えて小屋に戻ると、もうマイラさんとシアは、ベッドに入ってお休み中です。
リビングのテーブルでは、ネルとグラルがなにやら話をしてる様子。
「ただいま!なかなか良いのが出来たよ!自信作」
「また?今度は何やらかしたのよ?」
今日はジト目じゃないので、冗談だね。良かった。
「うん、給湯器って言うか、水とお湯が出せる魔道具が作れたよ。これでお風呂はいつでも入れるね」
「へぇ!すごいじゃない!てか、いつもそれくらい役に立つもの作りなさいよ」
…なんて失礼な。いつも役に立つ物しか作ってないし。
「まぁ、いいわ。明日お披露目してくれんでしょ?楽しみにしとく。
それよりグラルの話なんだけど…」
グラルが言うには、盗賊頭には犯罪奴隷が適用されないだろうって事みたい。
盗賊団を率いていた分罪が重く、たとえ司法取引をしても、死刑以外はないらしい。精々、手下の助命や減刑をして貰えるだけなんだそうだ。
「それでね、グラルは付いて来たい気持ちはあるけど、過去の慣例が覆る事はまず無いから諦めるって言うから、どうにかしたいなぁって」
「功績があっても本人はダメって事か。なんかいい方法はないかな…
あ!ちょっと思い付いたんだけどさ…」
僕がふと思い付いたのは、先に奴隷化してしまうって事。
確か、犯罪者を強制的に奴隷化するのは適法だったはずだから、やったとしても罪には問われないんじゃないかな?
まだ裁判の沙汰が下ってはないけど、グラルの犯罪行為に関しては既に周知な訳だし。
それに奴隷には所有権もあるから、所有者の了解なく奴隷に危害を加えたりも出来ないはずだしね。
男爵がぶち切れるかもしれないけど、その時は喧嘩してもいいか。負ける気しないし。明日回収する密約書も交渉カードになるだろうし、エリーヌお嬢様を同行させる件も使えるかもしれない。
「なるほど…それはアリかもしれないわ。
グラルには、ちょっと酷だけど悪者になって貰って、現場の判断で奴隷化したって報告するのがいいかもね」
「ちょっと待ってくだせぇ!ユーマさんはそんな事まで出来るんですか? ほんとにとんでもないお人ですね…
よーし、そう言う事ならひと思いにやっちまってくだせぇ。
それでもし男爵がゴネやがったら、売り渡して貰って構わねぇですし」
グラルもこう言ってくれたし、やりますか!
後の事は後でどうにかするしかないもんね。
というわけで、ブランデルに続いて2回目の奴隷化魔法?を発動。
ブランデルと違って本人が前向きだったせいか、魔力の定着がスムーズにいったので、ちょっとだけ嬉しかったりもして。
グラルの上に一瞬奴隷化魔法の魔方陣が浮かび、無事成功した感覚がありました。
「すんなりやるもんね。さすがだわ。これで2人目の奴隷ゲットね。おっさんしかいないけど」
…それ言っちゃう?確かに事実だし、僕もちょっと思ったけども!
いや、グラルは仲間だから!便宜上奴隷にしただけだから!
「もう済んだんで?なんにも変わった気がしねぇですぜ?」
「多分、こっちの気持ち的なものじゃないかな?
僕にも正直なところ、よくわからない部分が多くてさ。きっとグラルを強制的に縛り付けたいって気持ちじゃなかったから、緩めの奴隷化なんだと思う。
一応言っておくけど、全然奴隷扱いするつもりはないからね?むしろ、ほとぼりが冷めたら解除したいくらいだから」
「おっさん奴隷ばっかりとか、嫌なだけなんだって言えばー」
…そんな事ない!って、言い切れないけどさぁ。
「まぁ、私が許可しなかったら、解放はさせてあげられないわよ?絶対に信用しないってわけじゃないけど、どうしても秘密が多いから」
「あの…ずっと気になってたんですがね、ネル姐さんって何者なんですかい?ただの妖精とは思えねぇんですが…」
あ、そうか。コレは明かしてもいい場面なのかな?ネルをみると頷きながら頭を指差してる。
なるほどね。例の髪飾りを出せってことか。
収納から取り出した髪飾りをネルに持たせると、その魔力で元の姿を取り戻しました。
さりげなく髪飾りをつけて優しく微笑んでドヤ顔。
「どうかしら?グラル。コレが本当の私の姿よ。何処かで見た事ないかしら?」
「めちゃくちゃ綺麗っす。姐さん。ただ、見た事はねぇ…」
「はぁっ!?なんで?私よ?このわ・た・しっ!!この美しい顔を見た事ないですってぇ!?」
やめなよネル。美人が凄むとほんと怖いからね?ほらグラルが怯えてるじゃないか。
「グラル?あんた教会行った事ないわけ?何処の教会行ったって、この美しい姿は必ず見られるじゃないのっ!!」
「教会っすか?親に捨てられる前に何回か行っただけで、ほとんど覚えてねぇんすよ!んでも教会って…?」
「グラル、この美女はネールドリア。聞いた事ないかな?
豊穣の女神ネールドリアが、ネルの正体なんだよ」
女神と聞いて一瞬驚くグラル。
「女神様っすか…すげぇ方だってのはわかるんですがね。
ずっと神様とは縁のない生活だったもんで…ほんとすいません!」
「はぁ、もぅいいわ…」
自らへの信仰について思い知ったネルは、元のサイズにもどります。
まぁ、主神だって言っても信仰ってそういう事でもあるからなぁ…
実際、教会に足繁く通うのなんて、教会関係者か一部の富裕層くらいのもんだろうし。
一般的には精々、週に一回行くだけでも、十分敬虔な信者だって言われるんじゃないかな?
