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第一章 異世界に来ちゃいました

第14話

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 僕です。

 鳥に続いて犬(狼)が増えました。
 きびだんごは持ってません。
 ほんとただの偶然です。
 まさかと思いますが、フラグではないはずです。



 「まさかの展開ね…」

 「うん、ほんとそれな…」

 ネルはリーダー狼の姿に動揺を隠せていないようです。

 「でもまぁいいんじゃない?犬科の動物って忠実で勤勉なんでしょ?きっと何かと役に立ってくれるわよ」

 「…そだねー」

 「あっ!その子にも名前付けてあげなさいよ?」

 すっかり失念してました。
 風羽花の時はコミュニケーションが取れる前に名前を決めてたけど、リーダー狼はもう話が出来る状態なんだよね。
 ひょっとしたら、親から貰った名前とかあるかもしれないし。

 「ねぇ?そういえば、キミに名前ってあるの?」

 『名前?でござるか?よくわからないでござる』

 「仲間同士で個体を識別する時の呼び方って事」

 『おぉ!それでござるか。それがしはこの者共に棟梁と呼ばれてござった』

 …おぉう。それは盲点だった。
 そりゃそうか、群れのリーダーを名前で呼ぶ事はないもんなぁ。

 「じゃあさ、群れでは仲間同士どうやって区別して呼んでたの?」

 『それであれば皆、岩であったり、風であったり我等の知る物と同じく呼んでござった。
 ここにいる者共はそれぞれ「牙」「耳」「爪」でござる』

 「…もしかして、最初に盾になった子って「目」とか?」

 『なんと!なぜご存知でおられる?その通りにござるよ!』

 …うん、まぁ想像通りだからねぇ

 「そっか、でも棟梁だとリーダーって事だから僕達がそう呼ぶのも変なんだよね。
 ちなみに子供の頃とか、棟梁になる前にはどう呼ばれてたの?』

 『それがしは長を継ぐまではたてがみと呼ばれてござったよ』

 「なるほどなぁ…
 うん、決めた!その銀色の鬣にちなんで「銀」にしよう!言葉遣いも和風だしさ」

 『おぉ!?「銀」でござるか!うむ、承知つかまつりました。今この時を以ってそれがしは銀でござる!
 以後身命を尽くして殿を盛り立てて参る所存にござりまする!』

 「よろしくね!銀」



 「それじゃあ、銀!みんなを紹介するよ」

 『お願いするでござる』

 銀の名付けを済ませた僕は、ネルと風羽花を紹介する事にしました。

 「まず最初に、この小さな美人はネル。僕の大切なパートナーの女神様だよ」

 「…どうしたのよユーマ?そんな紹介の仕方するなんて。
 私がネルよ!よろしくね、銀!」

 …どうしたのよって、そんなの決まってる。多分面白いからだよ!絶対に言えないけど。

 『ネル様にござるな!パートナー?はて?
 …おぉ!つがいの事ではござらんか!なんと!これは殿の奥方様でござったか!』

 「…ファッ!?イヤイヤイヤ!お、奥方とか、まだ全然そういうのじゃないのよ?な、なんていうかな…ほら!ユーマもちゃんと伝えなさいよっ!」

 『なんと!まだでござったか…これは大変なご無礼を!では許嫁でございますな?』

 「あはははっ!銀、そんな堅苦しい関係で呼ばなくっていいって!ネルは一生一緒の相棒って感じだから」

 『ほぅ!さすが我が殿でござるな!番になる前から生涯添い遂げる決意をなさるとは』

 「うー…もうそれでいいわよっ!」

 ネルが顔を赤くしながら叫びます。

 うわぁ…すっごいジト目でこっちみてんじゃん。あれはオコ寸前だね…ちょっといじり過ぎたかも。

 「じゃあ次ね。このかわいい鳥が風羽花だよ。風羽花は銀の先輩って感じだね」

 『ふうかでーす、仲良くしてほしいですっ!』

 『風羽花殿とお呼びした方が良いでござるな。これはまた、かくもうら若き娘御の身で我が殿を支えておられるとは、まことに立派でござるな!』

 『ふうかはねぇ、主人様大好きだから頑張るのです!』

 「銀、風羽花と一緒に僕達を助けてね!」

 『承知したでござるよ』

 『ふうかもー!』

 銀は風羽花をちゃんと立ててくれるみたいで良かった。2人とも仲良くやってくれそうだし。

 たださっきから、ネルのジト目が凄く気になっています。

 「ちょっと、ユーマいいかしら?顔貸しなさいよ」

 …わーい。呼び出しされたー

 「風羽花と銀はちょっと2人で話してて?ネルと話してくるからさ」

 『はーい』『承知!』


 …ねぇ?オコなの?もしかして。

 「ユーマ!いい?勘違いしないでよねっ!私は女神!アンタとは身分が違うのよ?
 ちょっと銀に奥方とか許嫁とか言われたからって、調子に乗ったりしたら許さないんだからっ!」

 「…え?」

 「え?じゃないわよっ!私はそんな気無いんだからっ!私と…け、結婚とかアンタじゃ100万年早いの!覚えておきなさい!
 私が欲しいんだったら必死で魂磨くのねっ!そしたら考えてあげなくもないから…」

 …オコじゃなくて、ただのツンでした。

 「あ、全然考えてないです。ごめんなさい」

 「…は!?なんで私が告ったみたいになってんのよっ!?しかも断るなー!」

 「え?断ったらダメだった?」

 「ダメに決まってんでしょうがっ!
 ってイヤイヤイヤ、そういうのじゃなくって!…あーうー…もう知らないっ!
 アンタなんかゴブリンの腰布の匂い嗅いで死んじゃえばいいんだからっ!」

 「うわぁ…それは嫌だなぁ。
 って冗談だからね?もしネルに告白されたら嬉しくて昇天しちゃうって。そんな日がいつか来るように頑張るよ」

 「…アンタねぇ、ほんと頑張りなさいよねっ…ふん」

 ネルがツンデレかわいいです。
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