43 / 170
第ニ章 ガルドの街
第41話
しおりを挟む
ケビン達を連れてギルドに入った僕達は現在、会議室っぽい部屋でいかついおっさんに頭を下げられています。
「ほんっっとうに申し訳ない!」
「何がどうなってこうなったのか、全くわからないんですが…」
ギルドの受付に足を運んだ僕達は、拘束されて俯いたままのケビン達を受付前に立たせると、受付の女性に声をかけました。
「この人達が僕に対してギルド規約に反する行為をしたらしいので、拘束して報告に来ました。後はどうしたらいいですか?」
「え?…ええっ!?そうなんですかっ?少々お待ちください」
受付の人は慌てて奥へ駆け込んでいきます。
程なくオフォスの方がザワザワし始め、明らかにコチラを指差しながら何処かに指示を出す様な仕種をしている人も見えます。
「大変お待たせ致しました。お話を伺いますのであちらの部屋にお入りください。追って職員が参ります」
戻って来た受付の女性は、そう言って奥に見える扉を示すと僕達を促しながら部屋へと誘導してくれました。
「ケビンさん達は別室にて聴取を致します。担当職員が参りますまで、おかけになってお待ちください。では失礼致します」
案内された部屋は、昔見た警察モノのドラマを思い出すような殺風景な小部屋でした。これといった飾り気もなく、シンプルな応接セットと壁際に1組の机と椅子が置かれているだけ。
取調室ってこんな感じじゃなかったっけ?
「ユーマさん。なんだか寂しい部屋じゃない?」
「そうだね。同感。まぁ他を知らないから変なのかどうかはわからないんだけど」
メアリも圧迫感を感じているような表情で僕を見つめながら、話しかけてきました。
そのまましばらく雑談していると、ノックとともに入室の声がかかります。
「どうぞ。お待ちしてました」
「大変お待たせしました。ガルド市冒険者ギルド職員のシウバと申します」
入ってきたのは長身で細身の男性です。
彼は座りもせず、メガネの奥から怜悧な印象の鋭い視線を投げかけてきています。
「まず、お2人には現在ギルド員への傷害の疑いがかけられています。
この後聴取を行わせて頂きますが、場合によっては拘束させて頂きますのでご了承ください」
「「….はっ?傷害?どういう事?」」
あまりに予想外の言葉で、思わずメアリとシンクロしてしまいました。
「簡潔に申します。当ギルド所属のケビン氏以下2名に対しまして傷を負わせた上、拘束をし連れ回した事については既に確認が取れております。
現在ケビン氏への聞き取りを行なっておりますが、そちらが終わり次第お2人の罪状認否をいたします。
罪をお認めにならなかった場合、拘束の上、裁判まで留置になります。
また証拠隠滅や逃亡幇助の可能性から、一切外部との連絡は取れません。では、今しばらくお待ちください」
シウバ氏はひどく事務的な口調で一方的に告げると、反論する間もなく部屋を出ていきました。なんだこりゃ?
「ユーマさん…どうしよう?あたし達犯罪者にされちゃうのかな?」
「いやいや、少なくともメアリは何もしてないじゃん。
僕が何かの罪に問われたとしても、メアリには一個も後ろめたい事もないんだから大丈夫だよ」
「でも、ユーマさんだって何もしてないじゃん!悪い事した人をお仕置きしただけなんだよ?ママだってそう言ってたじゃん!」
確かに想像してたのと全く違う状況になってしまって、動揺するまま済し崩しに軟禁されてるんだよね。我ながら情けない。
とは言えこのままでは…
「しばらく大人しくしとこう。今すぐここから出ることは難しく無いと思うけど、きっと何かしたらギルド側の心証も悪くなるだろうし、後からでもメアリの身元を確認して貰えたらマーサさんやシアにも伝わるはずだから」
「うん…ユーマさんがそう言うなら…」
ともかく待つしかない。重苦しい空気の中、メアリと 雑談を交わしていると再びノックの音。
「大変お手間を取らせますが、お部屋を移動していただきますので、こちらへご同行願えますでしょうか?」
今度やってきたのは、先程のシウバ氏ではなく落ち着いた雰囲気の中年の女性でした。
彼女は柔らな笑みを浮かべながら僕達を誘います。
「あの…今度はどこに?」
「そこのお部屋です。どうぞお入りください」
次に案内されたのは、先程とはうって変わって部屋全体が落ち着いた雰囲気の一室。
大き目の長方形の机と、それを囲むように10脚程の椅子が置かれ、さながら一流企業の役員会議室と言った趣のある部屋です。
部屋に入ると彼女に着席を勧められました。
さっきと扱いが全く違うぞ?