「ちょっと布教頑張ろうかしら…」
最終的にネルが凹むという珍しい経験が出来ました。
リビングのテーブルでは、ネルとグラルがなにやら話をしてる様子。
「ただいま!なかなか良いのが出来たよ!自信作」
「また?今度は何やらかしたのよ?」
今日はジト目じゃないので、冗談だね。良かった。
「うん、給湯器って言うか、水とお湯が出せる魔道具が作れたよ。これでお風呂はいつでも入れるね」
「へぇ!すごいじゃない!てか、いつもそれくらい役に立つもの作りなさいよ」
…なんて失礼な。いつも役に立つ物しか作ってないし。
「まぁ、いいわ。明日お披露目してくれんでしょ?楽しみにしとく。
それよりグラルの話なんだけど…」
グラルが言うには、盗賊頭には犯罪奴隷が適用されないだろうって事みたい。
盗賊団を率いていた分罪が重く、たとえ司法取引をしても、死刑以外はないらしい。精々、手下の助命や減刑をして貰えるだけなんだそうだ。
「それでね、グラルは付いて来たい気持ちはあるけど、過去の慣例が覆る事はまず無いから諦めるって言うから、どうにかしたいなぁって」
「功績があっても本人はダメって事か。なんかいい方法はないかな…
あ!ちょっと思い付いたんだけどさ…」
僕がふと思い付いたのは、先に奴隷化してしまうって事。
確か、犯罪者を強制的に奴隷化するのは適法だったはずだから、やったとしても罪には問われないんじゃないかな?
まだ裁判の沙汰が下ってはないけど、グラルの犯罪行為に関しては既に周知な訳だし。
それに奴隷には所有権もあるから、所有者の了解なく奴隷に危害を加えたりも出来ないはずだしね。
男爵がぶち切れるかもしれないけど、その時は喧嘩してもいいか。負ける気しないし。明日回収する密約書も交渉カードになるだろうし、エリーヌお嬢様を同行させる件も使えるかもしれない。
「なるほど…それはアリかもしれないわ。
グラルには、ちょっと酷だけど悪者になって貰って、現場の判断で奴隷化したって報告するのがいいかもね」
「ちょっと待ってくだせぇ!ユーマさんはそんな事まで出来るんですか? ほんとにとんでもないお人ですね…
よーし、そう言う事ならひと思いにやっちまってくだせぇ。
それでもし男爵がゴネやがったら、売り渡して貰って構わねぇですし」
グラルもこう言ってくれたし、やりますか!
後の事は後でどうにかするしかないもんね。
というわけで、ブランデルに続いて2回目の奴隷化魔法?を発動。
ブランデルと違って本人が前向きだったせいか、魔力の定着がスムーズにいったので、ちょっとだけ嬉しかったりもして。
グラルの上に一瞬奴隷化魔法の魔方陣が浮かび、無事成功した感覚がありました。
「すんなりやるもんね。さすがだわ。これで2人目の奴隷ゲットね。おっさんしかいないけど」
…それ言っちゃう?確かに事実だし、僕もちょっと思ったけども!
いや、グラルは仲間だから!便宜上奴隷にしただけだから!
「もう済んだんで?なんにも変わった気がしねぇですぜ?」
「多分、こっちの気持ち的なものじゃないかな?
僕にも正直なところ、よくわからない部分が多くてさ。きっとグラルを強制的に縛り付けたいって気持ちじゃなかったから、緩めの奴隷化なんだと思う。
一応言っておくけど、全然奴隷扱いするつもりはないからね?むしろ、ほとぼりが冷めたら解除したいくらいだから」
「おっさん奴隷ばっかりとか、嫌なだけなんだって言えばー」
…そんな事ない!って、言い切れないけどさぁ。
「まぁ、私が許可しなかったら、解放はさせてあげられないわよ?絶対に信用しないってわけじゃないけど、どうしても秘密が多いから」
「あの…ずっと気になってたんですがね、ネル姐さんって何者なんですかい?ただの妖精とは思えねぇんですが…」
あ、そうか。コレは明かしてもいい場面なのかな?ネルをみると頷きながら頭を指差してる。
なるほどね。例の髪飾りを出せってことか。
収納から取り出した髪飾りをネルに持たせると、その魔力で元の姿を取り戻しました。
さりげなく髪飾りをつけて優しく微笑んでドヤ顔。
「どうかしら?グラル。コレが本当の私の姿よ。何処かで見た事ないかしら?」
「めちゃくちゃ綺麗っす。姐さん。ただ、見た事はねぇ…」
「はぁっ!?なんで?私よ?このわ・た・しっ!!この美しい顔を見た事ないですってぇ!?」
やめなよネル。美人が凄むとほんと怖いからね?ほらグラルが怯えてるじゃないか。
「グラル?あんた教会行った事ないわけ?何処の教会行ったって、この美しい姿は必ず見られるじゃないのっ!!」
「教会っすか?親に捨てられる前に何回か行っただけで、ほとんど覚えてねぇんすよ!んでも教会って…?」
「グラル、この美女はネールドリア。聞いた事ないかな?
豊穣の女神ネールドリアが、ネルの正体なんだよ」
女神と聞いて一瞬驚くグラル。
「女神様っすか…すげぇ方だってのはわかるんですがね。
ずっと神様とは縁のない生活だったもんで…ほんとすいません!」
「はぁ、もぅいいわ…」
自らへの信仰について思い知ったネルは、元のサイズにもどります。
まぁ、主神だって言っても信仰ってそういう事でもあるからなぁ…
実際、教会に足繁く通うのなんて、教会関係者か一部の富裕層くらいのもんだろうし。
一般的には精々、週に一回行くだけでも、十分敬虔な信者だって言われるんじゃないかな?
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