45 / 170
第ニ章 ガルドの街
第43話
しおりを挟む
はい、僕です。
…人の口には戸は立てられないって、アレほんと。昔の人もきっと苦労したんでしょうねぇ。
食堂の床で正座なう。
メアリと…
ギルドから戻った僕達をマーサさんは笑顔で迎えてくれました。
「ご苦労様でした。問題はなかったみたいね?ケビン達はどうなるのかしら?
とりあえずお茶でも飲みながら報告してくださるかしら?」
「はい、もちろん。マーサさんのおかげですし」
おっと危ない、マーサさんがキョトンと首を傾げてる。ギルドに行く前の話だけにしとかないと。
「ほら、結局マーサさんのお話がなかったらギルド行く事もなかったですから」
「あぁ、それは知らなかっただけじゃない。特別な事じゃないわよ?」
「それでも感謝してるってことです。それでですね…」
ちょと無理矢理感があったかもしれないけど、どうにか本題に移り話はケビン達の話題に。
「…それでケビン達が素直に罪を認めたので、すんなり返して貰えたらしくて。
ジークロフトさんもマーサさんに感謝しとけって」
「そうだったの。引き渡しだけの割に随分と予想より遅いから心配してたのよ。
まぁ、そういう話ならわかるんだけど。ジークロフトもなかなかしっかりして来たのね」
「お知り合いなんですか?」
あっ、思わず聞いちゃった。不自然じゃないよね…?
「えぇ、昔ちょっとだけね。あの子なんか言ってた?」
…あの子って言ったし。しかも一瞬マーサさんの目がキラッと光ったような気がする。
「いぇ特に何も?それで最終的に、明日の昼過ぎにギルドからの処分について教えてくれるそうで、行って聞いてきますけどご一緒しますか?」
「え?お昼はちょっと忙しいわね。残念だわ。こう見えても宿の昼間はやること意外とあるのよ?結果だけ教えてくださいな」
「はい。じゃあ、また明日報告しますね」
…ふぅ。なんとか無事に収まったか。よかっ…
「でもママ、ギルドってあんなに色々な部屋があるのね!あたし受付とロビーより先の部屋って入った事なかったから楽しかったわ」
…ふぁっ!?ちょ、おま、何言ってくれちゃってんの!?
「奥の部屋?メアリ?どういう事かしら?ロビーで話したんではなかったの?
そんな奥まで入ってする話じゃないわよ?」
ヒィィィ…メアリィィィィィ…
「え?あ、アレよ、その、ちょっとだけね、待たされたというか…」
「待たされた?どこにそんな必要が?何か隠してるのかしら?正直に言いなさい?今ならまだ怒らないわよ?」
ダメだ!メアリ!それは罠だっ!言っちゃダメだ!
「あ、いや、その…」
「マーサさん!なんでもな…」
「ユーマさんには聞いてないわよ?」
…あぁ、オワタ。
あの眼はダメだ。逆らっちゃいけないやつだ。
「メアリ?どうしたの?は、や、く、言いなさい?」
…メアリ、もうダメなんだ。僕達に逃げ道はないんだよ。
だからそんな目でこっちを見るんじゃありません…。
「はい。実は…」
というわけで正座なう。
「ふーん、そんな事があったの…。それで口止めされたわけね?
ユーマさんもユーマさんだわ。あんなヤツの口車に乗せられて。正直に言ったら良かったじゃない」
…いや、だって鬼(オーガ)が出るとかねぇ。
「いや、ジークロフトさんも頭下げてくれましたし、そんな大ごとにする様な話でもなかったわけで…」
「ママ!ユーマさんは悪くないんだからっ!
ユーマさん優しいから、きっとジークロフトさんがかわいそうになっただけなのっ!」
「どうしてかわいそうになるのよ?」
…あ、ヤバい。
この流れだと…メアリ、こっちをチラチラ見るんじゃない。
「え?いや、あの…」
「早く言いなさい?どうして?」
声は優しいマーサさん。顔も優しい笑顔。目が…しゅーりょー
「あ、あのね、言っちゃダメって言われたけど…」
「けど?なぁに?」
「あの、マ、ママが鬼(オーガ)って呼ばれてたって…ジークロフトさんが言ってたの!
