探偵残念 ―安楽樹は渋々推理する―

鬼霧宗作

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3.深まる謎と疑惑

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  トイレと風呂を調べ終えたであろう菱田が合流。互いに言葉は発せずに、緩く首を振った。すなわち、この部屋に細川はいないということか。

「あいつ、どこに行ったんだ?」

 細川の部屋はもぬけの殻というやつだった。まだ広げられていない旅行カバンだけが、むなしくベッドの上におかれたまま。持ち主だけが忽然と姿を消してしまった。

「なんにせよ、この状況で単独行動はよくない。手分けをして探そう」

 榎本と菱田が簡単に打ち合わせをする。とりあえず細川の部屋以外を調べる段取りらしい。ここの個室は、中のツマミをひねることでしか施錠することができない。よって、他の人間の部屋については普通に鍵が開いているわけだ。まずはそこから調べて回るのだ。現状において、細川の居場所としては充分に考えられる。

「御幸さん達は女性陣の部屋を調べて欲しい。まぁ、あの例の部屋は調べなくとも良さそうだがね。調べるとしても最後に回してもいいだろう」

 蘭と英梨に榎本から指示が飛ぶ。調べる必要がない部屋というのは、きっと亜純の部屋のことを指しているのだろう。あんなグロテスクな部屋、好んで細川が向かうとは思えない。

「先に部屋を調べ終えたほうが、食堂に応援を呼びに行こう。各個人の部屋に細川がいなかった場合、最悪外に出た可能性も出てくるからね」

 外は風が吹き荒ぶ嵐である.雨も酷いが、しかし出ようと思えば外に出られなくもないだろう。細川が外に出た可能性は限りなく低いが、しかしゼロではないだろう。

「それじゃあ、そっちは任せたよ」

 打ち合わせとも呼べぬ、実に簡単な段取りだけを決めると、榎本達と別れた。螺旋階段をおりると、英梨と順番に部屋を確認していく。一応、扉をノックしてみて、返事がなければ扉を開けて人が隠れられそうな場所をひと通り探す。もちろん、部屋には誰もいないから鍵もかかっていない。細川の姿も見当たらなかった。

 亜純の部屋を飛ばして全てを調べ終えると、その足でエントランスに向かう。食堂の扉を開けると、食事を終えた様子の安楽がコーヒーを飲み終えたところだった。

「……どうした? まさか、またなにかあったか?」

 蘭と英梨の様子に、コーヒカップを手にしたまま動きを止める安楽。こういう時の嫌な予感は、誰よりも強く感じたりするのだろう。
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