BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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闇の中からの強行突破【午後6時〜午後7時】

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 相手は間違いなく、迷彩服とスーツ姿以外にもメンバーがいたはず。しかし、全員が校内に侵入するとは限らない――。すなわち、少数精鋭。こちらが様子を伺うことを見越して、実は迷彩服とスーツ姿のみが実働隊なのではないか。だとすれば、こちらはかなり間抜けということになる。もう次の実働隊はないというのに、ずっとここで様子を見続けているのだから。

 実際のところはどうなのか。実働隊を一組だけにすることで、こちらを足止めしようという算段なのだろうか。とにもかくにも、あまり時間を与えてしまうと、さっきの迷彩服達が女共と合流してしまう。さすがに四人を相手にするのは分が悪いだろう。

 こんなことになるのならば、迷彩服達が入ってきた時点で奇襲を仕掛ければ良かった――なんて後悔したところで後の祭り。それに、普通は誰だって様子を見ようとする。相手の戦力を指し測ろうとするはずだ。あの場面で考えなしに奇襲を仕掛けるほうが、まず難しかっただろう。

 ――どうすべきか。待てども待てども、迷彩服達の次は来ない。奇襲を仕掛ける分にはうってつけの場所ではあるが、ここにいると身動きも取れない。

 比嘉はとうとう動くことを決めた。このまま誰も来ない勝手口を見張っているのも馬鹿馬鹿しい。こちらが様子を見ている間に女共が学校から脱出したなんてことがあったら、間抜けにもほどがある。

 比嘉は辺りの様子を伺いつつ、音を立てないように扉を開ける。扉の間をすり抜けると、再び音を立てぬように気をつけつつ、倉庫の扉を閉めた。

 折りたたみ式のバタフライナイフを構え、そして比嘉はゆっくりと階段をのぼる。できる限り足音を立てぬように、いや、呼吸する音さえをも悟られぬように、慎重に歩みを進める。

 もうすでに迷彩服達は女共と合流したのであろうか。そうだとすれば面倒ではあるが、しかし負けが決まったわけではない。あちらが合流したならばしたで、こちらも動きを変えればいい。まだまだ悲観するには早かった。いいや、悲観するどころか、明らかに今の状況を楽しんでいる自分がいた。

 さすがに喜んで人を殺すほど頭はイカレていない。人が死ねば死ぬほど解放に近づくというルールさえなければ、比嘉だって他人を殺して回ろうだなんて考えはしなかった。けれどもルールとして存在している以上、それは立派な手段なのだ。目的が明確にあって、それを達成させるために人を殺すという手段が用意されているだけ。
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