ママにバレたら怒られるから内緒だよって」
…はぁ。全部言っちゃったよ。
「へぇ…そうなの。それじゃ仕方ないわよねぇ。さぁ、夜も遅いから解散しましょ。はい解散」
ん?予想外の反応…じゃなかった。今マーサさんが掴んでる椅子の背もたれにヒビが入ってる。
マーサさんの鬼(オーガ)が背中で哭くんですね?これから…
コワイコワイコワイコワイ…
さぁ、今のうちに部屋に退散しよ。
「ユーマ、アレはヤバいわね。ちょっとこのままここにいていいのか不安になってきたわ」
「うん。ネルの気持ちもわかる。まぁ逆にあの人が宿を守ってるんだと思えば安全なのかも」
今は部屋に戻ってくつろぎタイム。
シアは隣のベットでゴロゴロしながら風羽花と何やら遊んでる様子。
僕はネルを枕に座らせて、ギルドであった事なんかを話してる。
「けど正直な話、ケビン達も含めて冒険者の質が低いんじゃないかな?
ギルドで聞いた感じだと、ケビン達はガルド市じゃあ優秀な冒険者って扱いなんだってさ。
でも、あの3人とは直接やりあったからわかるんだけど、すっごい弱いよ?
多分この間の剣オークには勝てないと思う」
「そうなの?まぁ確かに冒険者の質って、今は多分良くはないと思うわ。
昔はドラゴンと単騎で闘って勝つ冒険者もいたわ。今ガイアス全体でも、そういうレベルの人は少ないんじゃないかしら」
「ドラゴンって…
それにしても、もう少し底上げしないと、そのうちこの前のオーク集団みたいなのが攻めて来たりして、全滅しちゃうんじゃないかなって」
「そうね…きっと大丈夫だと思うけど、もしここにいる間に攻めて来たらユーマがなんとかするでしょ?」
「そういうフラグ建てるのやめてください。
いやほんと、ネルが言うと実現しそうで怖いんですけど?」
なんて茶化したけど、フラグ建ってないよね?
…人の口には戸は立てられないって、アレほんと。昔の人もきっと苦労したんでしょうねぇ。
食堂の床で正座なう。
メアリと…
ギルドから戻った僕達をマーサさんは笑顔で迎えてくれました。
「ご苦労様でした。問題はなかったみたいね?ケビン達はどうなるのかしら?
とりあえずお茶でも飲みながら報告してくださるかしら?」
「はい、もちろん。マーサさんのおかげですし」
おっと危ない、マーサさんがキョトンと首を傾げてる。ギルドに行く前の話だけにしとかないと。
「ほら、結局マーサさんのお話がなかったらギルド行く事もなかったですから」
「あぁ、それは知らなかっただけじゃない。特別な事じゃないわよ?」
「それでも感謝してるってことです。それでですね…」
ちょと無理矢理感があったかもしれないけど、どうにか本題に移り話はケビン達の話題に。
「…それでケビン達が素直に罪を認めたので、すんなり返して貰えたらしくて。
ジークロフトさんもマーサさんに感謝しとけって」
「そうだったの。引き渡しだけの割に随分と予想より遅いから心配してたのよ。
まぁ、そういう話ならわかるんだけど。ジークロフトもなかなかしっかりして来たのね」
「お知り合いなんですか?」
あっ、思わず聞いちゃった。不自然じゃないよね…?
「えぇ、昔ちょっとだけね。あの子なんか言ってた?」
…あの子って言ったし。しかも一瞬マーサさんの目がキラッと光ったような気がする。
「いぇ特に何も?それで最終的に、明日の昼過ぎにギルドからの処分について教えてくれるそうで、行って聞いてきますけどご一緒しますか?」
「え?お昼はちょっと忙しいわね。残念だわ。こう見えても宿の昼間はやること意外とあるのよ?結果だけ教えてくださいな」
「はい。じゃあ、また明日報告しますね」
…ふぅ。なんとか無事に収まったか。よかっ…
「でもママ、ギルドってあんなに色々な部屋があるのね!あたし受付とロビーより先の部屋って入った事なかったから楽しかったわ」
…ふぁっ!?ちょ、おま、何言ってくれちゃってんの!?
