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1.絶海の孤島へ

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 ぞろぞろと発電機の起動に向かっても仕方がないということで、手分けをすることにした。ここは別荘とはいえ、客をもてなすような場所ではない。管理人はあくまでも別荘を貸してくれる最低限のお膳立てをしてくれただけであり、手入れが行き届いているわけではなかった。ゆえに、交流会の会場となるであろう大食堂とキッチン、ついでにエントランスまで、簡単に掃除をすることにした。部屋は各々が掃除をするということにして、共有スペースを掃除するということで意見が一致。こうして、掃除班と発電機起動および、食糧調達班が作成されることになった。

 蘭は自らの希望で発電機の起動に同行することにした。別荘の地下にあるストッカーにも興味があったし、発電機という響きにロマンさえ感じた。他の女性陣は掃除を希望したため、男性陣に蘭だけが混じる形で地下へと向かった。エントランスの左手のほうに、大食堂のような両開きの扉に比べると質素な扉があり、そこを開けると長い廊下に出た。扉がいくつも並び、どうやらそこが客室のようだった。また、リネン室もあるらしく、少しだけ覗いてみると、洗濯機や乾燥機が見えた。リネン室の先にも扉があり、俗にそこは勝手口というやつで外に続いているらしい。

 廊下を真っ直ぐに進むと螺旋状に階段が伸びていた。2階もあるらしく、1階と同様に、2階も客室が並んでいるそうだ。こちらのほうは、嫌でもあとで確認することになるだろうから、あえて見には行っていない。

 螺旋階段の下に入り込むと、その床には重厚な鉄の扉があった。その扉を榎本が持ち上げようとしても開かず、安楽もすぐにギブアップ。菱田と細川の2人がかりで、ようやくその思い鉄扉を持ち上げた。たかだかストッカーへの出入り口だ。そこまでしないと開かない設計にする必要があったのか。なんなら、螺旋階段がそのまま地下に突き抜けていたほうが洒落ているようにさえ思える。

 鉄扉の先には石造りの階段が伸びていた。地下ということもあり、どうにも閉鎖感が強い。もちろん、地下にも電灯があるのだが、まだ発電機が動いていない状態だ。ゆえに、鉄扉の近くに備え付けてあった懐中電灯の明かりを頼りに下へと潜る。思いのほか階段が狭いということもあり、代表で菱田と榎本が発電機を動かしに行くことになった。細川もついて行こうとしたが全力で止めておいた。階段で詰まったら大変だ――とは、さすがに本人には言えなかったが。
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