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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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毎日のように肝試しのために車がやってきて、それを事細かに記録していたのだ。時と場合によっては、注意をしに行っていたようである。そんな元自治会長が言うのだ。あんなところを監禁場所に選ぶなんておかしい――と。当時の警察は、なぜ元自治会長の言葉に耳を貸さなかったのか。
「さきほどのお母さんの話でも、当時の現場は、車で乗り入れることができるような状態ではなかったそうですね。となると、仮にそこを被害者の監禁場所として使うにしても、やっぱり不便だということになりますよねぇ」
自治会長の言葉で確信した。例の廃病院は、明らかに誘拐事件に使うような場所ではない。毎日のように肝試しに訪れる人間がいては、監禁もへったくれもないだろう。それに、犯人自身の姿を目撃されるリスクもあったはずだ。それなのに、被害者の遺体は廃病院で見つかった。資料によれば、皮肉にも肝試しに訪れていた若者によってだ。もっとも、毎日のように肝試しに訪れる若者がいるのであれば、当然ながら最初の発見者も肝試しに訪れる若者ということになるのだろう。
「とりあえず、はっきりしたことがありますわ。夜……人の気配がないであろう時間帯を狙って、犯人がここを出入りしていたとは思えないということですわね」
「ですが、実際に被害者は廃病院の中で遺体として見つかっている。どこかのタイミングで建物を出入りする必要はあったはずです。それに、仮に廃病院に監禁しようがしまいが――つまり、被害者を殺害してから遺体だけを運び込もうが、その作業をすること自体が難しいですよねぇ」
昼間はさすがに目立つ。夜は元自治会長が目を光らせているし、肝試しのためにやってくる若者達の目もある。そして車を乗り入れることできなかった。もちろん、ずっと監視下にあったわけではないが、そんな状態で被害者を運び込むことは難しいと思われる。むろん、被害者が生きていたとしても、死んでいたとしてもだ。
「……いえ、車で運び込むことを前提に考えなければいいのかも」
宙に視線を泳がせつつ呟くコトリ。いやいや、事件は誘拐及び殺害事件である。どちらにせよ、被害者を運び込む必要があるわけで、車がなければ話にならないと思うのだが。
「ようするに、お姉様が自らの足で、誰にも見つからないような時間帯に現場を訪れていたとしたらどうかしら?」
なかなかにトリッキーな推測をするコトリ。しかしながら、被害者自らの足で現場に向かうというのは妙な話だ。
「さきほどのお母さんの話でも、当時の現場は、車で乗り入れることができるような状態ではなかったそうですね。となると、仮にそこを被害者の監禁場所として使うにしても、やっぱり不便だということになりますよねぇ」
自治会長の言葉で確信した。例の廃病院は、明らかに誘拐事件に使うような場所ではない。毎日のように肝試しに訪れる人間がいては、監禁もへったくれもないだろう。それに、犯人自身の姿を目撃されるリスクもあったはずだ。それなのに、被害者の遺体は廃病院で見つかった。資料によれば、皮肉にも肝試しに訪れていた若者によってだ。もっとも、毎日のように肝試しに訪れる若者がいるのであれば、当然ながら最初の発見者も肝試しに訪れる若者ということになるのだろう。
「とりあえず、はっきりしたことがありますわ。夜……人の気配がないであろう時間帯を狙って、犯人がここを出入りしていたとは思えないということですわね」
「ですが、実際に被害者は廃病院の中で遺体として見つかっている。どこかのタイミングで建物を出入りする必要はあったはずです。それに、仮に廃病院に監禁しようがしまいが――つまり、被害者を殺害してから遺体だけを運び込もうが、その作業をすること自体が難しいですよねぇ」
昼間はさすがに目立つ。夜は元自治会長が目を光らせているし、肝試しのためにやってくる若者達の目もある。そして車を乗り入れることできなかった。もちろん、ずっと監視下にあったわけではないが、そんな状態で被害者を運び込むことは難しいと思われる。むろん、被害者が生きていたとしても、死んでいたとしてもだ。
「……いえ、車で運び込むことを前提に考えなければいいのかも」
宙に視線を泳がせつつ呟くコトリ。いやいや、事件は誘拐及び殺害事件である。どちらにせよ、被害者を運び込む必要があるわけで、車がなければ話にならないと思うのだが。
「ようするに、お姉様が自らの足で、誰にも見つからないような時間帯に現場を訪れていたとしたらどうかしら?」
なかなかにトリッキーな推測をするコトリ。しかしながら、被害者自らの足で現場に向かうというのは妙な話だ。
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