「奥の部屋?メアリ?どういう事かしら?ロビーで話したんではなかったの?
そんな奥まで入ってする話じゃないわよ?」
ヒィィィ…メアリィィィィィ…
「え?あ、アレよ、その、ちょっとだけね、待たされたというか…」
「待たされた?どこにそんな必要が?何か隠してるのかしら?正直に言いなさい?今ならまだ怒らないわよ?」
ダメだ!メアリ!それは罠だっ!言っちゃダメだ!
「あ、いや、その…」
「マーサさん!なんでもな…」
「ユーマさんには聞いてないわよ?」
…あぁ、オワタ。
あの眼はダメだ。逆らっちゃいけないやつだ。
「メアリ?どうしたの?は、や、く、言いなさい?」
…メアリ、もうダメなんだ。僕達に逃げ道はないんだよ。
だからそんな目でこっちを見るんじゃありません…。
「はい。実は…」
というわけで正座なう。
「ふーん、そんな事があったの…。それで口止めされたわけね?
ユーマさんもユーマさんだわ。あんなヤツの口車に乗せられて。正直に言ったら良かったじゃない」
…いや、だって鬼(オーガ)が出るとかねぇ。
「いや、ジークロフトさんも頭下げてくれましたし、そんな大ごとにする様な話でもなかったわけで…」
「ママ!ユーマさんは悪くないんだからっ!
ユーマさん優しいから、きっとジークロフトさんがかわいそうになっただけなのっ!」
「どうしてかわいそうになるのよ?」
…あ、ヤバい。
この流れだと…メアリ、こっちをチラチラ見るんじゃない。
「え?いや、あの…」
「早く言いなさい?どうして?」
声は優しいマーサさん。顔も優しい笑顔。目が…しゅーりょー
「あ、あのね、言っちゃダメって言われたけど…」
「けど?なぁに?」
「あの、マ、ママが鬼(オーガ)って呼ばれてたって…ジークロフトさんが言ってたの!
ママにバレたら怒られるから内緒だよって」
…はぁ。全部言っちゃったよ。
「へぇ…そうなの。それじゃ仕方ないわよねぇ。さぁ、夜も遅いから解散しましょ。はい解散」
ん?予想外の反応…じゃなかった。今マーサさんが掴んでる椅子の背もたれにヒビが入ってる。
マーサさんの鬼(オーガ)が背中で哭くんですね?これから…
コワイコワイコワイコワイ…
さぁ、今のうちに部屋に退散しよ。
「ユーマ、アレはヤバいわね。ちょっとこのままここにいていいのか不安になってきたわ」
「うん。ネルの気持ちもわかる。まぁ逆にあの人が宿を守ってるんだと思えば安全なのかも」
今は部屋に戻ってくつろぎタイム。
シアは隣のベットでゴロゴロしながら風羽花と何やら遊んでる様子。
僕はネルを枕に座らせて、ギルドであった事なんかを話してる。
「けど正直な話、ケビン達も含めて冒険者の質が低いんじゃないかな?
ギルドで聞いた感じだと、ケビン達はガルド市じゃあ優秀な冒険者って扱いなんだってさ。
でも、あの3人とは直接やりあったからわかるんだけど、すっごい弱いよ?
多分この間の剣オークには勝てないと思う」
「そうなの?まぁ確かに冒険者の質って、今は多分良くはないと思うわ。
昔はドラゴンと単騎で闘って勝つ冒険者もいたわ。今ガイアス全体でも、そういうレベルの人は少ないんじゃないかしら」
「ドラゴンって…
それにしても、もう少し底上げしないと、そのうちこの前のオーク集団みたいなのが攻めて来たりして、全滅しちゃうんじゃないかなって」
「そうね…きっと大丈夫だと思うけど、もしここにいる間に攻めて来たらユーマがなんとかするでしょ?」
「そういうフラグ建てるのやめてください。
いやほんと、ネルが言うと実現しそうで怖いんですけど?」
なんて茶化したけど、フラグ建ってないよね?
0
お気に入りに追加
535
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる