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第三章 バーナムの街
第77話
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初めての草原キャンプは、意外と大変でした。
カマドにする石や焚き木がないので、全部手持ちの資材を出さないといけません。
そうは言っても、それらは出すだけだから苦労はなかったんだけどね。
なんといっても苦労したのはお風呂。
いつもは水場に近かったから、水場にある水自体を魔力で支配して、魔力操作の延長で操った水を湯船に運び入れ、魔力で沸かすっていう事をやってたんですよね。
草原には水場がないから、全量を魔力で生成するはめに。
え?入らなきゃいいじゃん?
と思うでしょ?
ええ、無理でした。ネルですよ、もちろん。
「何言ってんのよ?水ぐらい出せるでしょう?魔力余ってるんだから。は・や・く!」
…結構大変なんだってば、出来たけど。
でも不思議とお湯は出なかったんだよなぁ…そのへんの仕組みが謎です。やれそうな気はするんだけど。
それから、お風呂関係と言えば一番驚いたのはグラルの事。
本人も遠慮したし、僕も無理にとは思わなかったんだけど、これもネルの一声。
「何言ってんのよ?入りなさいよ。まさか見せられないくらいのモノしかないのかしら?」
…だってさ。
そっち!?ってなったよ。
いや、普通は見られたくないとか、恥ずかしいとか言うの、女性だと思うんだ。実際マイラさんだって嫌がってたし。
「マイラは貧相だもんねぇ。仕方ないから見逃してあげてもいいわよ?貧相だもんねぇ…」
ね?凄くない?ネルですよ。
「2回も言った…2回も言った…2回も言った…」
マイラさん、膝ついちゃいましたからね。
顔上げた時には、妙に据わった目をしながら服を脱ぎ出してブツブツと呟きながらお湯に浸かりました。
シアは全然関係ないって顔で、スパーンと裸になってました。
そんなこんなでグラルも一緒に入浴。
「もうユーマさん達が何したって驚きゃしませんわ。
まさか、あっしにまでこんな経験させてもらって…街に帰って即死刑でもいいような気がしてきました」
「グラル、あんたまで何おかしな事言ってんのよ?あんたもこの先一緒に来なさいよね。
どうせ死刑になるところを減免されて、犯罪奴隷にされるんだから。ユーマの奴隷として買われたらいいのよ」
多分ネルの言うように、今回の件がうまくいけば、それをネタに減刑嘆願は可能だと思うけどさ。ちょっと所帯が多過ぎやしませんか?
「この先エリーヌも連れて行くわけでしょ?だったら今までみたいに徒歩でってわけにいかないじゃない。馬車が必要だし、御者も必要になるでしょ?
グラルは御者も出来るし都合いいのよ」
確かに一理あるか…まぁ男爵と交渉する事になるだろうけど。
それにエリーヌからしたら、自分を襲おうとした一味の頭がグラルなんだよね。そこらへんも気になるところ。
でもそれを今考えたって仕方ないから、戻ってから考える事にしときますか。
お風呂の騒動の後、久しぶりのまったりタイム。
時間もあるので、男爵の屋敷にあった給湯の魔道具をなんとかしてみようと思います。
用意するのはオークの魔石。なかでも剣オークの魔石は、他より大きいのでなんとなく良さそう。
給湯システムに必要なのは、水を出す事と水を温めて湯にする事だよね。
水を生成するのはさっきもやったけど、結構な量の魔力を消費したので、完全に生成するのは難しい気がします。
という事で、今回は大気中や地中の水分を集める魔道具として考えてみましょう。
魔石に向かって水分子が集まってくるのをイメージします。そのまま水分子がやって来る元まで遡ると、地中や大気中には沢山の水分子がありますね。
それが次々に集まって液体になるまでをしっかり想像してっと…そのイメージを魔力に混ぜ込んで魔石に写します。
むっ…ほのかに抵抗感がありますが、無理矢理抑え込んで魔石に捻じ込みました。よし、入った。
魔石がぼんやりと発光し始めます。
上手く行けたような気がするので実験してみましょう。
湯船の横に移動して来ました。さっきのお湯は処分済みなので、湯船は空です。
魔石に魔力だけを流し込みます。中心に光が灯り、全体的にぼんやりと光って来ました。こんなもんかな?
魔石に起動のイメージを伝えます。
…おわっ!
いきなり、魔石からぼたぼたと水が吹き出したかと思えば、たちまち滝の様な勢いで流れ出しました。
コレは成功じゃね?
相当な量が流れてもその勢いは止まりません。ものの5分足らずで湯船一杯の水が溜まりました。
魔石の様子も変わりなく、まだまだいけるみたいですね。
再び魔石に触れて停止のイメージを伝えると止まります。再起動すると水が吹き出ました。
よっしゃキタコレ!
次は出て来た水をお湯にしないといけないんですが、これはいつもやってるやつなのでイメージはし易いですね。
ところが問題発生。魔石にイメージを張り付けようとすると、どうやっても弾かれて馴染まないんです。
うーん…魔石の容量みたいなのがあるのかな。
仕方ないので別のオークの魔石にそのイメージを張り付けます。これも若干の抵抗はありましたが、わりとすんなりいきました。
という事はこの2つの魔石を連動させるしかないかな。
いや、逆に考えると水もお湯も出せるって事に気付きました。
あとは石材を魔力で加工して、生成された水が下に溜まるスペースを作ります。そこに加熱用魔石を取り付けました。湯温は45度くらいを想定しましょう。
スペースで出来たお湯が溜まると出口から流れて出るように管を付ければ…よーし、完成!
加熱用魔石を起動しなければ水も出せるし、ばっちりだね!
