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第ニ章 ガルドの街
第48話
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冒険者ギルドに到着した僕達は、十数人の冒険者に囲まれています、なう。
「ソフィちゃんが居なくなるのが許せないんだよ俺達は!」
「あんただってわかるだろ?華がなくなるんだぜ?」
「頼むよ!なんとかしてやってくれよ!」
などと次々に声をかけてきます。
唯一の救いは、僕達を非難する声ではなく、ソフィという女性職員の処分を、取り消すなり軽減するなり掛け合って欲しいという嘆願だって事でしょうか。
僕に言われてもねぇ…
「おら、てめぇら散れ散れ!お客さんの迷惑だろうが!」
「サブマス!頼むよ!ソフィちゃん辞めたらギルドまで何しに来たらいいんだよ?」
…いや、そこは普通に仕事しに来ようよ。
「てめぇらの言ってる事はわかる。だがな、これはケジメってやつなんだよ。
てめぇらだって、依頼未達したら罰があるだろうが!
ソフィは、受付業務って依頼を達成出来なかった罰を受けるってだけなんだぞ?それくらいわかるだろうがっ!」
「サブマス!わかってんだよ、そんな事は。
だからそこを曲げてどうにかしてくれって頼んでんじゃねーか!」
うーん…これはちょっと収まりが着きそうにないぞ。なんだか時間だけが無駄に浪費されちゃう予感がひしひしと。
「あの…ジークロフトさん。ちょっといいですか?」
「すまねぇなぁ、ユーマ殿。こいつらアホばっかりで、あんたには迷惑のかけ倒しになっちまって…ほんとに申し訳ない」
「とりあえず、このままだと収拾がつかないと思います。もし許可して頂けるなら軽い電撃当てますよ?」
銀達との戦闘で実証済み(動物実験)なので、効果の程も間違いありません。
「ユーマ殿はそんな魔法が使えるのか!?人死が出ないならお願いしたい。怪我程度ならギルドで治療出来る」
「わかりました。『痺雷』」
怪我させてもいい保証付きで、堂々と人体実験が出来るとは、なんという幸運でしょう。
僕はまず、僕達とジークロフトさんに絶縁体フィルムをイメージした魔力のベールを纏わせました。
続けて集中させた魔力に、雷のイメージを乗せます。前は上から降らせるイメージだったので、今回は横に伝わるイメージでいきます。
魔力が雷になり、一番近い冒険者の身体に吸い込まれると同時に、その彼は全身をビクンと強張らせ、白眼をむいて倒れました。ほぼ時を同じくして、彼の周囲の冒険者達も同様に床へと倒れ伏せる事に。
見た感じ、抵抗出来た人はいないみたい。
倒れた時の打撲や、感電による火傷は多少あるだろうけど、誰も死んでないよね?
…ふふふ。実験は成功だぁ!なんて思ってみたり。
「凄い威力だな…しかも雷属性とは、驚くしか出来ん」
「多分倒れた時に、どこかぶつけたりして怪我した人はいると思うんで、とりあえず倒れてる人達は治療お願いしますね」
「おぅ、任せてくれ。職員!手を止めて全員救護の手伝いに回ってくれ。
気がついたやつに文句を言われたら、全部俺の責任だと伝えてくれていいからな!
