巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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迫る毒牙

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 リストアップ作業からは解放されたが、その先には新たなる地獄が待っている。そう考えると急に憂鬱ゆううつになり、とうとう耐え切れなくなった田之上はおもむろに立ち上がる。

「俺、これから一か月くらい風邪ひくから。あ、インフルエンザだわこれ。医者がいいって言うまで出勤しちゃ駄目なやつだわ」

 わざとらしく額をおさえて咳き込んでみせる田之上。雀の涙程度の責任感というやつで、我慢して桂に付き合ってはいたが、どうやら限界を突破してしまったようだった。

「おはようございます!」

 六課から脱出を試みようとしていた田之上の前に、少し遅れて出勤してきた堀口が現れる。この堀口という男もドMなのか、ハードなスケジュールであっても淡々と仕事をこなす。むしろ、日に日に元気が増しているというか。充実していっているようだ。事件捜査に参加できる。必要とされている――というのが彼の原動力なのだろうか。

「おはようざいまぁす……」

 堀口に少し遅れて雅も六課へとやってきた。相変わらず化粧でばっちり決めてはいるが、桂に連日こき使われていたせいか、化粧のノリが悪くなっているような気がする。本人いわく、合コンが封印されているのが、なによりも辛いとのこと。どれだけ男好きなのかは計り知れないが、雅の前では夢魔と呼ばれるサキュバスも裸足で逃げ出してしまうのではないだろうか。

 なんにせよ、これで六課のメンバーは勢揃いである。わざわざ確認するまでもない人数なのだが、桂は六課にいる人間を指折り数える。本当に少し寝たほうが良いと思うのだが。

「さて、これで全員が集まったねぇ。知っての通り、またしても新たな犠牲者が出てしまったよ。進藤警部の判断も間違っていたし、また振り出しに戻ってしまったわけだ。そして、こちらもようやくリストアップ作業が完了した。継続的な捜査は一課が行うだろうから、僕達は別の角度から事件を追い続けよう。方針としては、リストアップした人間一人一人に、事件当日のアリバイなどを聞いて回るつもりでいるよ。対象が一般人ではなく警察関係者だから、比較的聞き取り調査もやりやすいはずだ」

 桂がそこまで言うと、やはり合コン封印のストレスが溜まっているのだろう。雅が面白くなさそうに口を挟む。

「と言うかぁ、それだけの量があるのにぃ、私達だけで聞き込みするのぉ? 一課の人達に事情を話してぇ、手伝ったもらったほうが良いと思うんだけどぉ」
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