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朝日に包まれながら【午前7時】

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 春日は春日なりに、自分の見立てに自信があった。多くの死者を出しながらも、それぞれのSGTに集められた20のヒントは、ある人物こそ【ブービートラップ】であると指し示している。

 ここにいる全員の命運は、春日の推測が握っている。だからこそ、自分では確信的なものを抱いていても、どこか不安になってしまうのかもしれない。家の鍵を閉めたか不安になり、何度も確認に戻るような感覚だった。

 近づいてみると、外観はしっかりと【テレフォンボックス】だった。ただし、中に公衆電話が設置されているわけではない。代わりに背の高さほどの黒いボックスが【テレフォンボックス】の中に佇んでいた。その黒いボックスには【解答】という赤いボタンがついているのみ。SGTなどという高度な技術を詰め込んだものを用意したくせに、いざ解答するとなった時はボタンひとつとは、なんともアナログでギャップを感じずにはいられなかった。

「あれを押せば解答できるのか?」

 水落はそう言いながら【テレフォンボックス】の中を外から観察する。おそらく【トラッペ君】がないか確認しているのであろう。

「さすがにこの中に罠を仕掛けるほど卑怯な真似はしねぇだろうな。まぁ、どこのどいつが俺らをこんなところにぶち込んだのか分からないままだがな」

 比嘉の言葉に思わず小さく頷いた春日。誰がなんのために、こんなことをしたのか知らないが、わざわざ犯人役に結びつく20のヒントを用意してあるのだ。解答を行う場に罠を仕掛けてあるとは思えない。これで不意打ちのごとく罠が仕掛けられているのであれば、そのどこの誰かさんは、なんのために春日達をこんな目に遭わせたのか分からなくなる。

「ぶつぶつ言ってないで、さっさと中に入ってボタンを押せや。みんなに散々迷惑かけたんやから、ここはお前がリスクを背負うべきやろ」

 片岡を失ってしまったことにより、すっかりとやさぐれてしまった深田。特に比嘉に対してはあたりが厳しい。プレイヤー同士でのいざこざによって片岡が死んでしまったがゆえに、どうしても比嘉にあたってしまうのであろう。

「おーおー、ひどい話だなぁ。俺はお前達のモルモットか。人道的にも問題があると思うぜ」

 確かに、比嘉を実験台のようにしているのは否定しないし、人道的に反する行為であることも分かっている。ただ、この中で誰か一人を犠牲にしろと言われたら、やはり春日達を一度は殺そうとした比嘉を差し出そうとするのは当然のことなのではないだろうか。
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