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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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斑目は真剣な面持ちで前置きをすると、こちらの意思を待つかのごとく口を閉ざした。
「当たり前だけど、これは他人事ではないし、もはや私の問題だとも思っています。これまで、関係のない事故物件の事件を解決した気になって喜んでいた罰なのかもしれませんわ」
これまで、自分を納得させるために、いわくつきの事故物件を探し出し、未解決の事件を解決した気になってきた。そうすることで、本当なら向き合わねばならないはずの事件から逃げ続けてきた。今こそ向き合う時なのだ。トラウマとなってしまった例の事件に。
――そもそも、どうしてトラウマとして心の奥底に刻まれてしまったのだろう。それこそ、他の事件を代用することで安息感を得ていたほどの重傷かつ、致命的なトラウマが。
もしかすると、思い出せていないだけなのかも。姉が誘拐され、そして殺害されてしまった事件の間、コトリ自身何をしていたのか明確な記憶がない。両親の指示で部屋にいた――という記憶だって、両親からそう聞かされていたから、そうだとばかり思っていたが、もしかすると違うのかもしれない。
「まず前提として理解しておいていただきたいのは、被害者が狂言誘拐をした理由です。この事件は、ある人物を殺害するために仕組まれたものでした。すなわち窓辺野コトリさん。あなたを殺害するためです」
身構えていたのだが、やはり堪えてしまう。姉が何故に自分を殺そうとしていたのか。今となっては、知る手段もないだろう。なぜなら、当の本人はとっくの昔に死んでいるのだから。
「でも、私はこうして生きていますし、当時、そのような危険な目に遭った記憶もありませんわ」
もう救急車は病院に到着したらしく、救急隊員が後部のハッチを開ける。鯖洲はというと、応急措置で止血をしてもらったようだが、中々血が止まらないらしい。見た目以上に傷が深いのかもしれない。
「ご協力ありがとうございました。さぁ、我々も降りましょう」
警察という立場を利用し、緊急車両を移動手段として使ったことは褒められたものではないが、しかしそうしなければならないほどの危機が、コトリの身に迫っていたのかもしれない。
「毎回、無理を聞くというわけではありませんので、その辺りよろしくお願いします」
斑目の言葉に、あくまでも自力で歩くつもりらしい鯖洲に肩を貸しつつ、救急隊員は微かに笑みを浮かべた。
「付き添いは私が」
ぞろぞろと鯖洲の治療について回るわけにはいかない。ここは冥が付き添いを申し出て、素直に甘えることにした。
「当たり前だけど、これは他人事ではないし、もはや私の問題だとも思っています。これまで、関係のない事故物件の事件を解決した気になって喜んでいた罰なのかもしれませんわ」
これまで、自分を納得させるために、いわくつきの事故物件を探し出し、未解決の事件を解決した気になってきた。そうすることで、本当なら向き合わねばならないはずの事件から逃げ続けてきた。今こそ向き合う時なのだ。トラウマとなってしまった例の事件に。
――そもそも、どうしてトラウマとして心の奥底に刻まれてしまったのだろう。それこそ、他の事件を代用することで安息感を得ていたほどの重傷かつ、致命的なトラウマが。
もしかすると、思い出せていないだけなのかも。姉が誘拐され、そして殺害されてしまった事件の間、コトリ自身何をしていたのか明確な記憶がない。両親の指示で部屋にいた――という記憶だって、両親からそう聞かされていたから、そうだとばかり思っていたが、もしかすると違うのかもしれない。
「まず前提として理解しておいていただきたいのは、被害者が狂言誘拐をした理由です。この事件は、ある人物を殺害するために仕組まれたものでした。すなわち窓辺野コトリさん。あなたを殺害するためです」
身構えていたのだが、やはり堪えてしまう。姉が何故に自分を殺そうとしていたのか。今となっては、知る手段もないだろう。なぜなら、当の本人はとっくの昔に死んでいるのだから。
「でも、私はこうして生きていますし、当時、そのような危険な目に遭った記憶もありませんわ」
もう救急車は病院に到着したらしく、救急隊員が後部のハッチを開ける。鯖洲はというと、応急措置で止血をしてもらったようだが、中々血が止まらないらしい。見た目以上に傷が深いのかもしれない。
「ご協力ありがとうございました。さぁ、我々も降りましょう」
警察という立場を利用し、緊急車両を移動手段として使ったことは褒められたものではないが、しかしそうしなければならないほどの危機が、コトリの身に迫っていたのかもしれない。
「毎回、無理を聞くというわけではありませんので、その辺りよろしくお願いします」
斑目の言葉に、あくまでも自力で歩くつもりらしい鯖洲に肩を貸しつつ、救急隊員は微かに笑みを浮かべた。
「付き添いは私が」
ぞろぞろと鯖洲の治療について回るわけにはいかない。ここは冥が付き添いを申し出て、素直に甘えることにした。
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