お披露目が楽しみになりました。
カマドにする石や焚き木がないので、全部手持ちの資材を出さないといけません。
そうは言っても、それらは出すだけだから苦労はなかったんだけどね。
なんといっても苦労したのはお風呂。
いつもは水場に近かったから、水場にある水自体を魔力で支配して、魔力操作の延長で操った水を湯船に運び入れ、魔力で沸かすっていう事をやってたんですよね。
草原には水場がないから、全量を魔力で生成するはめに。
え?入らなきゃいいじゃん?
と思うでしょ?
ええ、無理でした。ネルですよ、もちろん。
「何言ってんのよ?水ぐらい出せるでしょう?魔力余ってるんだから。は・や・く!」
…結構大変なんだってば、出来たけど。
でも不思議とお湯は出なかったんだよなぁ…そのへんの仕組みが謎です。やれそうな気はするんだけど。
それから、お風呂関係と言えば一番驚いたのはグラルの事。
本人も遠慮したし、僕も無理にとは思わなかったんだけど、これもネルの一声。
「何言ってんのよ?入りなさいよ。まさか見せられないくらいのモノしかないのかしら?」
…だってさ。
そっち!?ってなったよ。
いや、普通は見られたくないとか、恥ずかしいとか言うの、女性だと思うんだ。実際マイラさんだって嫌がってたし。
「マイラは貧相だもんねぇ。仕方ないから見逃してあげてもいいわよ?貧相だもんねぇ…」
ね?凄くない?ネルですよ。
「2回も言った…2回も言った…2回も言った…」
マイラさん、膝ついちゃいましたからね。
顔上げた時には、妙に据わった目をしながら服を脱ぎ出してブツブツと呟きながらお湯に浸かりました。
シアは全然関係ないって顔で、スパーンと裸になってました。
そんなこんなでグラルも一緒に入浴。
「もうユーマさん達が何したって驚きゃしませんわ。
まさか、あっしにまでこんな経験させてもらって…街に帰って即死刑でもいいような気がしてきました」
「グラル、あんたまで何おかしな事言ってんのよ?あんたもこの先一緒に来なさいよね。
どうせ死刑になるところを減免されて、犯罪奴隷にされるんだから。ユーマの奴隷として買われたらいいのよ」
多分ネルの言うように、今回の件がうまくいけば、それをネタに減刑嘆願は可能だと思うけどさ。ちょっと所帯が多過ぎやしませんか?
「この先エリーヌも連れて行くわけでしょ?だったら今までみたいに徒歩でってわけにいかないじゃない。馬車が必要だし、御者も必要になるでしょ?
グラルは御者も出来るし都合いいのよ」
確かに一理あるか…まぁ男爵と交渉する事になるだろうけど。
それにエリーヌからしたら、自分を襲おうとした一味の頭がグラルなんだよね。そこらへんも気になるところ。
でもそれを今考えたって仕方ないから、戻ってから考える事にしときますか。
お風呂の騒動の後、久しぶりのまったりタイム。
時間もあるので、男爵の屋敷にあった給湯の魔道具をなんとかしてみようと思います。
用意するのはオークの魔石。なかでも剣オークの魔石は、他より大きいのでなんとなく良さそう。
給湯システムに必要なのは、水を出す事と水を温めて湯にする事だよね。
水を生成するのはさっきもやったけど、結構な量の魔力を消費したので、完全に生成するのは難しい気がします。
という事で、今回は大気中や地中の水分を集める魔道具として考えてみましょう。
魔石に向かって水分子が集まってくるのをイメージします。そのまま水分子がやって来る元まで遡ると、地中や大気中には沢山の水分子がありますね。
それが次々に集まって液体になるまでをしっかり想像してっと…そのイメージを魔力に混ぜ込んで魔石に写します。
むっ…ほのかに抵抗感がありますが、無理矢理抑え込んで魔石に捻じ込みました。よし、入った。
魔石がぼんやりと発光し始めます。
上手く行けたような気がするので実験してみましょう。
湯船の横に移動して来ました。さっきのお湯は処分済みなので、湯船は空です。
魔石に魔力だけを流し込みます。中心に光が灯り、全体的にぼんやりと光って来ました。こんなもんかな?
魔石に起動のイメージを伝えます。
…おわっ!
いきなり、魔石からぼたぼたと水が吹き出したかと思えば、たちまち滝の様な勢いで流れ出しました。
コレは成功じゃね?
相当な量が流れてもその勢いは止まりません。ものの5分足らずで湯船一杯の水が溜まりました。
魔石の様子も変わりなく、まだまだいけるみたいですね。
再び魔石に触れて停止のイメージを伝えると止まります。再起動すると水が吹き出ました。
よっしゃキタコレ!
次は出て来た水をお湯にしないといけないんですが、これはいつもやってるやつなのでイメージはし易いですね。
ところが問題発生。魔石にイメージを張り付けようとすると、どうやっても弾かれて馴染まないんです。
うーん…魔石の容量みたいなのがあるのかな。
仕方ないので別のオークの魔石にそのイメージを張り付けます。これも若干の抵抗はありましたが、わりとすんなりいきました。
という事はこの2つの魔石を連動させるしかないかな。
いや、逆に考えると水もお湯も出せるって事に気付きました。
あとは石材を魔力で加工して、生成された水が下に溜まるスペースを作ります。そこに加熱用魔石を取り付けました。湯温は45度くらいを想定しましょう。
スペースで出来たお湯が溜まると出口から流れて出るように管を付ければ…よーし、完成!
加熱用魔石を起動しなければ水も出せるし、ばっちりだね!
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