「すぐにお飲み物をお持ちしますので、そのままお待ち下さい」
そう告げると彼女は部屋を退出し、程なくやって来た別の若い女性もお茶を淹れるとすぐに立ち去ります。
話は後ほどっていわれてもねぇ…
このお茶大丈夫かな?痺れ薬でも入ってるかもしれないと思って、思わず魔力眼で確認しちゃいました。
お茶には問題がなかったのでメアリと一服していると、外から慌ただしい足音が聞こえます。
と、すぐにノックというか殴りつけたかのような派手な音とともに、野太い男性の声が。
「大変お待たせした。失礼するぞ!」
入って来たのは大柄で筋肉質ないかつい男性。あまりの人相にメアリが軽く悲鳴を上げたほどです。
部屋に入るなり、その男性は床に膝を落として両手をつきながら僕達に謝って来たのでした。
「ほんっっとうに申し訳ない!」
「何がどうなってこうなったのか、全くわからないんですが…」
ギルドの受付に足を運んだ僕達は、拘束されて俯いたままのケビン達を受付前に立たせると、受付の女性に声をかけました。
「この人達が僕に対してギルド規約に反する行為をしたらしいので、拘束して報告に来ました。後はどうしたらいいですか?」
「え?…ええっ!?そうなんですかっ?少々お待ちください」
受付の人は慌てて奥へ駆け込んでいきます。
程なくオフォスの方がザワザワし始め、明らかにコチラを指差しながら何処かに指示を出す様な仕種をしている人も見えます。
「大変お待たせ致しました。お話を伺いますのであちらの部屋にお入りください。追って職員が参ります」
戻って来た受付の女性は、そう言って奥に見える扉を示すと僕達を促しながら部屋へと誘導してくれました。
「ケビンさん達は別室にて聴取を致します。担当職員が参りますまで、おかけになってお待ちください。では失礼致します」
案内された部屋は、昔見た警察モノのドラマを思い出すような殺風景な小部屋でした。これといった飾り気もなく、シンプルな応接セットと壁際に1組の机と椅子が置かれているだけ。
取調室ってこんな感じじゃなかったっけ?
「ユーマさん。なんだか寂しい部屋じゃない?」
「そうだね。同感。まぁ他を知らないから変なのかどうかはわからないんだけど」
メアリも圧迫感を感じているような表情で僕を見つめながら、話しかけてきました。
そのまましばらく雑談していると、ノックとともに入室の声がかかります。
「どうぞ。お待ちしてました」
「大変お待たせしました。ガルド市冒険者ギルド職員のシウバと申します」
入ってきたのは長身で細身の男性です。
彼は座りもせず、メガネの奥から怜悧な印象の鋭い視線を投げかけてきています。
「まず、お2人には現在ギルド員への傷害の疑いがかけられています。
この後聴取を行わせて頂きますが、場合によっては拘束させて頂きますのでご了承ください」
「「….はっ?傷害?どういう事?」」
あまりに予想外の言葉で、思わずメアリとシンクロしてしまいました。
「簡潔に申します。当ギルド所属のケビン氏以下2名に対しまして傷を負わせた上、拘束をし連れ回した事については既に確認が取れております。
現在ケビン氏への聞き取りを行なっておりますが、そちらが終わり次第お2人の罪状認否をいたします。
罪をお認めにならなかった場合、拘束の上、裁判まで留置になります。
また証拠隠滅や逃亡幇助の可能性から、一切外部との連絡は取れません。では、今しばらくお待ちください」
シウバ氏はひどく事務的な口調で一方的に告げると、反論する間もなく部屋を出ていきました。なんだこりゃ?
「ユーマさん…どうしよう?あたし達犯罪者にされちゃうのかな?」
「いやいや、少なくともメアリは何もしてないじゃん。
僕が何かの罪に問われたとしても、メアリには一個も後ろめたい事もないんだから大丈夫だよ」
「でも、ユーマさんだって何もしてないじゃん!悪い事した人をお仕置きしただけなんだよ?ママだってそう言ってたじゃん!」
確かに想像してたのと全く違う状況になってしまって、動揺するまま済し崩しに軟禁されてるんだよね。我ながら情けない。
とは言えこのままでは…
「しばらく大人しくしとこう。今すぐここから出ることは難しく無いと思うけど、きっと何かしたらギルド側の心証も悪くなるだろうし、後からでもメアリの身元を確認して貰えたらマーサさんやシアにも伝わるはずだから」
「うん…ユーマさんがそう言うなら…」
ともかく待つしかない。重苦しい空気の中、メアリと 雑談を交わしていると再びノックの音。
「大変お手間を取らせますが、お部屋を移動していただきますので、こちらへご同行願えますでしょうか?」
今度やってきたのは、先程のシウバ氏ではなく落ち着いた雰囲気の中年の女性でした。
彼女は柔らな笑みを浮かべながら僕達を誘います。
「あの…今度はどこに?」
「そこのお部屋です。どうぞお入りください」
次に案内されたのは、先程とはうって変わって部屋全体が落ち着いた雰囲気の一室。
大き目の長方形の机と、それを囲むように10脚程の椅子が置かれ、さながら一流企業の役員会議室と言った趣のある部屋です。
部屋に入ると彼女に着席を勧められました。
さっきと扱いが全く違うぞ?
「すぐにお飲み物をお持ちしますので、そのままお待ち下さい」
そう告げると彼女は部屋を退出し、程なくやって来た別の若い女性もお茶を淹れるとすぐに立ち去ります。
話は後ほどっていわれてもねぇ…
このお茶大丈夫かな?痺れ薬でも入ってるかもしれないと思って、思わず魔力眼で確認しちゃいました。
お茶には問題がなかったのでメアリと一服していると、外から慌ただしい足音が聞こえます。
と、すぐにノックというか殴りつけたかのような派手な音とともに、野太い男性の声が。
「大変お待たせした。失礼するぞ!」
入って来たのは大柄で筋肉質ないかつい男性。あまりの人相にメアリが軽く悲鳴を上げたほどです。
部屋に入るなり、その男性は床に膝を落として両手をつきながら僕達に謝って来たのでした。
0
お気に入りに追加
536
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる