転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

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第ニ章 ガルドの街

第41話

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 ケビン達を連れてギルドに入った僕達は現在、会議室っぽい部屋でいかついおっさんに頭を下げられています。

 「ほんっっとうに申し訳ない!」

 「何がどうなってこうなったのか、全くわからないんですが…」



 ギルドの受付に足を運んだ僕達は、拘束されて俯いたままのケビン達を受付前に立たせると、受付の女性に声をかけました。

 「この人達が僕に対してギルド規約に反する行為をしたらしいので、拘束して報告に来ました。後はどうしたらいいですか?」

 「え?…ええっ!?そうなんですかっ?少々お待ちください」

 受付の人は慌てて奥へ駆け込んでいきます。
 程なくオフォスの方がザワザワし始め、明らかにコチラを指差しながら何処かに指示を出す様な仕種をしている人も見えます。

 「大変お待たせ致しました。お話を伺いますのであちらの部屋にお入りください。追って職員が参ります」

 戻って来た受付の女性は、そう言って奥に見える扉を示すと僕達を促しながら部屋へと誘導してくれました。

 「ケビンさん達は別室にて聴取を致します。担当職員が参りますまで、おかけになってお待ちください。では失礼致します」

 案内された部屋は、昔見た警察モノのドラマを思い出すような殺風景な小部屋でした。これといった飾り気もなく、シンプルな応接セットと壁際に1組の机と椅子が置かれているだけ。
 取調室ってこんな感じじゃなかったっけ?

 「ユーマさん。なんだか寂しい部屋じゃない?」

 「そうだね。同感。まぁ他を知らないから変なのかどうかはわからないんだけど」

 メアリも圧迫感を感じているような表情で僕を見つめながら、話しかけてきました。
 そのまましばらく雑談していると、ノックとともに入室の声がかかります。

 「どうぞ。お待ちしてました」

 「大変お待たせしました。ガルド市冒険者ギルド職員のシウバと申します」

 入ってきたのは長身で細身の男性です。
 彼は座りもせず、メガネの奥から怜悧な印象の鋭い視線を投げかけてきています。

 「まず、お2人には現在ギルド員への傷害の疑いがかけられています。
 この後聴取を行わせて頂きますが、場合によっては拘束させて頂きますのでご了承ください」

 「「….はっ?傷害?どういう事?」」

 あまりに予想外の言葉で、思わずメアリとシンクロしてしまいました。

 「簡潔に申します。当ギルド所属のケビン氏以下2名に対しまして傷を負わせた上、拘束をし連れ回した事については既に確認が取れております。
 現在ケビン氏への聞き取りを行なっておりますが、そちらが終わり次第お2人の罪状認否をいたします。
 罪をお認めにならなかった場合、拘束の上、裁判まで留置になります。
 また証拠隠滅や逃亡幇助の可能性から、一切外部との連絡は取れません。では、今しばらくお待ちください」

 シウバ氏はひどく事務的な口調で一方的に告げると、反論する間もなく部屋を出ていきました。なんだこりゃ?

 「ユーマさん…どうしよう?あたし達犯罪者にされちゃうのかな?」

 「いやいや、少なくともメアリは何もしてないじゃん。
 僕が何かの罪に問われたとしても、メアリには一個も後ろめたい事もないんだから大丈夫だよ」

 「でも、ユーマさんだって何もしてないじゃん!悪い事した人をお仕置きしただけなんだよ?ママだってそう言ってたじゃん!」

 確かに想像してたのと全く違う状況になってしまって、動揺するまま済し崩しに軟禁されてるんだよね。我ながら情けない。
 とは言えこのままでは…

 「しばらく大人しくしとこう。今すぐここから出ることは難しく無いと思うけど、きっと何かしたらギルド側の心証も悪くなるだろうし、後からでもメアリの身元を確認して貰えたらマーサさんやシアにも伝わるはずだから」

 「うん…ユーマさんがそう言うなら…」

 ともかく待つしかない。重苦しい空気の中、メアリと 雑談を交わしていると再びノックの音。

 「大変お手間を取らせますが、お部屋を移動していただきますので、こちらへご同行願えますでしょうか?」

 今度やってきたのは、先程のシウバ氏ではなく落ち着いた雰囲気の中年の女性でした。
 彼女は柔らな笑みを浮かべながら僕達を誘います。

 「あの…今度はどこに?」

 「そこのお部屋です。どうぞお入りください」

 次に案内されたのは、先程とはうって変わって部屋全体が落ち着いた雰囲気の一室。
 大き目の長方形の机と、それを囲むように10脚程の椅子が置かれ、さながら一流企業の役員会議室と言った趣のある部屋です。
 部屋に入ると彼女に着席を勧められました。
 さっきと扱いが全く違うぞ?

「すぐにお飲み物をお持ちしますので、そのままお待ち下さい」

 そう告げると彼女は部屋を退出し、程なくやって来た別の若い女性もお茶を淹れるとすぐに立ち去ります。
 話は後ほどっていわれてもねぇ…
 このお茶大丈夫かな?痺れ薬でも入ってるかもしれないと思って、思わず魔力眼で確認しちゃいました。

 お茶には問題がなかったのでメアリと一服していると、外から慌ただしい足音が聞こえます。
 と、すぐにノックというか殴りつけたかのような派手な音とともに、野太い男性の声が。

 「大変お待たせした。失礼するぞ!」

 入って来たのは大柄で筋肉質ないかつい男性。あまりの人相にメアリが軽く悲鳴を上げたほどです。
 部屋に入るなり、その男性は床に膝を落として両手をつきながら僕達に謝って来たのでした。
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