BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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闇の中からの強行突破【午後6時〜午後7時】

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 辺りを警戒しながら歩みを進めていく。女共がいる教室は、モールス信号を解読した時に確認済み。今はまた暗闇に包まれているが、きっとそこで息を潜めているはずだ。

 ――どこから奇襲を仕掛けられるか分からない。これでもかとばかりに周囲を警戒し、一歩、また一歩と前へ進む。笑いが込み上げてくることは認めよう。この状況に胸が弾み、心が踊っていることも認める。

 呼吸が荒くなるのは、恐らく興奮している類のもの。いつどこから襲われるか分からない恐怖は、見事なまでにスリルへと変換されていた。

 踊り場を経由して階段をのぼると、記憶を頼りに教室へと向かう。女共と迷彩服達が合流しているのであれば、警戒すべきはライフル銃を持っている迷彩服だ。あの女のモデルガンは、仮に弾が当たっても致命傷にはならない。まだ本物の可能性が残っているライフル銃のみを警戒すべき。

 しかし、この暗闇である。あちらの誰かがまたまた暗視ゴーグルなどという御都合主義もびっくりの物資を配布されてでもいない限り、この暗闇の中で狙いを定めるのは難しい。銃撃を警戒するのは明るいところのみでいい。暗闇の中では、まずライフル銃も役には立つまい。

 あちらの武器が本物だとすれば、その性能や威力では、こちらの折りたたみ式バタフライナイフは歯が立たない。しかし、どれだけのポテンシャルを秘めていても、それを引き出せなければ意味がない。どれだけ威力が強力でも、弾が当たらねば話にならないのだ。一方、こちらの武器は折りたたみ式のバタフライナイフ。扱う者の意思で自由に扱うことができるし、何よりも比嘉自身が夜目に慣れている。この暗闇の中では、ライフル銃よりバタフライナイフに軍配が上がるのかもしれない。

 とにかく、こちらの基本方針は隠密。敵に見つからないようにして、確実に相手を一人ずつ潰す。この闇夜を利用し、暗躍するスタンスだ。真っ正面からやり合ったら、さすがに勝てはしないだろうから、じわりじわりと周囲から逃げ場を無くしてくしていく戦略でいく。

 人数的には、明らかにこちらが不利。だからこそ面白いというか、戦略の立て甲斐もあるというものだ。一人、また一人と闇夜に葬られていく様は、きっと相手に絶対的な恐怖を与えることであろう。

 さぁ、パーティーの始まり。馬鹿が束になったところで馬鹿は馬鹿。この場を制するのは自分に違いない。目的の教室の扉が近づくにつれ、比嘉の胸は高鳴る。
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