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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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追いかければ追いかけるほど、謎が深まっていく。深入りすれば深入りするほど、分からないことが増えていく。事件が迷宮入りしてしまった理由も分からなくはない。
「――窓辺野さん」
千早がぽつりと呟き、そしてコトリが顔を上げる。
「もしかすると、とても残念なことになってしまうかもしれません。それでも、この事件……まだ追いかけますか?」
千早の言葉は重く、そして意味深だった。コトリは小さく首を縦に振った。
「これまでずっと、触れないようにしてきたことだったの。逃げて、逃げて、逃げて。とにかく他の事故物件を探して、そこで起きた事件を解決した気になって、なんとか自分のことを納得させていたけど――もう、逃げてばかりはいられませんわ」
事件がおかしな方向へと傾き始めている。それは誰が見たって明らかだった。なによりも、コトリが先ほど寺山に放った一言が気になる。寺山が誰かをかばっているとは、どこから出てきた発想なのだろうか。
「そうですか。それならば、私は私のやるべきことをやりましょう」
リムジンの中での会話は、きっとそれだけだったと思う。屋敷に到着したのか、リムジンが停まり、しばらく動かない。寺山がドアを開閉する音がして、後部座席のドアが開けられる。
「行きましょう。まずはお母様から話を聞かないと」
灯台下暗しとまではいわないが、巡り巡ってコトリの母親に話を聞くことになるとは思わなかった。コトリは車を降りる際に寺山のほうへと視線をやる。
「過去の事件があった当時、屋敷に従事していた者達に連絡を取ってもらえないかしら? 暇を出したばかりだから、わざわざ戻ってきてもらう必要はありませんわ。私が個人的に話を聞きたいだけ。多分、5分もあればお話は終わりますわ」
コトリの母親の次は、当時屋敷に従事していた人達か。わざわざ遠くまで調べに赴いたわけだが、なぜか最終的にやるべきことは屋敷の中に集中している。それが何を意味するのか――斑目はあえて踏み込まないようにした。
コトリの父親が殺害されてしまった事件。そこを発端として掘り起こされようとしている、過去の殺人事件。果たして、本当に寺山が犯人なのか。それとも、意外な伏兵がどこかに潜んでいるのか。
斑目は屋敷を見上げると、小さく溜め息を漏らしたのであった。
「――窓辺野さん」
千早がぽつりと呟き、そしてコトリが顔を上げる。
「もしかすると、とても残念なことになってしまうかもしれません。それでも、この事件……まだ追いかけますか?」
千早の言葉は重く、そして意味深だった。コトリは小さく首を縦に振った。
「これまでずっと、触れないようにしてきたことだったの。逃げて、逃げて、逃げて。とにかく他の事故物件を探して、そこで起きた事件を解決した気になって、なんとか自分のことを納得させていたけど――もう、逃げてばかりはいられませんわ」
事件がおかしな方向へと傾き始めている。それは誰が見たって明らかだった。なによりも、コトリが先ほど寺山に放った一言が気になる。寺山が誰かをかばっているとは、どこから出てきた発想なのだろうか。
「そうですか。それならば、私は私のやるべきことをやりましょう」
リムジンの中での会話は、きっとそれだけだったと思う。屋敷に到着したのか、リムジンが停まり、しばらく動かない。寺山がドアを開閉する音がして、後部座席のドアが開けられる。
「行きましょう。まずはお母様から話を聞かないと」
灯台下暗しとまではいわないが、巡り巡ってコトリの母親に話を聞くことになるとは思わなかった。コトリは車を降りる際に寺山のほうへと視線をやる。
「過去の事件があった当時、屋敷に従事していた者達に連絡を取ってもらえないかしら? 暇を出したばかりだから、わざわざ戻ってきてもらう必要はありませんわ。私が個人的に話を聞きたいだけ。多分、5分もあればお話は終わりますわ」
コトリの母親の次は、当時屋敷に従事していた人達か。わざわざ遠くまで調べに赴いたわけだが、なぜか最終的にやるべきことは屋敷の中に集中している。それが何を意味するのか――斑目はあえて踏み込まないようにした。
コトリの父親が殺害されてしまった事件。そこを発端として掘り起こされようとしている、過去の殺人事件。果たして、本当に寺山が犯人なのか。それとも、意外な伏兵がどこかに潜んでいるのか。
斑目は屋敷を見上げると、小さく溜め息を漏らしたのであった。
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