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第三章 バーナムの街
第75話
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どうも僕です。
絶対に何も無かったというか、疚しいところなんて一つも無いんです。
それでも目覚めた時に知っている女性と同衾してる事に気付いた瞬間って、どうしてこんなにも激しく動悸がするんでしょうか?
このドキドキはいったいなんですか?
キングサイズなベッドなので、昨夜は僕を真ん中にしてシアとネルが両脇に、マイラさんがネルの向こうに横になる型で寝る事になったんですが、起きてみると僕は、なぜかマイラさんを両腕で抱き抱えるように寝ていました。
マイラさんはマイラさんで、腕枕状態で僕の胸元に顔を置き、なんとも幸せそうな顔で寝ています。
このままマイラさんが起きると、非常に良くない気がするので、マイラさんの頭が乗っている左脇を徐々に上にずらします。
「う、むぅ…ん」
びっくりしたぁ…僕の心臓は早鐘のように打ち鳴らされています。鼓動で起こしちゃわないか心配になるほどです。
再び腕をずらし始めましょう。
なんだとっ!動かし始めた感触に不快感を感じたのでしょうか?マイラさんの手があろう事か僕の服を握りしめてしまったのです。…終わった。
「ねぇマイラ、あんた本当はユーマの事好きなんじゃない」
あぁ、ネル…そんなツッコミしたらマイラさんが起きちゃうからっ!
「マイラならさっきから起きてるわよ?」
…ふぁっ!?
「服を握る前から起きてるから。正確に言うと、さっき声出した時に起きたわ。
何を思って服を握ったのかよね?マイラ」
「あぅ…これは…こ、このように腕枕というのも、ひ、久しぶりでしてっ!
その、な、名残惜しいといいますか、ちょ、もうちょっと味わっていたいなぁと…」
マイラさんは、顔を埋めたままで必死に解説してるんだけど、話しながら体温が上がってきたのが分ります。
「ユーマ君もご、誤解しないでくれよ?これは、その、好意とかそんなのじゃなくてだな、あれだ、その、なんとなく…そうだ!なんとなくなんだからなっ!」
「じゃあ、早く離れなさいよー。まったく…乙女なんだから」
ネルは確実にマイラさんの羞恥心を攻めていきます。
ほら、マイラさんがぷるぷるしだした。
「うわぁーーん!ユーマ君!ネル様が苛めるよ!」
「そうそう。そうやって感情を素直に表に出す方がオンナはかわいいわよ?」
この後しばらく、マイラさんが落ち着くまで身動き出来ませんでした。
朝の騒動からやっと落ち着いた僕達は、朝食を呼びに来たアリーナさんに連れられ、再び食堂にやって来ています。
「やぁユーマ君、おはよう。ゆっくり休めたかね?まずは朝食を済ませてしまおうか」
ハイネン男爵は、昨日の夜の続きは後でと暗に伝えてきました。
まぁ、お腹空いてるし、ありがたく頂きます。
焼きたての柔らかなパンに、ハム、ソーセージ、オムレツにサラダとかなり充実の内容で、すっかり満足ですね。
食後、男爵の執務室へと呼ばれた僕達は、ソファーセットで、アリーナさんが届けてくれたコーヒーと紅茶を飲みながら男爵を待っています。
「ユーマ様、この部屋もやはり監視されとるようじゃ」
シアが小声で教えてくれます。
そりゃまぁ、それなりに重要な書類やら貴重品やら沢山あるだろうからなぁ。
以前入った勤め先の役員室とかも、監視カメラが何台も設置されてたのを思い出しました。
ほどなくノックの音。
「やぁやぁおはよう、諸君。男爵閣下は間もなく参られる。
と、その前にワシからちと頼みがあるんじゃが…」
男爵に先立って入室して来たのはバローさんでした。
「おはようございます。どうなさったんですか?
お受け出来るかどうかわかりませんが聞かせて下さい」
「うむ、そんな大層な話ではないんじゃが、君らが捕らえた盗賊供の事なんじゃがのう…」
そういえば、レイドックさんから尋問と報奨金の話を聞いてたよなぁ。どうかしたんだろうか?
「夜通し尋問をした結果、今回の襲撃に背後関係はないのがハッキリしたのは良かったんじゃがな、連中の出どころに少々問題があったんじゃ。
というのもな…」
第1夫人のレイラさんの実家、ダブレク子爵家が治める街ハンザと、ここバーナムの間には、グラベール男爵家とモルト男爵家の領地があるらしい。
で、盗賊達は、グラベール男爵領ルーアン近郊で盗賊稼業に精を出していた一団だという事だった。
そこで最後に手を出したのがグラベール男爵からモルト男爵への使節団。
ところがその使節団が運んでいたのが、2男爵家で共謀してダブレク子爵家を貶める密約書だったらしい。
ハンザに持ち込んで稼ぎにしたかったものの、2男爵家からの追撃を受け、バーナム方面にどうにか逃げ切り、ようやくあの森に落ち着いた、という事だったそうだ。
「この密約書を確保出来れば、レイラ様のご実家に貸しもつくれるからのぅ。
盗賊に問い質したんじゃが、ユーマ君、君にじゃったら話しても良いと言って聞かぬのじゃよ。
どうも、ここに来るまでの道中に君がした振る舞いに、いたく感銘を受けたようでな、これを君の手柄にして恩に報いたいと言う事なんじゃ。
どうじゃろうか?引き受けては貰えんかの?」
いや、結構大層な話だと思いますけど…
でもこれは受けるべき話な気がする。
「わかりました。その役お受け致します」
これで一つ予定が決まったね。あとはエリーヌお嬢様の件を男爵に伝えたら、行動開始かな。
絶対に何も無かったというか、疚しいところなんて一つも無いんです。
それでも目覚めた時に知っている女性と同衾してる事に気付いた瞬間って、どうしてこんなにも激しく動悸がするんでしょうか?