さてユーマ殿、今の内に俺の執務室まで移動しておこう」
ジークロフトさんは事後処理を職員に指示し、僕達を執務室へと案内してくれました。
「毎回毎回謝ってばかりな気がするんだが、すまなかった。
実は丁度昼前に、昨日の件での職員2人と、ケビン達の処分を発表したところだったんだ」
ケビン達の処分は、罰金として半年間の報酬5割カットと、1年間の奉仕依頼への強制参加だそうです。
奉仕っていうのは街の清掃や、孤児院の補修など、報酬が捻出しにくい依頼を、無償でやって欲しいという依頼だそうです。
本来は、ギルドランクを上げる為に貢献値を稼ぐ目的で、初心者が受注する事がある依頼なんだってさ。
ギルド追放、有期ギルド資格停止の次に厳しい処分らしい。
ケビン達の場合、過去の活動評価を鑑みてのこの処分。ギルドにとっては必要な人材だったって事みたいだ。
まぁ優秀だったらしいもんね。
で、問題になったのは職員の処分。
ソフィさんは、内容確認を怠り不正確な情報を報告した為、受付業務から外した上に事務担当に異動。
上司のアレン氏は、報告の内容確認を怠った上に、事実確認が取れていないのに軟禁または拘束を指示し、嫌疑指定をしたという職権濫用の為、懲戒解雇処分になったそうです。
それで、ソフィさんが受付業務から外されるのがショックで、辞表を出したから大騒ぎになったみたい。
「辞めなくたって、しばらく事務させたら受付業務に復帰させてやるってんのによ、ソフィときたらギャンギャン泣きながら自分が許せないって聞かなくてなぁ。
で、またそれを見て勘違いした馬鹿共が、本当はギルドが依願退職させようとしてるんじゃないのかって騒ぎ出した処に、ユーマ殿が入って来たって事よ」
「うわぁ…クッソ面倒なタイミングで来ちゃったって事じゃないですか。
それで、ソフィさんの処分についてはどうするんです?
人気ある人みたいだし、辞められたら逆にギルドの損失が拡大するだけじゃないかと思いますけど…」
「そうなんだよ。だから重ねて申し訳ないんだが、今回の被害者であるユーマ殿から処分軽減の嘆願があったって事にしちゃ貰えんだろうか?
もちろんソフィからは別に謝罪はさせる」
全然オッケーなんだよなぁ…別に被害らしい被害もないわけで、むしろ貴重な経験をさせて貰ったってくらいにしか思ってないし。
「面倒だしそれでいいですよ?
むしろアレンさんって人も、別に辞めさせなくてもいいんじゃないですか?」
「そうか!有難い!ソフィの件はそれで対応させる。
おい!誰かソフィを呼んできてくれ!
だが、アレンの方はダメだ。今回の件が動き出した途端に、別の部下からも職権濫用や不正事務の報告が上がってきたんだよ」
え?そうなの?
なんだかキナ臭い話になって来たような気がします。
「ソフィちゃんが居なくなるのが許せないんだよ俺達は!」
「あんただってわかるだろ?華がなくなるんだぜ?」
「頼むよ!なんとかしてやってくれよ!」
などと次々に声をかけてきます。
唯一の救いは、僕達を非難する声ではなく、ソフィという女性職員の処分を、取り消すなり軽減するなり掛け合って欲しいという嘆願だって事でしょうか。
僕に言われてもねぇ…
「おら、てめぇら散れ散れ!お客さんの迷惑だろうが!」
「サブマス!頼むよ!ソフィちゃん辞めたらギルドまで何しに来たらいいんだよ?」
…いや、そこは普通に仕事しに来ようよ。
「てめぇらの言ってる事はわかる。だがな、これはケジメってやつなんだよ。
てめぇらだって、依頼未達したら罰があるだろうが!
ソフィは、受付業務って依頼を達成出来なかった罰を受けるってだけなんだぞ?それくらいわかるだろうがっ!」
「サブマス!わかってんだよ、そんな事は。
だからそこを曲げてどうにかしてくれって頼んでんじゃねーか!」
うーん…これはちょっと収まりが着きそうにないぞ。なんだか時間だけが無駄に浪費されちゃう予感がひしひしと。
「あの…ジークロフトさん。ちょっといいですか?」
「すまねぇなぁ、ユーマ殿。こいつらアホばっかりで、あんたには迷惑のかけ倒しになっちまって…ほんとに申し訳ない」
「とりあえず、このままだと収拾がつかないと思います。もし許可して頂けるなら軽い電撃当てますよ?」
銀達との戦闘で実証済み(動物実験)なので、効果の程も間違いありません。
「ユーマ殿はそんな魔法が使えるのか!?人死が出ないならお願いしたい。怪我程度ならギルドで治療出来る」
「わかりました。『痺雷』」
怪我させてもいい保証付きで、堂々と人体実験が出来るとは、なんという幸運でしょう。
僕はまず、僕達とジークロフトさんに絶縁体フィルムをイメージした魔力のベールを纏わせました。
続けて集中させた魔力に、雷のイメージを乗せます。前は上から降らせるイメージだったので、今回は横に伝わるイメージでいきます。
魔力が雷になり、一番近い冒険者の身体に吸い込まれると同時に、その彼は全身をビクンと強張らせ、白眼をむいて倒れました。ほぼ時を同じくして、彼の周囲の冒険者達も同様に床へと倒れ伏せる事に。
見た感じ、抵抗出来た人はいないみたい。
倒れた時の打撲や、感電による火傷は多少あるだろうけど、誰も死んでないよね?
