34 / 170
第ニ章 ガルドの街
第32話
しおりを挟む
花売りの少女は旅行者目当ての商売なのかな?
ガイアスってそこまで安全な旅が出来る環境ではないと思うんだけどなぁ…
「ごめんね。今さっき街に着いたばっかりだから、まだ路銀の補充もしてないんだ。また後でも良かったら一輪買わせてもらうよ。
替わりにってわけじゃないけどさ、ギルドの場所教えてくれないかな?」
「ギルドですか?商人?冒険者?それとも生産者?」
…え?聞いてないんですけど
シアに目をやると、視線を逸らしやがる。覚えてろよ!ダメトカゲ!
「狩った動物を売りたいんだけど」
「あー!冒険者ギルドね?それならあっちよ!ちょうど噴水の向こう側。南通りと西通りの間の建物がそう」
「そっか、ありがと!行ってくるよ」
「はーい!私まだここにいるから!売れたらお花買ってね?きっとよ?約束なんだからっ!」
「うん、わかったよ。また後でね」
少女に一旦の別れを告げて冒険者ギルド向かいます。
どうやら噴水の広場は街の中心だけあって、周囲を各種ギルドや商会の店舗などが集まっている地区のようでした。
「ふむ…訊く必要もなかったようじゃな」
「まぁ損したわけじゃないし、いいんじゃないの?」
ネルが優しいです。
「…いつも優しいわよ?」
…はい。ごめんなさい。
冒険者ギルドは、外見からもそれと推測出来そうなほど武骨な造りです。
入り口は広く、そこに据え付けられていたのは分厚い板を組み合わせ鉄板や鋲で補強された上に、一旦閉じれば何人たりとも通さないという意思が感じられる程の扉。開いてて良かった。
開け放たれた扉を抜けるとそこは天井が高いホールでした。
真っ正面には受付のようなカウンターがあり、そこには2人女性がいます。
正面右手には事務所らしきフロアがあり、数人の男女がなにやら事務作業をしているようです。
逆手側には、個別に仕切られたブースが複数設置されていました。
とりあえず正面のカウンターへと足を向けます。
「冒険者ギルド、ガルド支部へようこそ!ご用件を承りますわ」
「えーと、色々と買取を頼みたいです」
「買取ですね。でしたら左手のブースへとご移動下さい。そちらで査定買取させて頂きます。
万一そちらで扱えないサイズの魔獣等でしたら、ギルド裏の解体場でも査定買取致します」
「今回はブースでお願いします」
というわけで買取ブースへ。さっきの女性が担当してくれるみたい。
「では、売却希望の素材などをご提出下さい」
案内に従って収納から取り出した獲物をブースへ積み上げていく。次々積み上げいくうちに担当女性の顔が徐々に引きつり出すのがわかった。
「収納をお持ちでいらっしゃるんですね?しかもかなり大き目のご様子ですが…」
「詮索は不要なのじゃ。この方はさる大店の跡継ぎであらせられる。収納持ちなのはご理解頂けるじゃろう?」
「ええ、もちろんです。ただ予想よりも多かったもので」
「え?そうなの?じゃあ一旦ここまでにしておきます。査定金額によっては追加しますんで」
「かしこまりました。では一旦お預かりして計算致します。お呼び致しますのでホールでお待ち下さい。
2階にギルド運営の酒場もございますが、そちらに行かれますか?」
「いえ、ホールで待ちますよ」
「承知致しました。では、お名前を頂戴出来ますでしょうか?」
「シアと呼んでくれるじゃろうか?」
「シア様でございますね?では少々お待ちください。一旦失礼致します」
ギルド職員さんが奥に下がるのを見送って、ホール内に据えてあるテーブル席へ移動しました。
恐らく冒険者達が雑談や打ち合わせに使うんだろう、あちこちに刃物で書いた落書きや傷が目立つ。コレ綺麗に修繕したいなぁ…
「絶対ダメよ?わざわざ目立つ事しないでよね?」
あ、はい。
シアとたまにネルを交えながら雑談していると、先程の職員さんがシアを呼ぶ声が聞こえました。
「大変お待たせいたしました。査定が完了しましたのでまずはご報告致します。
えーと…角ウサギが25匹で大銅貨25枚、跳びネズミ15匹で銅貨30枚、ゴブリンの耳が2組で銅貨2枚、オークの鼻が10個で銀貨10枚、森林狼の尻尾が10本で銀貨20枚になります。
合計しますと金貨4枚、大銀貨1枚 、大銅貨1枚、銅貨2枚ですね。以上が買取額となります。
こちらに入れてありますのでご確認を」
職員さんが厚手の袋を手渡してきます。結構重さがあるんだなぁ…あの量でこんな感じになるのか。
「はい、間違いないです。ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます。当ギルドを今後ともよろしくお願いします。またのご利用をお待ちしておりますわ」
職員さんはにこやかに微笑みながら綺麗なお辞儀をしてくれた。
なんかデパートのインフォメーションにいた人も、丁度こんな雰囲気だったよなぁ。きっと彼女もマナー研修とかしてるんだろうね。
なんて事を思いながらブースを後にしました。
「ねぇ、シア?これってどんなもん?宿とか食事とか足りるのかな?」
「わからんのじゃ!そんなモノは使った事がないからのぅ!」
…まじか。てっきり知ってるもんだと思ってあてにしてたけど、あっさり期待を裏切ってくれました。
シアが頼りないのは良くわかったので、自分で調べるしかないですね。
と言うわけでギルドを後にした僕達は、先程の花売りの少女の所へ向かう事にしました。
…あれ?噴水のあたりに人が集まってる。
ちょうどさっき少女と別れたあたりです。何かあったのかな?
