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第一章 異世界に来ちゃいました
第3話
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ネルは少しだけ憂いを帯びた声で話してくれました。
「ユーマが来てくれたから、これから回復に向かうはずなんだけど、このガイアスは徐々に衰退していってたの。
その原因がリソースってモノ。
どんな世界でも、その世界自体の存在を維持する為にこのリソースを消費してるのね。それでも、色々な活動の結果として新しくリソースは生成されるから、世界は維持される仕組みになってる。
でもガイアスはリソースの消費量が徐々に増えて行ってるの。
なんでかっていうと、制約が少な過ぎたから。
私は、私の管理してるこの世界を豊かにしたくて出来るだけ全ての現象に制限をかけたくなかった。
だから世界は発展したわ。
でもユーマのいた世界と違って、色々な種族や生物、魔法まであるこのガイアスは、タスクが多い分リソースの消費量が増え過ぎた。
でも、すごく良い世界だって偉い神様も認めてくれて、なんとかテコ入れしようって決めてくれたの。
元々決まってるルールは変えられないから、その隙間を縫ってリソースを補充することで滅びを遅らせて、その間に収支のバランスを取れる様に発展の方向を調整しなさいって。
私はこの世界が大好き!だからこそ滅びの流れを変えたい。
ユーマがガイアスに飽きて、生きるのをやめたら十分なリソースが補充されないんだ。
だから、ユーマには楽しみながらこの世界で寿命が尽きるまで生きてもらいたいのよ。
私も精一杯協力するから!」
ネルはさっきよりも明るい表情で僕を見つめてる。
「なっがいセリフだなぁ…」
「はぁっ?ちょっと!人がせっかくいい事言ってんのに、なんて反応するのよー!」
…照れ隠しだよ。言わすな。
「冗談だって!僕もせっかく来たんだし、ネルが協力してくれるんでしょ?
何歳が寿命なのかわからないけど、目一杯楽しんで生きてやる」
「…ありがとう」
こうしてガイアスで、第二の人生を送ることを決めた僕だった
…だったよ。
…ねえ?やっぱなかった事にしてもいい?
「ダメに決まってるでしょ!何情け無い事言ってんのよー!」
「だったらこの状態をなんとかしてくれ!」
「むーりーでーすー!なんの力も無いって説明したわよねー?ユーマが頑張るしかないんだから!」
そう、僕達は現在全力疾走しています。
なんでかって?
それはね、追われてるから…でっかいイモムシに。
イモムシの癖に速いんだなこれがまた。
きっかけは、ネルだ。
「ねぇユーマ?私地上に降りたの初めてなのよ」
「それがどうかした?」
「うん、知らなかったんだー!お腹空くの…」
「そっかー!いい勉強になったねー!」
ネルはどうやら、地上に降りて神力を封じられたことで 女神様じゃなく、ただのちっちゃい人になったらしい。
「もうむーりー!お腹空き過ぎて歩けなーい!ねーねー!ごーはーんー!」
….歩けないって、アンタ最初からずっと僕の肩の上に座ってるだけじゃん。
「僕だって結構空腹なんだって。そもそもこんな何も無い森の中に転移させたの誰だっけ?」
「うっ!…そ、それはまぁ私だけどさぁ。だって仕方ないじゃない!転移してくるところなんて誰にも見せられないしさ」
「それならそれで、前もって森を抜けるルートとかさ、せめて街のある方角とかしらべておく事位出来たんじゃ…」
「忘れてない?私、女神様よ?なんでそんな雑用みたいなことしなくちゃいけないわけ?」
「もうその女神様だって事自体が、信用出来ない様な気がしてきてるって事は内緒ね」
「うんわかってる…っていうわけないでしょ!どういう意味よー!」
てな具合に、空腹によるイライラを誤魔化しつつ、スタートの森をあてもなく彷徨ってたんだ。
「ねぇユーマ?私そろそろ声出す元気もなくなってきたわ…」
「僕だって、ネルと違って歩いてる分、限界が近いから…」
「あっ!見てユーマ!アレって果物なんじゃない?」
そう言うネルの指し示す先には、よくわからないけど、パッと見た感じ林檎のような雰囲気の赤い何かがいくつか揺れてた。
「そうかもしれないけど…」
「間違いないわ!私の勘がアレは果物だって言ってるもの!さぁ早く取りなさい!」
とはいえ、僕の勘は違うと囁いてる。だって微妙にゆさゆさ揺れてるから…
「もぅ!じれったいわね!」
そう言うと、ネルは僕の肩からふわりと飛び降りて駆け寄って行く。
…あ、白だ。
そんな事を思いながら、ネルの向かう方へと足を運びかけた瞬間
「ぎにゃー!!!」
ちょっと女性としてはどうなんだろうかと思う様な叫び声が聞こえ、それと同時に、やはり女性としてどうかと思う様な顔をしたネルがこちらに向かってダッシュして来ました。
「ユーマ!逃げて!アレは無理!絶対ダメなやつ!」
咄嗟に僕はネルを拾い上げて、彼女が来た方向に目をやると
「うわっ!なんだアレ!気色悪っ!」
そこには紫色と緑色のまだら模様のイモムシがコッチに向かって進んでるのが見えたんです。
しかも推定1メートル位のが3匹…
「シギャー!!」
なんだか嗤った様な気がする…
「ユーマが来てくれたから、これから回復に向かうはずなんだけど、このガイアスは徐々に衰退していってたの。
その原因がリソースってモノ。
どんな世界でも、その世界自体の存在を維持する為にこのリソースを消費してるのね。それでも、色々な活動の結果として新しくリソースは生成されるから、世界は維持される仕組みになってる。
でもガイアスはリソースの消費量が徐々に増えて行ってるの。
なんでかっていうと、制約が少な過ぎたから。
私は、私の管理してるこの世界を豊かにしたくて出来るだけ全ての現象に制限をかけたくなかった。
だから世界は発展したわ。
でもユーマのいた世界と違って、色々な種族や生物、魔法まであるこのガイアスは、タスクが多い分リソースの消費量が増え過ぎた。
でも、すごく良い世界だって偉い神様も認めてくれて、なんとかテコ入れしようって決めてくれたの。
元々決まってるルールは変えられないから、その隙間を縫ってリソースを補充することで滅びを遅らせて、その間に収支のバランスを取れる様に発展の方向を調整しなさいって。
私はこの世界が大好き!だからこそ滅びの流れを変えたい。
ユーマがガイアスに飽きて、生きるのをやめたら十分なリソースが補充されないんだ。
だから、ユーマには楽しみながらこの世界で寿命が尽きるまで生きてもらいたいのよ。
私も精一杯協力するから!」
ネルはさっきよりも明るい表情で僕を見つめてる。
「なっがいセリフだなぁ…」
「はぁっ?ちょっと!人がせっかくいい事言ってんのに、なんて反応するのよー!」
…照れ隠しだよ。言わすな。
「冗談だって!僕もせっかく来たんだし、ネルが協力してくれるんでしょ?
何歳が寿命なのかわからないけど、目一杯楽しんで生きてやる」
「…ありがとう」
こうしてガイアスで、第二の人生を送ることを決めた僕だった
…だったよ。
…ねえ?やっぱなかった事にしてもいい?
「ダメに決まってるでしょ!何情け無い事言ってんのよー!」
「だったらこの状態をなんとかしてくれ!」
「むーりーでーすー!なんの力も無いって説明したわよねー?ユーマが頑張るしかないんだから!」
そう、僕達は現在全力疾走しています。
なんでかって?
それはね、追われてるから…でっかいイモムシに。
イモムシの癖に速いんだなこれがまた。
きっかけは、ネルだ。
「ねぇユーマ?私地上に降りたの初めてなのよ」
「それがどうかした?」
「うん、知らなかったんだー!お腹空くの…」
「そっかー!いい勉強になったねー!」
ネルはどうやら、地上に降りて神力を封じられたことで 女神様じゃなく、ただのちっちゃい人になったらしい。
「もうむーりー!お腹空き過ぎて歩けなーい!ねーねー!ごーはーんー!」
….歩けないって、アンタ最初からずっと僕の肩の上に座ってるだけじゃん。
「僕だって結構空腹なんだって。そもそもこんな何も無い森の中に転移させたの誰だっけ?」
「うっ!…そ、それはまぁ私だけどさぁ。だって仕方ないじゃない!転移してくるところなんて誰にも見せられないしさ」
「それならそれで、前もって森を抜けるルートとかさ、せめて街のある方角とかしらべておく事位出来たんじゃ…」
「忘れてない?私、女神様よ?なんでそんな雑用みたいなことしなくちゃいけないわけ?」
「もうその女神様だって事自体が、信用出来ない様な気がしてきてるって事は内緒ね」
「うんわかってる…っていうわけないでしょ!どういう意味よー!」
てな具合に、空腹によるイライラを誤魔化しつつ、スタートの森をあてもなく彷徨ってたんだ。
「ねぇユーマ?私そろそろ声出す元気もなくなってきたわ…」
「僕だって、ネルと違って歩いてる分、限界が近いから…」
「あっ!見てユーマ!アレって果物なんじゃない?」
そう言うネルの指し示す先には、よくわからないけど、パッと見た感じ林檎のような雰囲気の赤い何かがいくつか揺れてた。
「そうかもしれないけど…」
「間違いないわ!私の勘がアレは果物だって言ってるもの!さぁ早く取りなさい!」
とはいえ、僕の勘は違うと囁いてる。だって微妙にゆさゆさ揺れてるから…
「もぅ!じれったいわね!」
そう言うと、ネルは僕の肩からふわりと飛び降りて駆け寄って行く。
…あ、白だ。
そんな事を思いながら、ネルの向かう方へと足を運びかけた瞬間
「ぎにゃー!!!」
ちょっと女性としてはどうなんだろうかと思う様な叫び声が聞こえ、それと同時に、やはり女性としてどうかと思う様な顔をしたネルがこちらに向かってダッシュして来ました。
「ユーマ!逃げて!アレは無理!絶対ダメなやつ!」
咄嗟に僕はネルを拾い上げて、彼女が来た方向に目をやると
「うわっ!なんだアレ!気色悪っ!」
そこには紫色と緑色のまだら模様のイモムシがコッチに向かって進んでるのが見えたんです。
しかも推定1メートル位のが3匹…
「シギャー!!」
なんだか嗤った様な気がする…
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