28 / 170
第一章 異世界に来ちゃいました
第27話
しおりを挟む
三度目ってあるんですよ?やっぱり…
「いちいちビクンビクンするのやめなさいよっ!」
「じゃってー!我の身体が勝手にっ!あふっ!」
ネルとシアが楽しそうにやり取りしています。
「だ、れ、がっ!楽しそうなのよっ!あー!もう!離れろーぉ、このアホトカゲっ!」
「それがクルのじゃよぉー!はふぅーん!」
知らない見えない聞こえなーい。
「こぉぅるぁーユーマー!どうにかしなさいよっ!」
「いや、そこはお任せしますので!よろしくっ!」
ネルを抱きしめて離さないシアはほっといて、僕は拠点の小屋を再度設置しようと思います。
太陽は徐々に高度を下げ、谷間の滝壺周辺は既に影の部分が多くなり始める時間になってきました。
今日は朝からシアに出会ったり、オークの襲撃があったり、覚醒したシアに振り回されたり…濃いわぁ
ここに来て結構な疲労感と空腹感を感じています。
そういえばバタバタで昼休憩も取ってなかったもんね。
もう時間も余裕ないし、夕食は昼間に大量取得したオーク肉を焼いて食べようと思います。
まぁある意味弔いメシみたいなもんだね。オーク肉は美味いらしいので楽しみではあります。
もう焼くだけと決めたので、下拵えだけ簡単にしておいて焼肉パーティーって事にすればいいよね。楽だし。主に僕が。
肉は切り方を変えたものを用意します。
ネルや風羽花が食べやすいのは薄切り肉なので、切り分けた肉を例の謎人参を刻んだものと塩で味付けしておきます。
僕はちょっと厚切り。
銀達は分厚く切り分けたのと、塊と、骨付き肉を用意しておきます。彼らは生でも食べるしね。
薄切り肉と違うのは謎人参を摩り下ろして、焼いてから塗るようにする事かな。脂や肉汁が多い分その方がよりサッパリするだろうと思います。
次に鉄板を用意します。
先日作ったものはサイズが小さ過ぎるので、改めて魔力で加工し、少し薄くなりましたがサイズアップさせます。
で、やっぱり金網だよね。
収納に入れてあった鉄の塊を薄く延ばして、さらに細く針金状に切り分けて網状構造に組み上げます。それに魔力を通して一気に交点を融合させれば完成です。網は今のうちに空焼きして、オークの背脂でコートしておきました。
すべての準備を終えた頃にはすっかり日は落ちて、空には残光が浮かぶ程度になっていました。
焼肉パーティなので会場は当然外。暗過ぎるのも嫌なので篝火を数箇所に設置して灯りを確保しました。
簡易のカマドで薪を燃やし炭にしたら鉄板と金網を温めて、さぁ、焼肉を始めよう!
「オーク初めて食べたけど美味いな!」
「あんた昼のあのスプラッタ見てて、よくそんなにガツガツ食べれるわね」
「それとこれとは話が違うからね。全然平気だよ。
そう言ってるわりにネルだって結構ガッツリいってんじゃん」
「私はほら、食の経験が少ないからよ?別に平気なわけじゃないんだからっ!」
『ふうかもオークは初めてなのです!おいしーです!』
「我も焼いて食べる手間をかけたことはなかったからのぅ。生よりも美味いのじゃ。そして調理されるとまたこれほどの美味になるんじゃな!」
『我らもオーク肉はたまのご馳走でござったゆえ、これほど大量に食べたのは初めてでござる』
オーク肉は想像よりも一段も二段も上。薬味の謎人参の働きもあり、飽きる事なくお腹いっぱいになるまで堪能できたので、ほんと良かった。
みんなも初めてだったりして喜んでるから、作る側としては嬉しいよね!頑張った甲斐がある。まぁある意味手抜きな部分もあるけどさ。
好評だった上に、幸いなことに大量にストック出来たし。収納のおかげでしばらくオーク肉は楽しめそうです。いつか、香辛料が手に入ったらもっと違う味も試さなきゃね!
焼き肉パーティーは大成功に終わり、有り難いことに殲滅戦の衝撃を引きずらずに済んだので、いい経験になりました。
みんな満腹で、昼の戦闘や後始末の疲れが出たんだろうね。風羽花はもちろんのこと、銀や配下狼達までもうおやすみモードに入っています。
僕も少し疲れはあるものの、やっぱりあれだけの事があったから、ちょっと面倒だけどお風呂に入ってサッパリしようと思います。それにここの岩風呂も最後だしね。
「うあぁぁぁー…やっぱり気持ちいいなぁ」
声出ちゃいますよねー、絶対。特に肉体的にも精神的にも疲労感があったから余計に。
広い湯船に肩まで浸かって手足をのばすと、疲れがお湯に流れ出て行くような心地良さがたまりません。ネルも浅く作った部分に浸かってご満悦の様子。
「ねぇ、ユーマ。今日は大変だったでしょ?お疲れ様」
「ん、ありがと。ネルも頑張ってくれて助かったよ。こちらこそありがとうだって」
「ううん、違うの。ユーマが元いた世界だとこんな事絶対なかったでしょ?それなのにあんな風に頑張ってくれて…ちょっと申し訳ないなって」
「ネルは優しいね。でも大丈夫!もう覚悟は済ませたし。
それにさぁ、やっぱりみんなを守りたいって気持ちが強いから。もちろんネルを一番に守りたいけど」
「…ばか。急に恥ずかしい事いわないでよねっ。でも嬉しい」
見上げれば満天の星空。ネルとの心の距離がぐっと縮まったような気がして、お風呂の温度以上に気持ちが温かくなりました。
そんな2人の雰囲気に割り込むように、まさかの三つ目の事件が起こったんです。
「いちいちビクンビクンするのやめなさいよっ!」
「じゃってー!我の身体が勝手にっ!あふっ!」
ネルとシアが楽しそうにやり取りしています。
「だ、れ、がっ!楽しそうなのよっ!あー!もう!離れろーぉ、このアホトカゲっ!」
「それがクルのじゃよぉー!はふぅーん!」
知らない見えない聞こえなーい。
「こぉぅるぁーユーマー!どうにかしなさいよっ!」
「いや、そこはお任せしますので!よろしくっ!」
ネルを抱きしめて離さないシアはほっといて、僕は拠点の小屋を再度設置しようと思います。
太陽は徐々に高度を下げ、谷間の滝壺周辺は既に影の部分が多くなり始める時間になってきました。
今日は朝からシアに出会ったり、オークの襲撃があったり、覚醒したシアに振り回されたり…濃いわぁ
ここに来て結構な疲労感と空腹感を感じています。
そういえばバタバタで昼休憩も取ってなかったもんね。
もう時間も余裕ないし、夕食は昼間に大量取得したオーク肉を焼いて食べようと思います。
まぁある意味弔いメシみたいなもんだね。オーク肉は美味いらしいので楽しみではあります。
もう焼くだけと決めたので、下拵えだけ簡単にしておいて焼肉パーティーって事にすればいいよね。楽だし。主に僕が。
肉は切り方を変えたものを用意します。
ネルや風羽花が食べやすいのは薄切り肉なので、切り分けた肉を例の謎人参を刻んだものと塩で味付けしておきます。
僕はちょっと厚切り。
銀達は分厚く切り分けたのと、塊と、骨付き肉を用意しておきます。彼らは生でも食べるしね。
薄切り肉と違うのは謎人参を摩り下ろして、焼いてから塗るようにする事かな。脂や肉汁が多い分その方がよりサッパリするだろうと思います。
次に鉄板を用意します。
先日作ったものはサイズが小さ過ぎるので、改めて魔力で加工し、少し薄くなりましたがサイズアップさせます。
で、やっぱり金網だよね。
収納に入れてあった鉄の塊を薄く延ばして、さらに細く針金状に切り分けて網状構造に組み上げます。それに魔力を通して一気に交点を融合させれば完成です。網は今のうちに空焼きして、オークの背脂でコートしておきました。
すべての準備を終えた頃にはすっかり日は落ちて、空には残光が浮かぶ程度になっていました。
焼肉パーティなので会場は当然外。暗過ぎるのも嫌なので篝火を数箇所に設置して灯りを確保しました。
簡易のカマドで薪を燃やし炭にしたら鉄板と金網を温めて、さぁ、焼肉を始めよう!
「オーク初めて食べたけど美味いな!」
「あんた昼のあのスプラッタ見てて、よくそんなにガツガツ食べれるわね」
「それとこれとは話が違うからね。全然平気だよ。
そう言ってるわりにネルだって結構ガッツリいってんじゃん」
「私はほら、食の経験が少ないからよ?別に平気なわけじゃないんだからっ!」
『ふうかもオークは初めてなのです!おいしーです!』
「我も焼いて食べる手間をかけたことはなかったからのぅ。生よりも美味いのじゃ。そして調理されるとまたこれほどの美味になるんじゃな!」
『我らもオーク肉はたまのご馳走でござったゆえ、これほど大量に食べたのは初めてでござる』
オーク肉は想像よりも一段も二段も上。薬味の謎人参の働きもあり、飽きる事なくお腹いっぱいになるまで堪能できたので、ほんと良かった。
みんなも初めてだったりして喜んでるから、作る側としては嬉しいよね!頑張った甲斐がある。まぁある意味手抜きな部分もあるけどさ。
好評だった上に、幸いなことに大量にストック出来たし。収納のおかげでしばらくオーク肉は楽しめそうです。いつか、香辛料が手に入ったらもっと違う味も試さなきゃね!
焼き肉パーティーは大成功に終わり、有り難いことに殲滅戦の衝撃を引きずらずに済んだので、いい経験になりました。
みんな満腹で、昼の戦闘や後始末の疲れが出たんだろうね。風羽花はもちろんのこと、銀や配下狼達までもうおやすみモードに入っています。
僕も少し疲れはあるものの、やっぱりあれだけの事があったから、ちょっと面倒だけどお風呂に入ってサッパリしようと思います。それにここの岩風呂も最後だしね。
「うあぁぁぁー…やっぱり気持ちいいなぁ」
声出ちゃいますよねー、絶対。特に肉体的にも精神的にも疲労感があったから余計に。
広い湯船に肩まで浸かって手足をのばすと、疲れがお湯に流れ出て行くような心地良さがたまりません。ネルも浅く作った部分に浸かってご満悦の様子。
「ねぇ、ユーマ。今日は大変だったでしょ?お疲れ様」
「ん、ありがと。ネルも頑張ってくれて助かったよ。こちらこそありがとうだって」
「ううん、違うの。ユーマが元いた世界だとこんな事絶対なかったでしょ?それなのにあんな風に頑張ってくれて…ちょっと申し訳ないなって」
「ネルは優しいね。でも大丈夫!もう覚悟は済ませたし。
それにさぁ、やっぱりみんなを守りたいって気持ちが強いから。もちろんネルを一番に守りたいけど」
「…ばか。急に恥ずかしい事いわないでよねっ。でも嬉しい」
見上げれば満天の星空。ネルとの心の距離がぐっと縮まったような気がして、お風呂の温度以上に気持ちが温かくなりました。
そんな2人の雰囲気に割り込むように、まさかの三つ目の事件が起こったんです。
0
お気に入りに追加
535
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる