転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

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第一章 異世界に来ちゃいました

第11話

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 日が暮れる前に拠点を準備しないとね!

 ネル達と一旦合流した後、改めて風羽花に先行偵察兼道案内をして貰いながら、さっき2人が見つけてくれた所までやってきました。

 「うん、いい感じのところだね!さすがネル!風羽花もありがとう!」

 「ふふっ 当然じゃない!私達に任せなさい!」

 『ですです!ネルお姉さんの判断に間違いはないのです!』

 それじゃあ早速拠点設営しちゃいますか!
 てれれれってれー!小屋ー!

 …はい。すいません。調子に乗りました。

 で、昨日作った小屋も傷一つなく収納されてるし、驚いた事には食器や、寝具、あまつさえゴミも少しだけ、今朝収納した時のままの状態だったんだよね。

 「ネル、質問いいかな?」

 「いいけど、なぁにユーマ?」

 「収納魔法って、しまった物の時間ってどうなるの?」

 「基本的に外と変わらないわよ?でっかい鞄と同じ様なものなんだから」

 「そっかぁ…やっぱりそうだよね」

 「何よ?なんか思いついた?もしかして食料保管しとこうとか?ダメよ?時間経てば劣化しちゃうから」

 「いや僕の収納、時間止まってるっぽい」

 「…え?は?今なんて?時間止まってるとか聞こえたんだけど…」

 「止まってるっぽい」

 ネルに小屋の状態を説明してみると、彼女の時間も止まったっぽい。

 「おーい…ネールー…ネルさんやーい」

 「…はっ!?私ね今夢を見ていたの。夢なんて見たの初めてだわ…
 ありえない事をみるもんなのね。あーびっくりした…」

 「おーい…帰ってこーい」

 …神様も現実逃避ってするんだねー

 ネルが帰ってくるのにはしばらくかかりました。

 「はぁ…アンタなんなのよ、いったい。もしかして私に対する嫌がらせかなんかなの?」

 「いや、それ意味わかんないから」

 「だって仕方ないじゃない!なんでことごとく常識の枠を飛び越えてくるのよっ!」

 その気持ちはわからなくもないんだけどさぁ、できちゃったもんは仕方ないと思うし、収納に至っては僕だってさっき知ったんだけど…

 「もう受け入れた方が楽な気もするのよ?
 でも、私にだって管理者の意地があるの!だから私は諦めないわ!ユーマが常識を身に付けるその日まで!」

 「…管理者の意地ってそこ?」

 ネルの決意が重いです。



 そんなやりとりもありながら無事に拠点設営は終了しました。
 今は夕食の準備中です。

 『ただいまですー!』

 ちょうどいいタイミングで風羽花が夕食材料の魚を集めてきました。何が凄いかって、ちょっと教えただけで網を使った輸送を覚えたんだよね。ちなみに網は木の皮で作れちゃいました。
 風羽花が言うには『運ぶのが楽になったから嬉しい』そうなので、他にも教えたら色々出来そうな気がします。

 今夜の夕食は焼き魚と芋とキノコのスープです。

 実は、食材探しに川縁の林に入ってキノコや野草を探して居る時に、例の魔力眼(ネル命名)が今までと違う反応をする様になりました。

 今まではなんとなく「そんな感じが浮かぶ」だけだったんだけど、どうやら進化したのか「適食部位は赤、危険部位は青、不適食部位は灰色」に見える様になったんだよね。
 ちょうど果実は赤だけど葉は青、他は灰色の木が見つかったんだけど、葉からは毒っぽい感じが浮かぶし、実からは食べられるって感じがするって事で、より精度が上がったのが確認できました。

 で、より便利になった魔力眼にウキウキしながら探索してたら、葉や茎の部分は灰色なのに見えてないはずの地面の下から赤い光が上がってる草を発見しまして、掘り起こすとサツマイモみたいな根が赤く染まってたんだ。

 てなわけで、スープの中には舞茸みたいなキノコと賽の目に切ったサツマイモみたいな芋がたっぷりと入りました。

 ちなみに昨日とは比較出来ないくらいに充実した夕食の後には、デザートにさっき見つけた果実を食べたんだけど、甘くも酸っぱくもなく、単に食べられるだけだったというオチがつきました。魔力眼、ぜひ味の評価もお願いします…

 そして夕食タイムを終え3人で雑談しながらまったりしてた時、事件は起こったんだ。

 『主人様!外に何かいるですっ!』

 風羽花が突然叫ぶと、天窓部分から器用に外へと飛び出して行きました。

 『犬か狼っぽい獣が小屋の周りにたくさんいるですよー!』

 恐らく匂いを辿って、森の獣か何かが集まって来たみたいです。

 「どうやら狙われてるようね。どうする?ユーマ」

 「うーん別にほっといてもいいけど、小屋壊されたら嫌だよね…威嚇したら居なくならないかな?」

 「それはやってみないとわからないわね」

 「そうだよなぁ…けど、このまま居座られたらお風呂入れなくなっちゃうしなぁ」

 「殲滅よ!ユーマ、やっておしまい!」

 お風呂と聞いてネルが物騒になりました。

 「まぁ、お風呂ないのは僕も嫌だし、サクッと散らすしかないかな。
 とりあえず逃げるやつは追わない方針で行くよ」

 「却下ね!お風呂を邪魔されたら最低だもの、殲滅あるのみよっ!」

 ネルに却下されました。女神様は好戦的です。

 「…へいへい。行ってきまー」

 「もっと気合入れてやれやー!」

 …どこの鬼軍曹ですか?

 「風羽花、状況報告お願い」

 『はいはーい!いっぱいいるでーす!狼っぽいです!1匹だけちょっとおっきいのがいるですよー!』

 それが群れのリーダーなのかな?
 じゃあまず頭から潰しときますか!
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