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5.安楽樹は渋々推理する
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「なるほどな――。では、あの時の解決劇は、俺が盗聴器で内容を聞いていることを前提に行われたものだったんだな。だったら嵐が止むと同時に、島に君達を置いてきたほうが良かったのかもしれない。そうすれば、いずれ食糧が尽き、早かれ遅かれ、君達は全滅していただろうに」
管理人がぽつりと漏らした言葉は、実に恐ろしいものだった。それをおそらく予期していたであろう安楽と榎本を除いて、全員が表情をこわばらせていた。
「だから、あの解決編を用意させてもらったんだ。無事に島から脱出するためには、あなた以外が犯人の解決編を用意し、一度は事件を解決する必要があった。そうしないと、あなたが迎えに来ないかもしれない。そう考えたからこそ、口裏を合わせて、可能な限り整合性があるような筋書きを考えたのさ」
榎本が安楽の言葉に頷く。安楽と榎本の狙いは、事件を一度解決させて、無事に本土に戻ることだった。あれも、安楽と榎本が意図的に用意したミスリードだったのである。あれを聞いて、自分が犯人だと疑われてはいないと確信したからこそ、管理人は蘭達をを迎えに来てくれたのだ。もしそうでなかったら――そこまで考えて、ふと疑問が浮かぶ。
「待って。そうやって迎えに来るように促したってことはさ、私達を島に送った後、ずっと迎えに来ないってこともできたってことだよね? それのほうがよっぽど効率いいと思わない? わざわざ島に上陸して手を下すなんてことなんてせずとも、放っておけば確実に私達を全員殺すことができたんだから――」
ここは海外。しかも、島の持ち主は管理人自身。言い方は悪いかもしれないが、あの島では管理人こそが法だった。もし、島にいる時に管理人が犯人だと暴いてしまったとしたら、下手をすると迎えに来てもらえなかったかもしれない。逆説的に彼が迎えにさえ来なければ、全員死んでいた。ゾッとする話だが、そうすれば、管理人は自分の手を全く汚すことなく、大量殺人が可能だったのではないだろうか。
「その辺りのことは、残念ながら俺にも分からない。そこから先のことを話してくれるかどうかは――管理人さん次第だよ」
安楽はそう言うと、改めてコーヒーを持ってきてくれた店員に礼を言い、ユーロ札を手渡した。慣れていないだろうに、チップのつもりなのだろう。管理人はそれを黙って眺めるだけだった。それを見た安楽がさらに口を開く。
「管理人さんがここまでの話を認めようが認めまいが、俺はこのことを警察に話そうと思う。その後の判断は警察に任せるつもりです」
管理人がぽつりと漏らした言葉は、実に恐ろしいものだった。それをおそらく予期していたであろう安楽と榎本を除いて、全員が表情をこわばらせていた。
「だから、あの解決編を用意させてもらったんだ。無事に島から脱出するためには、あなた以外が犯人の解決編を用意し、一度は事件を解決する必要があった。そうしないと、あなたが迎えに来ないかもしれない。そう考えたからこそ、口裏を合わせて、可能な限り整合性があるような筋書きを考えたのさ」
榎本が安楽の言葉に頷く。安楽と榎本の狙いは、事件を一度解決させて、無事に本土に戻ることだった。あれも、安楽と榎本が意図的に用意したミスリードだったのである。あれを聞いて、自分が犯人だと疑われてはいないと確信したからこそ、管理人は蘭達をを迎えに来てくれたのだ。もしそうでなかったら――そこまで考えて、ふと疑問が浮かぶ。
「待って。そうやって迎えに来るように促したってことはさ、私達を島に送った後、ずっと迎えに来ないってこともできたってことだよね? それのほうがよっぽど効率いいと思わない? わざわざ島に上陸して手を下すなんてことなんてせずとも、放っておけば確実に私達を全員殺すことができたんだから――」
ここは海外。しかも、島の持ち主は管理人自身。言い方は悪いかもしれないが、あの島では管理人こそが法だった。もし、島にいる時に管理人が犯人だと暴いてしまったとしたら、下手をすると迎えに来てもらえなかったかもしれない。逆説的に彼が迎えにさえ来なければ、全員死んでいた。ゾッとする話だが、そうすれば、管理人は自分の手を全く汚すことなく、大量殺人が可能だったのではないだろうか。
「その辺りのことは、残念ながら俺にも分からない。そこから先のことを話してくれるかどうかは――管理人さん次第だよ」
安楽はそう言うと、改めてコーヒーを持ってきてくれた店員に礼を言い、ユーロ札を手渡した。慣れていないだろうに、チップのつもりなのだろう。管理人はそれを黙って眺めるだけだった。それを見た安楽がさらに口を開く。
「管理人さんがここまでの話を認めようが認めまいが、俺はこのことを警察に話そうと思う。その後の判断は警察に任せるつもりです」
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