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第ニ章 ガルドの街

第57話

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 …僕です。

 はい。僕です…

 テンプレヤダコワイ…



 趣味で楽しくテンプレ作品を読んでいる時は楽しかったんだ。
 某二丁目にも忌避感はなかったんです。

「ユーマ君ってば照れ屋さんなのね?きっと。そんなにガチガチだとサイズ測りにくいわよ?ほらぁ!リラックスして?」

 みなさんのご想像通りです。たぶん。
 かわいらしく飾られた店内には、女性向けのデザインの服が数多く並べられ、一瞬世界観を忘れそうになります。
 ただ、メアリが言っていた通り男性服も一画にきちんと取り揃えてあるので、間違いなくきっちり営業してる服飾専門の商会なんだろうと思います。

 店主のメイベルさんのガチムチとファンシーな服装、そして裏声とかわいらしい話し方にさえ慣れたら…

 ふっ…開き直るか。

 「すいません、不慣れなもので。緊張してしまいます」

 「大丈夫よ?アタシのストライクじゃないから」

 おぉう…不幸中の幸い。

 「でももう少し筋肉が付いたら、顔は結構好みよ?」

 その補足は要らない情報です。

 ここには服を買いに来たので、おたおたしてても仕方ないと受け入れようと思います。

 「そしたらメイベルさんの見立てで、動きやすくて丈夫な物を5着ほど頂きます。候補を見繕っていただけますか?」

 「はぁい了解よっ!イケメンが引き立つコーディネートご注文入りまぁす!」

 無心、無心。

 しばらく待っているとメイベルさんから声がかかりました。

 「とりあえず、アタシがユーマ君におススメできるのはこんなものかしら?サイズは間違いないから合わせてみて?」

 「あ、コレいい!ってゆーかサイズ以前に動き易いです!動きを阻害する感じが全くないなんて…」

 「そうでしょ?アタシの手にかかればみんなそう言うんだからっ!」

 メイベルさんが語る以上に実感として凄く楽でした。しかも全部が身体に馴染んでる感じがします。

 「メイベルさん。コレ全部いただきます。おいくらですか?」

 「あら?そんなに!?無理しなくってもいいのよ?
 アタシが言うのも変だけど、ウチの服達安くないわよ?大丈夫かしら?」

 「そうなんですか?服の相場は知らなくて…」

 そうか、これだけいい物なら高くても不思議じゃないもんなぁ…1つあたり金貨10枚以上なら諦めて上下1着ずつってとこか。

 「そうなのね?例えばそのジャケットはまぁまぁ高い方なんだけど…金貨2枚頂いてるわ。
 そんな感じだから上下10着で金貨15枚よ」

 「全部買います」

 「そうよね…どれもよく似合うから気に入ったの… ん?ユーマ君?今、全部買うって言わなかったかしら?」

 「はい。15枚ですよね?これでお願いします」

 想像したより全然安くて逆に驚いたけど、所持金の1割未満だったし、この品質なら損だとか感じないよなぁ。

 「あらぁ?もしかしてユーマ君ってばお金持ちさんだったのかしら?優良物件かしらね…」

 「え?なんて言われました?聞き取れなくて…
 それで、お金持ちってわけじゃなくて、冒険者ギルドの方でそこそこ稼がせて貰っただけですね。
 まぁあぶく銭みたいなもんです」

 「まぁ!謙遜しちゃって!いいわ、資金があるんだったら全部買っていって?
 この子達もユーマ君に着て欲しいはずだから」

 結局、メイベルさんの見立てに惹かれてしまった僕は、ネルの着替えとシア用の服一式も合わせて購入する事に。
 ネルのサイズの既製品なんてなかったんだけど、メイベルさんが超高速で仕立ててくれました。手の動きが見えなかった…
 さらに、シアのスタイルだと部分的に窮屈になりそうな服も、全く違和感なく調整されてました。
 ってゆーかシアの服チャイナドレスみたいだし。
 オマケにメアリにも髪飾りのリボンをプレゼント。
 みんな大満足の買い物になりました。

 「ユーマ君!また必ず来てよね?待ってるからぁ!」

 …ひぇっ!?待たないでください。
 まぁ、もしこの街に来ることがあれば寄ろうかなとは思うけどね。



 あちこちで用事を済ませて来たので、ぼちぼち夕方に差し掛かってきています。
 僕達は噴水広場に戻って、小休止中です。

 「どうしてもやっときたい事は大体済んだかな。あとは出発前に色々と食材なんかは買わなきゃいけないけど」

 「そう?でも予想してたよりもずっと色々あったわね」

 ほんとネルの言う通りだよなぁ。
 初めての街だから期待半分だったけど、期待以上の結果になった事が多いように感じてるし。

 「じゃあ今日は明日に備えてゆっくりする?早めにご飯食べてしまって」

 「それ旅行に来たカップルみたいなセリフじゃない?」

 「何言ってんの!ばーかっ!」

 なんてやり取りも僕らには楽しく思えます。
 そんな時間は聞き覚えのある声で終わりを迎えました。

 「おーい!ユーマ君!良かった、すぐに見つかって!」

 「マイラさんじゃないですか?どうしました?そんなに慌てて」

 「いや、もしかしたらユーマ君ならと思ったもんだからさ。
 ちょっとだけ話をする時間を貰えないかな?今から」

 もちろん予定のなかった僕達に断る理由もなく、再びマイラさんの素材屋へと足を運びます。

 「ありがとう。実はちょっと面倒な依頼を受けてねぇ…詳細は守秘義務に引っかかるから話せないんだけど、とある素材が必要になったんだ。
 もしかしたらユーマ君なら手に入れてくれるんじゃないかって、アタシの勘が言ってるってわけよ」

 どうやらマイラさんからの依頼が舞い込んでくるみたいです。




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