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すれ違う狂気
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しおりを挟む 案の定、そこにいた捜査員が全員というわけではないが、こそこそとした話し声が聞こえる。明らかにこちらのほうを見ながらだ。きっと馬鹿にされているのであろう。
「――人を馬鹿にしている暇があったら、犯人を捕まえるために尽力したほうがいいと思わねぇっすか? 警部!」
ふと、捜査員の一人が声を上げた。長い髪の毛を後ろで束ねたサムライのような男だった。もちろん、堀口の見知った顔ではなかった。その一言に、捜査員達は面白くなさそうにそっぽを向いた。
「全く、お前は声がでかいんだよ。いくら本当のことだとしてもな、言わないほうがいいことだってあるんだ。ほら、言わぬが仏って昔から言うだろ?」
サムライヘアーの男に対し、年季の入ったいかにも叩き上げといった感じの中年男が返す。その声も、周囲に聞こえるほど大きかった。
「とにかく、ここはもういいだろう。行くぞ、尾崎――」
中年のほうがそう言うと、サムライヘアーの若いほうが「了解っす」と漏らす。二人で並んでこちらのほうへとやって来た。そのまま現場を後にするのかと思ったら、若いほうの男が立ち止まり、こちらに向かって敬礼を決める。
「ご苦労様っす!」
本来敬礼での挨拶などしないのだが、その勢いにつられて一同は敬礼をして返す。するとサムライヘアーの男は「お互い大変っすねぇ」と呟き、中年男からげんこつをもらう。
「余計なことは言わんでいい。ほら、さっさと行くぞ」
他の捜査員とはなんだか毛色の違う二人組み。その姿を見送ってから桂が口を開いた。
「あの二人の拳銃の中身――実弾じゃなくて模擬弾なんだよねぇ。僕の拳銃も彼らの仕様をパクったやつなんだ。なぜ模擬弾なのかまでは知らないんだけどねぇ。とにかく謎多き人達だよぉ」
桂がぽつりと呟いた。知り合い――というわけではなさそうだが、二人のことは知っているようだった。
桂を先頭にして、一同は遺体が横たわっていた辺りへと到着する。堀口は周囲の目が気になって仕方がなかったのだが、田之上達はまるで気にならない様子だった。
「さて桂。ここが例の……お前が一番気にかけていた現場だぜ。どこから手をつける?」
異質。同じ刑事であっても、六課だけは異質な存在。明らかに現場の他の刑事からは、寄せ付けまいという空気を感じる。自分もかつては六課のことを同じ目で見ていたのだろうか。
「――人を馬鹿にしている暇があったら、犯人を捕まえるために尽力したほうがいいと思わねぇっすか? 警部!」
ふと、捜査員の一人が声を上げた。長い髪の毛を後ろで束ねたサムライのような男だった。もちろん、堀口の見知った顔ではなかった。その一言に、捜査員達は面白くなさそうにそっぽを向いた。
「全く、お前は声がでかいんだよ。いくら本当のことだとしてもな、言わないほうがいいことだってあるんだ。ほら、言わぬが仏って昔から言うだろ?」
サムライヘアーの男に対し、年季の入ったいかにも叩き上げといった感じの中年男が返す。その声も、周囲に聞こえるほど大きかった。
「とにかく、ここはもういいだろう。行くぞ、尾崎――」
中年のほうがそう言うと、サムライヘアーの若いほうが「了解っす」と漏らす。二人で並んでこちらのほうへとやって来た。そのまま現場を後にするのかと思ったら、若いほうの男が立ち止まり、こちらに向かって敬礼を決める。
「ご苦労様っす!」
本来敬礼での挨拶などしないのだが、その勢いにつられて一同は敬礼をして返す。するとサムライヘアーの男は「お互い大変っすねぇ」と呟き、中年男からげんこつをもらう。
「余計なことは言わんでいい。ほら、さっさと行くぞ」
他の捜査員とはなんだか毛色の違う二人組み。その姿を見送ってから桂が口を開いた。
「あの二人の拳銃の中身――実弾じゃなくて模擬弾なんだよねぇ。僕の拳銃も彼らの仕様をパクったやつなんだ。なぜ模擬弾なのかまでは知らないんだけどねぇ。とにかく謎多き人達だよぉ」
桂がぽつりと呟いた。知り合い――というわけではなさそうだが、二人のことは知っているようだった。
桂を先頭にして、一同は遺体が横たわっていた辺りへと到着する。堀口は周囲の目が気になって仕方がなかったのだが、田之上達はまるで気にならない様子だった。
「さて桂。ここが例の……お前が一番気にかけていた現場だぜ。どこから手をつける?」
異質。同じ刑事であっても、六課だけは異質な存在。明らかに現場の他の刑事からは、寄せ付けまいという空気を感じる。自分もかつては六課のことを同じ目で見ていたのだろうか。
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