ガイアスってそこまで安全な旅が出来る環境ではないと思うんだけどなぁ…
「ごめんね。今さっき街に着いたばっかりだから、まだ路銀の補充もしてないんだ。また後でも良かったら一輪買わせてもらうよ。
替わりにってわけじゃないけどさ、ギルドの場所教えてくれないかな?」
「ギルドですか?商人?冒険者?それとも生産者?」
…え?聞いてないんですけど
シアに目をやると、視線を逸らしやがる。覚えてろよ!ダメトカゲ!
「狩った動物を売りたいんだけど」
「あー!冒険者ギルドね?それならあっちよ!ちょうど噴水の向こう側。南通りと西通りの間の建物がそう」
「そっか、ありがと!行ってくるよ」
「はーい!私まだここにいるから!売れたらお花買ってね?きっとよ?約束なんだからっ!」
「うん、わかったよ。また後でね」
少女に一旦の別れを告げて冒険者ギルド向かいます。
どうやら噴水の広場は街の中心だけあって、周囲を各種ギルドや商会の店舗などが集まっている地区のようでした。
「ふむ…訊く必要もなかったようじゃな」
「まぁ損したわけじゃないし、いいんじゃないの?」
ネルが優しいです。
「…いつも優しいわよ?」
…はい。ごめんなさい。
冒険者ギルドは、外見からもそれと推測出来そうなほど武骨な造りです。
入り口は広く、そこに据え付けられていたのは分厚い板を組み合わせ鉄板や鋲で補強された上に、一旦閉じれば何人たりとも通さないという意思が感じられる程の扉。開いてて良かった。
開け放たれた扉を抜けるとそこは天井が高いホールでした。
真っ正面には受付のようなカウンターがあり、そこには2人女性がいます。
正面右手には事務所らしきフロアがあり、数人の男女がなにやら事務作業をしているようです。
逆手側には、個別に仕切られたブースが複数設置されていました。
とりあえず正面のカウンターへと足を向けます。
「冒険者ギルド、ガルド支部へようこそ!ご用件を承りますわ」
「えーと、色々と買取を頼みたいです」
「買取ですね。でしたら左手のブースへとご移動下さい。そちらで査定買取させて頂きます。
万一そちらで扱えないサイズの魔獣等でしたら、ギルド裏の解体場でも査定買取致します」
「今回はブースでお願いします」
というわけで買取ブースへ。さっきの女性が担当してくれるみたい。
「では、売却希望の素材などをご提出下さい」
案内に従って収納から取り出した獲物をブースへ積み上げていく。次々積み上げいくうちに担当女性の顔が徐々に引きつり出すのがわかった。
「収納をお持ちでいらっしゃるんですね?しかもかなり大き目のご様子ですが…」
「詮索は不要なのじゃ。この方はさる大店の跡継ぎであらせられる。収納持ちなのはご理解頂けるじゃろう?」
「ええ、もちろんです。ただ予想よりも多かったもので」
「え?そうなの?じゃあ一旦ここまでにしておきます。査定金額によっては追加しますんで」
「かしこまりました。では一旦お預かりして計算致します。お呼び致しますのでホールでお待ち下さい。
2階にギルド運営の酒場もございますが、そちらに行かれますか?」
「いえ、ホールで待ちますよ」
「承知致しました。では、お名前を頂戴出来ますでしょうか?」
「シアと呼んでくれるじゃろうか?」
「シア様でございますね?では少々お待ちください。一旦失礼致します」
ギルド職員さんが奥に下がるのを見送って、ホール内に据えてあるテーブル席へ移動しました。
恐らく冒険者達が雑談や打ち合わせに使うんだろう、あちこちに刃物で書いた落書きや傷が目立つ。コレ綺麗に修繕したいなぁ…
「絶対ダメよ?わざわざ目立つ事しないでよね?」
あ、はい。
シアとたまにネルを交えながら雑談していると、先程の職員さんがシアを呼ぶ声が聞こえました。
「大変お待たせいたしました。査定が完了しましたのでまずはご報告致します。
えーと…角ウサギが25匹で大銅貨25枚、跳びネズミ15匹で銅貨30枚、ゴブリンの耳が2組で銅貨2枚、オークの鼻が10個で銀貨10枚、森林狼の尻尾が10本で銀貨20枚になります。
合計しますと金貨4枚、大銀貨1枚 、大銅貨1枚、銅貨2枚ですね。以上が買取額となります。
こちらに入れてありますのでご確認を」
職員さんが厚手の袋を手渡してきます。結構重さがあるんだなぁ…あの量でこんな感じになるのか。
「はい、間違いないです。ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます。当ギルドを今後ともよろしくお願いします。またのご利用をお待ちしておりますわ」
職員さんはにこやかに微笑みながら綺麗なお辞儀をしてくれた。
なんかデパートのインフォメーションにいた人も、丁度こんな雰囲気だったよなぁ。きっと彼女もマナー研修とかしてるんだろうね。
なんて事を思いながらブースを後にしました。
「ねぇ、シア?これってどんなもん?宿とか食事とか足りるのかな?」
「わからんのじゃ!そんなモノは使った事がないからのぅ!」
…まじか。てっきり知ってるもんだと思ってあてにしてたけど、あっさり期待を裏切ってくれました。
シアが頼りないのは良くわかったので、自分で調べるしかないですね。
と言うわけでギルドを後にした僕達は、先程の花売りの少女の所へ向かう事にしました。
…あれ?噴水のあたりに人が集まってる。
ちょうどさっき少女と別れたあたりです。何かあったのかな?
0
お気に入りに追加
536
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる