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4.この際、探偵は誰でもいい
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「いや、それだけじゃ密室にはならないんじゃないか? 犯人は密室を作り上げた後、どうやって鍵のかかった部屋から外に出たんだ?」
榎本が提示したのは、あくまでも密室となり得た部屋に入る方法であり、その先――すなわち、密室からどのように出たのかまでは説明されていない。そこに菱田がすかさず突っ込んだ。すると、榎本は小さく鼻で笑う。別に他人を馬鹿にするようなものではなく、彼の癖のように見えた。それでも、中には自分を嘲っていると思う人がいるだろうから控えたほうがいいだろう。
「――その考え自体、少し方向性が違うんだよ。犯人は、密室となった部屋から出ていないんだ」
榎本の推測は、まだ全貌が見えてはこない。しかしながら、蘭の中でずっと引っかかっていた事象を、どうやら解決してくれるらしい。その引っかかっていたこととは、亜純の殺害現場にだけ見ることができた残虐性である。麗里は胸をナタでひと突き、細川は鈍器で頭を殴られる形で殺害された。それならばなぜ、亜純だけバラバラ死体にされねばならなかったのか。蘭の心情を読み取ったかのごとく榎本が続ける。
「もっと端的に言ってしまえば、僕が窓から部屋に入って、みんなで遺体を発見した時――あの時、まだ犯人は部屋の中にいたのさ。しかも大胆に堂々とね。加能さんの遺体だけバラバラになっていた理由も、おそらく部屋に犯人が潜伏したままであることを悟られないようにするためだ。あれだけ遺体がバラバラにされ、部屋中いたるところにばら撒かれた。当たり前だけど、人がバラバラにされてしまった現場を喜んで見たがる人間はいないだろう。それすなわち、じっくりと部屋を調べようとする人間もいないということだ。つまり、犯人はあえて加能さんの遺体をバラバラにすることで、部屋に潜伏している自分への注意を逸らそうとしたんだ。まさか、あんな血にまみれた部屋に、生きている人間が潜伏しているなんて思わないからね」
最後の悪あがきと言わんばかりに、弱々しい雷鳴が響いた。その距離は大分遠くなっており、嵐の集結を示していた。
「さて、とりあえず第二の事件までの僕の見解だ。ここまでで質問は?」
まだ腑に落ちない点は多くある。確かに、密室のトリックに関しては、榎本の言う通りにすれば可能だろう。しかし、まだ肝心の第一の事件が解決していない。仕掛けが施されていたわけではないと分かっただけで、根本的な解決にもなっていないだろう。それに、第二の事件についても矛盾が生じてくる。
「ひとつだけ――」
遠慮がちに手を挙げたは安楽だった。榎本と目を合わせると、小さく頷いてから発言する。
榎本が提示したのは、あくまでも密室となり得た部屋に入る方法であり、その先――すなわち、密室からどのように出たのかまでは説明されていない。そこに菱田がすかさず突っ込んだ。すると、榎本は小さく鼻で笑う。別に他人を馬鹿にするようなものではなく、彼の癖のように見えた。それでも、中には自分を嘲っていると思う人がいるだろうから控えたほうがいいだろう。
「――その考え自体、少し方向性が違うんだよ。犯人は、密室となった部屋から出ていないんだ」
榎本の推測は、まだ全貌が見えてはこない。しかしながら、蘭の中でずっと引っかかっていた事象を、どうやら解決してくれるらしい。その引っかかっていたこととは、亜純の殺害現場にだけ見ることができた残虐性である。麗里は胸をナタでひと突き、細川は鈍器で頭を殴られる形で殺害された。それならばなぜ、亜純だけバラバラ死体にされねばならなかったのか。蘭の心情を読み取ったかのごとく榎本が続ける。
「もっと端的に言ってしまえば、僕が窓から部屋に入って、みんなで遺体を発見した時――あの時、まだ犯人は部屋の中にいたのさ。しかも大胆に堂々とね。加能さんの遺体だけバラバラになっていた理由も、おそらく部屋に犯人が潜伏したままであることを悟られないようにするためだ。あれだけ遺体がバラバラにされ、部屋中いたるところにばら撒かれた。当たり前だけど、人がバラバラにされてしまった現場を喜んで見たがる人間はいないだろう。それすなわち、じっくりと部屋を調べようとする人間もいないということだ。つまり、犯人はあえて加能さんの遺体をバラバラにすることで、部屋に潜伏している自分への注意を逸らそうとしたんだ。まさか、あんな血にまみれた部屋に、生きている人間が潜伏しているなんて思わないからね」
最後の悪あがきと言わんばかりに、弱々しい雷鳴が響いた。その距離は大分遠くなっており、嵐の集結を示していた。
「さて、とりあえず第二の事件までの僕の見解だ。ここまでで質問は?」
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「ひとつだけ――」
遠慮がちに手を挙げたは安楽だった。榎本と目を合わせると、小さく頷いてから発言する。
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