転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

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第ニ章 ガルドの街

第47話

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 「お買い上げありがとうございました!またおいで下さいな」

 小屋を出た僕達は、ジルさんに声をかけて精算したんだけど、彼女の予想と違ってたらしくて、いたく喜ばれる事になりました。



 「こんなに買ってくれんのかい?ありがたいねぇ!
 メアリちゃんもいい人連れてきてくれてありがとうね!」

 「全部でいくらですか?値札とかなかったんで」

 「そうだったね。まさか本当に買うなんて思ってなかったもんだから。
 えーと、スプーンとフォークのセットが1組銅貨3枚で、マグカップが一つ銅貨2枚で、手桶が大銅貨1枚だから合計が銀貨3枚だね。
 金貨かい?ちょっと待ってね」

 そう言ってジルさんは再び中へ入ると、お釣りと一緒にサンドイッチを沢山持ってきてくれました。

 「はい、お釣り。大銀貨1枚と銀貨2枚ね。沢山買ってくれてありがとうね。
 これお昼に食べて?あの人用にって作ってたんだけどさ、帰って来やしないし。あんた、いいお客さんだからサービスするわ」

 「いやぁ美味しそうですね!丁度、昼時でお腹も空いてきてたんでありがたく頂きます」

 実際、そろそろ太陽も中天に差しかかろうとしている時間帯。
 何処かで昼食をって考え始めてたくらいだったから、ほんとにちょうど良かったです。

 手を振るジルさんに別れを告げながら、噴水広場へと足を運びます。

 「思いがけず昼ごはんまで手に入っちゃったね。
 広場の屋台で飲み物買ってみんなでコレ食べようか」

 「それならユーマさん!オススメの屋台があるよ!
 ペールチェって言う果物のジュースが、すっごく美味しいお店なの!あたしもたまに買うんだ!」

 「へぇ!そうなんだ。じゃあそこにしよう」

 広場に着くと、生産ギルドの建物に程近い場所にその屋台はありました。

 「はい、いらっしゃい!ってメアリちゃんじゃねーか。
 今日はマーサ姐さんにお小遣い貰ったのかい?」

 「ダリルのおっちゃん、こんにちは!
 お客さん連れて来てあげたんだからサービスしてよね!」

 そのダリルと言う男性は、屋台主らしく日に焼けた精悍な雰囲気で、筋肉質のガッシリとした体格をしてたんだけど、彼の顔を見て思わず二度見してしまいました。
 だって焦げ茶色の髪の間から、ふわっとした毛に包まれた獣の耳が2つ…
 初のケモミミがおっさんかい…

 「おっ?コレが気になりましたかい?あっしは熊の獣人族だからなぁ。
 兄さんは獣人は平気ですかい?」

 「もちろんです。熊の獣人の方は初めてだったもので、ちょっと驚きましたけど」

 おっさんじゃなかったらなんて絶対言えない。
 気を取り直して注文しないと。

 「メアリから、ペールチェのジュースが絶品だって聞きまして、楽しみにしてきたんですよ。4ついただけますか?」

 「まいど!4つだね?って兄さんお連れさんはメアリも入れて2人じゃないか。一つはマーサ姐さんにお土産かい?」

 「失礼ね!私も居るわよっ!」

 「へっ?えっ!?…そいつぁ妖精かい?こりゃまた珍しいモンを見させて貰ったなぁ!
 最近じゃ見る事もなくなって、絶滅しちまったって話もあるのに」

 ダリルさんはネルの姿に心底驚いたみたい。
 まぁ妖精じゃないんだけどね。
 それでも4つ用意してるのは、流石商売人ってとこなんじゃないかな?

 「おまたせ!ペールチェジュース4つで銅貨8枚だ」

 「じゃあ銀貨1枚で。残りはギルド行った帰りに、マーサさんにお土産にするから預かってて下さい。
 僕が遅くなって店仕舞いする様なら、いつかメアリに一杯ご馳走してやるって事で」

 「お?そうかい?なら確かに銀貨1枚貰っとくよ!また来てくれよな!」

 ダリルさんの店を離れて噴水へ向かうと、周りには同じ様に昼ごはんにありついてる人がたくさん。
 僕達も一画に陣取って、ジルさんお手製のサンドイッチに舌鼓を打ちました。
 銀と風羽花にもオーク肉を出してあげます。

 「これはなかなかいいね!歯応えもあるし、味付けも」

 「このサンドイッチと言うのは、我も好きになったのじゃ。ユーマ様にもいつか作って欲しいのぅ」

 「次に出発するまでに、ジルさんにソースの作り方聞いてみようか。それにパンも買っていかなきゃね」

 「ユーマ!このジュースめちゃくちゃ美味しいわ!
 これが冷えてたら、もっと美味しいんじゃない?」

 みんなして大満足な昼ごはんになったみたい。それにネルやシアが言ってた事も忘れない様にしなきゃ。
 ペールチェって果物は、市場とかで買えるのかな?
 それかどこで採れるのかギルドで聞いてみて、わからなかったらダリルさんにもダメ元で聞くしかないか。
 きっと僕の冷蔵保管箱とは相性バッチリのはず。やっぱりこういう楽しみがあるとワクワクするよね!

 昼ごはんも食べたし、そろそろギルドの方もいい時間になったんじゃないかな?
 そういえば、ネルは連れて行っても平気なのかな?ケビン達の件はもう知れてるはずだし、きっかけがネルだったって事もギルドが掴んでないはずもないか。

 「じゃあ、冒険者ギルドに行こう。
 ネルの話も出る可能性あるし、ちょっと注目されるかもしれないけど、絶対に守るからね。だからこのままで向かうよ」

 「わかったわ。信じてる。シアも頼むわよ」

 「もちろんなのじゃ。任せておくれ」

 さぁ、どうなるか楽しみだね。
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