このドキドキはいったいなんですか?
キングサイズなベッドなので、昨夜は僕を真ん中にしてシアとネルが両脇に、マイラさんがネルの向こうに横になる型で寝る事になったんですが、起きてみると僕は、なぜかマイラさんを両腕で抱き抱えるように寝ていました。
マイラさんはマイラさんで、腕枕状態で僕の胸元に顔を置き、なんとも幸せそうな顔で寝ています。
このままマイラさんが起きると、非常に良くない気がするので、マイラさんの頭が乗っている左脇を徐々に上にずらします。
「う、むぅ…ん」
びっくりしたぁ…僕の心臓は早鐘のように打ち鳴らされています。鼓動で起こしちゃわないか心配になるほどです。
再び腕をずらし始めましょう。
なんだとっ!動かし始めた感触に不快感を感じたのでしょうか?マイラさんの手があろう事か僕の服を握りしめてしまったのです。…終わった。
「ねぇマイラ、あんた本当はユーマの事好きなんじゃない」
あぁ、ネル…そんなツッコミしたらマイラさんが起きちゃうからっ!
「マイラならさっきから起きてるわよ?」
…ふぁっ!?
「服を握る前から起きてるから。正確に言うと、さっき声出した時に起きたわ。
何を思って服を握ったのかよね?マイラ」
「あぅ…これは…こ、このように腕枕というのも、ひ、久しぶりでしてっ!
その、な、名残惜しいといいますか、ちょ、もうちょっと味わっていたいなぁと…」
マイラさんは、顔を埋めたままで必死に解説してるんだけど、話しながら体温が上がってきたのが分ります。
「ユーマ君もご、誤解しないでくれよ?これは、その、好意とかそんなのじゃなくてだな、あれだ、その、なんとなく…そうだ!なんとなくなんだからなっ!」
「じゃあ、早く離れなさいよー。まったく…乙女なんだから」
ネルは確実にマイラさんの羞恥心を攻めていきます。
ほら、マイラさんがぷるぷるしだした。
「うわぁーーん!ユーマ君!ネル様が苛めるよ!」
「そうそう。そうやって感情を素直に表に出す方がオンナはかわいいわよ?」
この後しばらく、マイラさんが落ち着くまで身動き出来ませんでした。
朝の騒動からやっと落ち着いた僕達は、朝食を呼びに来たアリーナさんに連れられ、再び食堂にやって来ています。
「やぁユーマ君、おはよう。ゆっくり休めたかね?まずは朝食を済ませてしまおうか」
ハイネン男爵は、昨日の夜の続きは後でと暗に伝えてきました。
まぁ、お腹空いてるし、ありがたく頂きます。
焼きたての柔らかなパンに、ハム、ソーセージ、オムレツにサラダとかなり充実の内容で、すっかり満足ですね。
食後、男爵の執務室へと呼ばれた僕達は、ソファーセットで、アリーナさんが届けてくれたコーヒーと紅茶を飲みながら男爵を待っています。
「ユーマ様、この部屋もやはり監視されとるようじゃ」
シアが小声で教えてくれます。
そりゃまぁ、それなりに重要な書類やら貴重品やら沢山あるだろうからなぁ。
以前入った勤め先の役員室とかも、監視カメラが何台も設置されてたのを思い出しました。
ほどなくノックの音。
「やぁやぁおはよう、諸君。男爵閣下は間もなく参られる。
と、その前にワシからちと頼みがあるんじゃが…」
男爵に先立って入室して来たのはバローさんでした。
「おはようございます。どうなさったんですか?
お受け出来るかどうかわかりませんが聞かせて下さい」
「うむ、そんな大層な話ではないんじゃが、君らが捕らえた盗賊供の事なんじゃがのう…」
そういえば、レイドックさんから尋問と報奨金の話を聞いてたよなぁ。どうかしたんだろうか?
「夜通し尋問をした結果、今回の襲撃に背後関係はないのがハッキリしたのは良かったんじゃがな、連中の出どころに少々問題があったんじゃ。
というのもな…」
第1夫人のレイラさんの実家、ダブレク子爵家が治める街ハンザと、ここバーナムの間には、グラベール男爵家とモルト男爵家の領地があるらしい。
で、盗賊達は、グラベール男爵領ルーアン近郊で盗賊稼業に精を出していた一団だという事だった。
そこで最後に手を出したのがグラベール男爵からモルト男爵への使節団。
ところがその使節団が運んでいたのが、2男爵家で共謀してダブレク子爵家を貶める密約書だったらしい。
ハンザに持ち込んで稼ぎにしたかったものの、2男爵家からの追撃を受け、バーナム方面にどうにか逃げ切り、ようやくあの森に落ち着いた、という事だったそうだ。
「この密約書を確保出来れば、レイラ様のご実家に貸しもつくれるからのぅ。
盗賊に問い質したんじゃが、ユーマ君、君にじゃったら話しても良いと言って聞かぬのじゃよ。
どうも、ここに来るまでの道中に君がした振る舞いに、いたく感銘を受けたようでな、これを君の手柄にして恩に報いたいと言う事なんじゃ。
どうじゃろうか?引き受けては貰えんかの?」
いや、結構大層な話だと思いますけど…
でもこれは受けるべき話な気がする。
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