転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です

こうたろう

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第一章 異世界に来ちゃいました

第10話

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 僕です。
 またやっちまったみたいです。

 『主人あるじ様!この先問題ないでーす!ばんばん進んじゃって下さーい!』

 …風羽花です。

 はい。ごめんなさい。

 やらかしました。犯人は安定の僕です。

 ゴブリン集団を危なげなく殲滅した僕達は、改めて風羽花に先行偵察をお願いして、再び街を目指して沢下りを再開しました。

 「いやほんとふーちゃんは頼りになるわね!
 ユーマの無理魔法でテイムしたのがふーちゃんでほんと良かったわ」

 「なんだよ無理魔法って。そんなジャンルの魔法があるの?」

 「は?あるわけないでしょ!
 アンタがやってる事が非常識極まりないルール無視の無理矢理なんだから!無理魔法としか呼びようがないだけよっ!」

 「…ヒドイ言われようだ」

 僕の肩で揺られながらネルが精神攻撃をしてきます。地味に凹むから辞めて下さい。

 「何よ!精神攻撃って!元を辿ればアンタが悪いんじゃない!私が酷いみたいた言い方しないでよね」

 …そうだ、考えが読めるんだった。

 「私だって好きで読んでるわけじゃないんだからっ!
 こうでもしないと、何考えてるかわかったもんじゃないのがいけないんだからね?猛省を要求するわ」

 「…へいへい。反省いたしますよっと」

 「全然してないじゃない…」

 そんな事言われましてもねぇ…

 「それにしても、街までまだまだかかりそうね?念の為もう一回見に行ってこようか?」

 「あーそうだね…少し日も傾き始めてるし、ネルが良ければ風羽花と先行して小屋出せそうな場所探してくれたら助かる」

 「いいわよ!ずっとこうしてるより、ふーちゃんと飛ぶ方がたのしそうだし。ついでに見て来てあげるわ!」

 …絶対そっちメインじゃん。

 「おーい風羽花!戻っておいでー!」

 呼びかけると、すぐに飛んでくる風羽花。よくわかるよなぁ…

 「あのさ、またネルと一緒に先行して今夜の休憩場所になりそうな所を探してきて欲しいんだけど、いいかな?」

 風羽花は大きく頷いて、頬擦りしてからふわっと飛び立つ。僕の肩からネルを摘み上げると大きく飛び上がっていく。

 「それじゃ行ってくるわねー!ふーちゃん行けー!」

 ネルの声を聴きながら、思わずため息がでました。

 「はぁ…やっといなくなった」

 ずっと考えを読まれてるって凄く疲れるんだよね。常に気を張ってなきゃいけないし、ネルもすぐ怒るし。
 やっと気が抜けるよ。

 それにしても風羽花はほんとに優秀だよね!しかも健気でかわいいし。ネルも言ってたけどテイムしたのが風羽花でほんと良かった。
 ただやっぱり残念なのは、意思の疎通が一方通行な事かな。
 せめてネルがするみたいに考えてることが読めたりすれば、もっと活躍して貰えると思うんだけど…

 …ん?そういえば、ネルは風羽花と意思疎通出来るっぽいんだよなぁ。
 前に街を見つけた時も、風羽花がメスだって知ってたし。
 ひょっとしたら賢い風羽花の事だから、言語的な知能があるのかもしれないよな。
 こっちの言う事は間違いなく理解してるから、後は風羽花自身の身体の仕組み的に発声が出来ないだけなのかも。

 …試してみてもいいかもしれない。

 僕は魔力を集めると、意思疎通が出来る関係になるって意思を込めて塊を作り上げる。
 風羽花の気配を探りながら、その塊を放つ。

 …おっ!魔力ベースで風羽花を探せるみたいだ。

 そのまま塊を進めると…よし!捕まえた。今確かに風羽花と繋がったって感じがしたから成功じゃね?

 「風羽花!僕だよ!わかる?」

 『えっ?主人様?主人様なの?』

 「そだよー!」

 『うっそ!なんでなんでなんで?
 主人様ふうかとお話出来るようになったですか?
 えー!嬉しい嬉しい嬉しい!」

 「僕も嬉しいよ!風羽花とお話したかったからさ!頑張ってみた!」

 『やったぁ!主人様すごーい!ふうかめっちゃ嬉しいです!』

 「そっちはどう?良さそうな場所見つかった?」

 『うん!あったー!お魚も近くにいるからご飯も大丈夫っぽいです!』

 「ありがと!じゃあ一回戻っておいで!」

 『はーい!ネルお姉さんと帰りまーす』

 …出来たね。やってみるもんだ。

 どうも一抹の不安が拭えないのは、多分ネルに怒られるって確信してるからだろうなぁ…はぁ。

 「ユーマー!たっだいまー!」

 今度は待ち構えてネルをキャッチしました。

 「やれば出来んじゃない。避けたらどうしてやろうかって思ってたから命拾いしたわね?」

 …まじかっ!怖ぇぇ。

 「あ、まだ拾ってないかもよ?
 アンタまた何かしたでしょ?さっきふーちゃんにアンタの魔力がぶつかったの気付いてるんだから。
 ふーちゃんも急に機嫌良くなるし、アンタが呼んでるから戻ろって言うし」

 ….おっ!どうやら何したかまではバレてなかったみたいだ。
 これで風羽花と話せる様になったなんて知られたら、想像するだけで膝が笑うわ。

 「へぇ…ふーちゃんと話せる様になったの。良かったわねぇ。
 それにしてもアンタ何回やれば覚えるの?」

 …し、しまったー!やっちまった…

 「慣れなさいよいい加減…
 まぁいいわ。ちょっと相変わらずめちゃくちゃな方法みたいだけど、結果はテイマーと使役獣が意思疎通出来るのと大差はないから」

 「え?そうなんだ?良かったぁ…また非常識って罵倒されるのかと思ってたから」

 「は?非常識に決まってんでしょうがっ!テイマーだって会話するほどの意思疎通なんて出来ないわよっ!単語で多少わかるだけなの普通はっ!
 でもまぁ、ふーちゃんと会話出来るのは、私達にとってもプラスにしかならないし。
 それにふーちゃんが嬉しそうだから。
 今回はそこに免じて不問にしてあげるわよ」

 …良かった、のか、な?

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