…ふふふ。実験は成功だぁ!なんて思ってみたり。
「凄い威力だな…しかも雷属性とは、驚くしか出来ん」
「多分倒れた時に、どこかぶつけたりして怪我した人はいると思うんで、とりあえず倒れてる人達は治療お願いしますね」
「おぅ、任せてくれ。職員!手を止めて全員救護の手伝いに回ってくれ。
気がついたやつに文句を言われたら、全部俺の責任だと伝えてくれていいからな!
さてユーマ殿、今の内に俺の執務室まで移動しておこう」
ジークロフトさんは事後処理を職員に指示し、僕達を執務室へと案内してくれました。
「毎回毎回謝ってばかりな気がするんだが、すまなかった。
実は丁度昼前に、昨日の件での職員2人と、ケビン達の処分を発表したところだったんだ」
ケビン達の処分は、罰金として半年間の報酬5割カットと、1年間の奉仕依頼への強制参加だそうです。
奉仕っていうのは街の清掃や、孤児院の補修など、報酬が捻出しにくい依頼を、無償でやって欲しいという依頼だそうです。
本来は、ギルドランクを上げる為に貢献値を稼ぐ目的で、初心者が受注する事がある依頼なんだってさ。
ギルド追放、有期ギルド資格停止の次に厳しい処分らしい。
ケビン達の場合、過去の活動評価を鑑みてのこの処分。ギルドにとっては必要な人材だったって事みたいだ。
まぁ優秀だったらしいもんね。
で、問題になったのは職員の処分。
ソフィさんは、内容確認を怠り不正確な情報を報告した為、受付業務から外した上に事務担当に異動。
上司のアレン氏は、報告の内容確認を怠った上に、事実確認が取れていないのに軟禁または拘束を指示し、嫌疑指定をしたという職権濫用の為、懲戒解雇処分になったそうです。
それで、ソフィさんが受付業務から外されるのがショックで、辞表を出したから大騒ぎになったみたい。
「辞めなくたって、しばらく事務させたら受付業務に復帰させてやるってんのによ、ソフィときたらギャンギャン泣きながら自分が許せないって聞かなくてなぁ。
で、またそれを見て勘違いした馬鹿共が、本当はギルドが依願退職させようとしてるんじゃないのかって騒ぎ出した処に、ユーマ殿が入って来たって事よ」
「うわぁ…クッソ面倒なタイミングで来ちゃったって事じゃないですか。
それで、ソフィさんの処分についてはどうするんです?
人気ある人みたいだし、辞められたら逆にギルドの損失が拡大するだけじゃないかと思いますけど…」
「そうなんだよ。だから重ねて申し訳ないんだが、今回の被害者であるユーマ殿から処分軽減の嘆願があったって事にしちゃ貰えんだろうか?
もちろんソフィからは別に謝罪はさせる」
全然オッケーなんだよなぁ…別に被害らしい被害もないわけで、むしろ貴重な経験をさせて貰ったってくらいにしか思ってないし。
「面倒だしそれでいいですよ?
むしろアレンさんって人も、別に辞めさせなくてもいいんじゃないですか?」
「そうか!有難い!ソフィの件はそれで対応させる。
おい!誰かソフィを呼んできてくれ!
だが、アレンの方はダメだ。今回の件が動き出した途端に、別の部下からも職権濫用や不正事務の報告が上がってきたんだよ」
え?そうなの?
なんだかキナ臭い話になって来たような気がします。
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