探偵残念 ―安楽樹は渋々推理する―

鬼霧宗作

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3.深まる謎と疑惑

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「なんであの子があんな目に遭わなきゃいけなかったのかな――」

 ややうつむきながら英梨がぽつりと呟いた。安楽は宙に視線をやると「それもそうなんだよなぁ」と漏らし、さらに続けた。

「殺害された神楽坂さんと加能さんは別々の大学だった。ちなみになんだが、これまでお互いのミス研同士にどれくらいの交流があったんだ?」

 安楽が気にしたのは動機の件だろう。蘭は自然と英梨のほうに視線をやる。なぜなら少なくとも蘭は、今日を迎えるまで、あちらのミス研の人達とは面識がなかったからだ。もしあらかじめ交流があるとしたら、歳上の英梨や菱田くらいしかいないだろう。

「――元々、ネットのSNS繋がりってだけなんだよね。相互してるだけみたいな」

「それで、そんな稀薄な関係だった両ミス研が、なぜ一緒にこんなところで合宿を?」

 間髪入れずに問う安楽。彼は完全に部外者であるから、当然ながらここまでにいたる事情を知らない。もっとも、蘭とて同じだったりする。ただ、菱田からそのような話をもらって、二つ返事でオーケーしたのだった。まさか、準備に色々と手間取るとは思ってもみなかったが。

「実際にやり取りをしたのは菱田だから、その経緯は良く分からないけど、提案をしてきたのは安曇野大学のほうだったみたい。なんでも、毎年この時期になると、管理人さんに誘われて遊びに来ているとかで」

 英梨の言葉にやや考え込むような仕草を見せつつ、安楽はふと顔を上げる。

「大学生にしては、随分と派手な遊び方だね。たまにはいいかもしれないけど、毎年ともなると、交通費だけでも馬鹿にならないだろうに」

 確かに、安楽本人には言っていないが、ここにいたるまでの交通費はかなりかかってしまった。安楽を同行させるために蘭が負担すると言ってしまったわけだが、今でもおおいに後悔をしている。確かに、数年に一度程度ならば問題ないが、毎年となると厳しい。やはり医大に通うような人達は、家もまたそれなりに裕福なのだろうか。まぁ、この辺りは蘭の偏見になってしまうが。

「とにかく、今回の一件について、お互いの大学はほぼ初対面だったということか」

 それは、なんとなく安楽も空気で分かっていたことだろう。互いに妙によそよそしいというか、どう考えても互いのことを知っている仲――という風には見えなかっただろうから。事実、お互いにほぼ初対面であることは確かだ。

「そういうことになるね……」
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