転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

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第ニ章 ガルドの街

第43話

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 はい、僕です。

 …人の口には戸は立てられないって、アレほんと。昔の人もきっと苦労したんでしょうねぇ。

 食堂の床で正座なう。
 メアリと…


 ギルドから戻った僕達をマーサさんは笑顔で迎えてくれました。

 「ご苦労様でした。問題はなかったみたいね?ケビン達はどうなるのかしら?
 とりあえずお茶でも飲みながら報告してくださるかしら?」

 「はい、もちろん。マーサさんのおかげですし」

 おっと危ない、マーサさんがキョトンと首を傾げてる。ギルドに行く前の話だけにしとかないと。

 「ほら、結局マーサさんのお話がなかったらギルド行く事もなかったですから」

 「あぁ、それは知らなかっただけじゃない。特別な事じゃないわよ?」

 「それでも感謝してるってことです。それでですね…」

 ちょと無理矢理感があったかもしれないけど、どうにか本題に移り話はケビン達の話題に。

 「…それでケビン達が素直に罪を認めたので、すんなり返して貰えたらしくて。
 ジークロフトさんもマーサさんに感謝しとけって」

 「そうだったの。引き渡しだけの割に随分と予想より遅いから心配してたのよ。
 まぁ、そういう話ならわかるんだけど。ジークロフトもなかなかしっかりして来たのね」

 「お知り合いなんですか?」

 あっ、思わず聞いちゃった。不自然じゃないよね…?

 「えぇ、昔ちょっとだけね。あの子なんか言ってた?」

 …あの子って言ったし。しかも一瞬マーサさんの目がキラッと光ったような気がする。

 「いぇ特に何も?それで最終的に、明日の昼過ぎにギルドからの処分について教えてくれるそうで、行って聞いてきますけどご一緒しますか?」

 「え?お昼はちょっと忙しいわね。残念だわ。こう見えても宿の昼間はやること意外とあるのよ?結果だけ教えてくださいな」

 「はい。じゃあ、また明日報告しますね」

 …ふぅ。なんとか無事に収まったか。よかっ…

 「でもママ、ギルドってあんなに色々な部屋があるのね!あたし受付とロビーより先の部屋って入った事なかったから楽しかったわ」

 …ふぁっ!?ちょ、おま、何言ってくれちゃってんの!?

 「奥の部屋?メアリ?どういう事かしら?ロビーで話したんではなかったの?
 そんな奥まで入ってする話じゃないわよ?」

 ヒィィィ…メアリィィィィィ…

 「え?あ、アレよ、その、ちょっとだけね、待たされたというか…」

 「待たされた?どこにそんな必要が?何か隠してるのかしら?正直に言いなさい?今ならまだ怒らないわよ?」

 ダメだ!メアリ!それは罠だっ!言っちゃダメだ!

 「あ、いや、その…」

 「マーサさん!なんでもな…」

 「ユーマさんには聞いてないわよ?」

 …あぁ、オワタ。
 あの眼はダメだ。逆らっちゃいけないやつだ。

  「メアリ?どうしたの?は、や、く、言いなさい?」

 …メアリ、もうダメなんだ。僕達に逃げ道はないんだよ。
 だからそんな目でこっちを見るんじゃありません…。

「はい。実は…」



 というわけで正座なう。

 「ふーん、そんな事があったの…。それで口止めされたわけね?
 ユーマさんもユーマさんだわ。あんなヤツの口車に乗せられて。正直に言ったら良かったじゃない」

 …いや、だって鬼(オーガ)が出るとかねぇ。

 「いや、ジークロフトさんも頭下げてくれましたし、そんな大ごとにする様な話でもなかったわけで…」

 「ママ!ユーマさんは悪くないんだからっ!
 ユーマさん優しいから、きっとジークロフトさんがかわいそうになっただけなのっ!」

 「どうしてかわいそうになるのよ?」

 …あ、ヤバい。
 この流れだと…メアリ、こっちをチラチラ見るんじゃない。

 「え?いや、あの…」

 「早く言いなさい?どうして?」

 声は優しいマーサさん。顔も優しい笑顔。目が…しゅーりょー

 「あ、あのね、言っちゃダメって言われたけど…」

 「けど?なぁに?」

 「あの、マ、ママが鬼(オーガ)って呼ばれてたって…ジークロフトさんが言ってたの!
 ママにバレたら怒られるから内緒だよって」

 …はぁ。全部言っちゃったよ。

 「へぇ…そうなの。それじゃ仕方ないわよねぇ。さぁ、夜も遅いから解散しましょ。はい解散」

 ん?予想外の反応…じゃなかった。今マーサさんが掴んでる椅子の背もたれにヒビが入ってる。
 マーサさんの鬼(オーガ)が背中で哭くんですね?これから…
 コワイコワイコワイコワイ…

 さぁ、今のうちに部屋に退散しよ。



 「ユーマ、アレはヤバいわね。ちょっとこのままここにいていいのか不安になってきたわ」

 「うん。ネルの気持ちもわかる。まぁ逆にあの人が宿を守ってるんだと思えば安全なのかも」

 今は部屋に戻ってくつろぎタイム。
 シアは隣のベットでゴロゴロしながら風羽花と何やら遊んでる様子。
 僕はネルを枕に座らせて、ギルドであった事なんかを話してる。

 「けど正直な話、ケビン達も含めて冒険者の質が低いんじゃないかな?
 ギルドで聞いた感じだと、ケビン達はガルド市じゃあ優秀な冒険者って扱いなんだってさ。
 でも、あの3人とは直接やりあったからわかるんだけど、すっごい弱いよ?
 多分この間の剣オークには勝てないと思う」

 「そうなの?まぁ確かに冒険者の質って、今は多分良くはないと思うわ。
 昔はドラゴンと単騎で闘って勝つ冒険者もいたわ。今ガイアス全体でも、そういうレベルの人は少ないんじゃないかしら」

 「ドラゴンって…
 それにしても、もう少し底上げしないと、そのうちこの前のオーク集団みたいなのが攻めて来たりして、全滅しちゃうんじゃないかなって」

 「そうね…きっと大丈夫だと思うけど、もしここにいる間に攻めて来たらユーマがなんとかするでしょ?」

 「そういうフラグ建てるのやめてください。
 いやほんと、ネルが言うと実現しそうで怖いんですけど?」

 なんて茶化したけど、フラグ建ってないよね?

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