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1.絶海の孤島へ
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やはり、あちらの大学――安曇野医大の人間は、管理人の娘のことを知っているらしい。あちら側のソファーに座る細身の女が細い声で管理人に声をかける。
「え? なんだって?」
しかし、その声はか細すぎて届かなかったらしい。管理人の男は振り返って、問いなおす。
「娘さん、参加できなくて残念だって! 今回のことも、せっかく企画してくれたのに」
代弁するかのように、化粧が派手目な女性が言った。それにしても名前を知らないというのは不便だ。タイミングが合わず、安曇野医大の方々とはほとんど挨拶できずにいた蘭。クルーザーに乗れば、自然とそのような流れになると思っていたのに、そんなことにはならずに現在にいたる。
「あぁ、それは仕方がないさ。まさか風邪をひくとはなぁ……。だけど、せっかく招待したってのに、中止にするわけにもいかないからな。残念ではあるが、娘の分まで楽しんでいってくれよ」
少しばかり話の内容に食い違いが出てきた。管理人の娘は安曇野医大に通っているという話だが、先ほどからの会話を聞いていると、どうやら安曇野医大のメンバーと娘が会うのは久方ぶりのようだ。なんだかモヤモヤとはするが、まだまるで親しくなっていない相手に対して、突っ込んで聞けるような雰囲気ではない。
「か、管理人さん。ちょっとお願いがある――」
ふと、デッキのほうから声がしたかと思ったら、安楽がそこには立っていた。その真剣な眼差しに、一瞬だけ振り返った管理人も「な、なんだい?」と戸惑った様子を見せる。
「3日後に迎えにくるとかフラグでしかないから、ずっと島にいてくれませんか? 船が爆破されても困るので、船で寝泊まりしてもらうことになります。それで、嵐が来そうになったら、その予兆が出るや否や俺達を乗せて全速力で帰りましょう! 事件が起きてしまう前に!」
真剣な面持ちで何を言っているのか。その、あまりにも滑稽で突飛な発言は、おそらく事情を知らない人間からすれば、冗談に聞こえるのであろう。案の定、安曇野医大のほうには大ウケだった。
「そうは言われても、俺も仕事があるし、船は仕事に使うからなぁ。それに、若い君達の中に、こんなおっさんが混じっても仕方がないだろ? 娘も家で待ってるから、俺は予定通り帰らせてもらうよ」
苦笑いを浮かべているのが背中からも伝わってくる。安曇野医大は爆笑だが。特に七三眼鏡の笑い声が酷い。
「あっはっはっはっ! なんですか、それ。まるでこれから殺人事件でも起きるみたいじゃないですか。まぁ、確かにおあつらえ向きではありますけど」
「え? なんだって?」
しかし、その声はか細すぎて届かなかったらしい。管理人の男は振り返って、問いなおす。
「娘さん、参加できなくて残念だって! 今回のことも、せっかく企画してくれたのに」
代弁するかのように、化粧が派手目な女性が言った。それにしても名前を知らないというのは不便だ。タイミングが合わず、安曇野医大の方々とはほとんど挨拶できずにいた蘭。クルーザーに乗れば、自然とそのような流れになると思っていたのに、そんなことにはならずに現在にいたる。
「あぁ、それは仕方がないさ。まさか風邪をひくとはなぁ……。だけど、せっかく招待したってのに、中止にするわけにもいかないからな。残念ではあるが、娘の分まで楽しんでいってくれよ」
少しばかり話の内容に食い違いが出てきた。管理人の娘は安曇野医大に通っているという話だが、先ほどからの会話を聞いていると、どうやら安曇野医大のメンバーと娘が会うのは久方ぶりのようだ。なんだかモヤモヤとはするが、まだまるで親しくなっていない相手に対して、突っ込んで聞けるような雰囲気ではない。
「か、管理人さん。ちょっとお願いがある――」
ふと、デッキのほうから声がしたかと思ったら、安楽がそこには立っていた。その真剣な眼差しに、一瞬だけ振り返った管理人も「な、なんだい?」と戸惑った様子を見せる。
「3日後に迎えにくるとかフラグでしかないから、ずっと島にいてくれませんか? 船が爆破されても困るので、船で寝泊まりしてもらうことになります。それで、嵐が来そうになったら、その予兆が出るや否や俺達を乗せて全速力で帰りましょう! 事件が起きてしまう前に!」
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「そうは言われても、俺も仕事があるし、船は仕事に使うからなぁ。それに、若い君達の中に、こんなおっさんが混じっても仕方がないだろ? 娘も家で待ってるから、俺は予定通り帰らせてもらうよ」
苦笑いを浮かべているのが背中からも伝わってくる。安曇野医大は爆笑だが。特に七三眼鏡の笑い声が酷い。
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