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エピローグ
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「まぁ、今回の事件は六課がいてくれたからこそ解決したようなもので、むしろ今後ともうまくやって行きたいと思っているのでね。こうして親交を深めるのも悪くない」
そう言う凡場に対して、田之上は力強く首を横に振った。
「あのね、俺達はただダラダラと毎日を過ごしたいだけであって、お前達みたいに意識高い系じゃねぇから。変に認められても困るんだよ。今後は俺達にまで仕事が振られないようによ、お前達がしっかりやれよ。その条件をのむんなら、特別にバケツ焼きプリン同盟に混ぜてやってもいい」
凡場は一課の人間。そして田之上達は六課の人間。どれだけ凡場が認めようとも、亜紀が見直しても、その格差は大きい。可能な限り関わらないようにするのが凡場にとっては良いはずだ。
「分かった。しっかりと出世して、六課のような理不尽な扱いを受ける課がなくなるように――」
「だーかーら、そうじゃねぇんだよ。俺達を元の税金泥棒に戻せって言ってんだ。誰もが引っ張り上げられて喜ぶわけじゃねぇし、誰もが出世したいってわけでもない。なぁ、雅、桂」
田之上が話を振ると、桂は苦笑いを浮かべながら頷き、雅はほぼ即答と言わんばかりに首を縦に振る。
「まぁ、なんだかんだでここの居心地がいいってのはあるねぇ。それに、第六課という秘密の組織的な響きも悪くないし」
みな、それぞれの理由がある。それは決して正当なものとはいえないし、わがままにしか聞こえないようなものばかりであるが、けれども六課には六課たる理由があるのだ。
「まぁ、本当だったら懲戒免職されていてもおかしくないわけだし、上層部の人達が置いておきたいなら置いてくれていいと思うよぉ。実質上の追い出し部屋に私達を配属したのは上層部の人達なわけだし」
追い出し部屋とは良い例えではあるが、ここにいる連中は、決して精神的に追いやられることもないし、ごくごくたまに仕事をすれば、それなりの結果を残せる人間ばかり。だからこそ、六課は成立している。これからも表には出ず、しかし六課は六課であり続けるだろう。
光あるところに闇がある。闇は光がなければ闇にならないし、光は闇があるからこその光である。そして、バケツの中には焼きプリンがある。
田之上はスプーンを手に取ると、そっと焼きプリンをすくい上げ、それを口にした。
「思っていた以上に大味だな……」
雅もスプーンを伸ばして「うん」とやや残念そうに頷く。桂は桂で「僕は好きだけどねぇ――」と一言。最後にプリンを口に運んだ凡場は「前情報のせいで期待しすぎなのでは?」と、曲がりなりにも全員が刑事であるというのに、真昼間から焼きプリンの議論を交わす。
やはり六課はこうでなければならない。宝の持ち腐れでも、追い出し部屋扱いでも構わない。むしろ、六課の出番なんてなくていい。
またゆっくりと時間が流れ始めた六課に目を細めつつ、大味の割に奪い合いへと発展しつつあった焼きプリン争奪戦に、田之上は勇んで参加したのであった――。
―完―
そう言う凡場に対して、田之上は力強く首を横に振った。
「あのね、俺達はただダラダラと毎日を過ごしたいだけであって、お前達みたいに意識高い系じゃねぇから。変に認められても困るんだよ。今後は俺達にまで仕事が振られないようによ、お前達がしっかりやれよ。その条件をのむんなら、特別にバケツ焼きプリン同盟に混ぜてやってもいい」
凡場は一課の人間。そして田之上達は六課の人間。どれだけ凡場が認めようとも、亜紀が見直しても、その格差は大きい。可能な限り関わらないようにするのが凡場にとっては良いはずだ。
「分かった。しっかりと出世して、六課のような理不尽な扱いを受ける課がなくなるように――」
「だーかーら、そうじゃねぇんだよ。俺達を元の税金泥棒に戻せって言ってんだ。誰もが引っ張り上げられて喜ぶわけじゃねぇし、誰もが出世したいってわけでもない。なぁ、雅、桂」
田之上が話を振ると、桂は苦笑いを浮かべながら頷き、雅はほぼ即答と言わんばかりに首を縦に振る。
「まぁ、なんだかんだでここの居心地がいいってのはあるねぇ。それに、第六課という秘密の組織的な響きも悪くないし」
みな、それぞれの理由がある。それは決して正当なものとはいえないし、わがままにしか聞こえないようなものばかりであるが、けれども六課には六課たる理由があるのだ。
「まぁ、本当だったら懲戒免職されていてもおかしくないわけだし、上層部の人達が置いておきたいなら置いてくれていいと思うよぉ。実質上の追い出し部屋に私達を配属したのは上層部の人達なわけだし」
追い出し部屋とは良い例えではあるが、ここにいる連中は、決して精神的に追いやられることもないし、ごくごくたまに仕事をすれば、それなりの結果を残せる人間ばかり。だからこそ、六課は成立している。これからも表には出ず、しかし六課は六課であり続けるだろう。
光あるところに闇がある。闇は光がなければ闇にならないし、光は闇があるからこその光である。そして、バケツの中には焼きプリンがある。
田之上はスプーンを手に取ると、そっと焼きプリンをすくい上げ、それを口にした。
「思っていた以上に大味だな……」
雅もスプーンを伸ばして「うん」とやや残念そうに頷く。桂は桂で「僕は好きだけどねぇ――」と一言。最後にプリンを口に運んだ凡場は「前情報のせいで期待しすぎなのでは?」と、曲がりなりにも全員が刑事であるというのに、真昼間から焼きプリンの議論を交わす。
やはり六課はこうでなければならない。宝の持ち腐れでも、追い出し部屋扱いでも構わない。むしろ、六課の出番なんてなくていい。
またゆっくりと時間が流れ始めた六課に目を細めつつ、大味の割に奪い合いへと発展しつつあった焼きプリン争奪戦に、田之上は勇んで参加したのであった――。
―完―
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