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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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「……一体、何をおっしゃいたいのですか?」
寺山が放った一言が、なぜか物凄く冷たく感じた。
「構造上、リムジンは後部座席から外が見えませんわ。だから、実際にどこをどう走ったのかなんて私達に知る由はなかった。ですから――」
「お前が他の道を使ってここまで来たんじゃねぇのかって言ってんだよ」
コトリのお株を奪うかのごとく鯖洲が口を挟んだ。何かに気づいたのか冥がそこに続いた。
「カーナビがあっても、あのような酷い道を通らねばならなかったのに――随分とこの辺りに詳しいようですね」
仮にここまでやって来るルートが他にもあるのだとすれば、寺山はそちらのほうを通ってここまでやって来たことになる。それすなわち、この辺りのことを熟知していることを意味する。
「私、ずっと考えていたの。もし、お父様を誘拐するのだとすれば、どんなやり方がベストなのか――。普段からお父様は、あなたの車に乗って会社まで向かい、そして仕事が終われば基本的にあなたが迎えに行っていたわよね? お付き合いで外に飲みに出た時も、極力はあなたが迎えに行っていましたわ。つまり、他の人間がお父様を誘拐するにも、あなたという存在が邪魔になるのよ。なんせ、お父様の送り迎えをしているのだから」
あぁ、そういうことなのか。なんとなく、空気が変わった時点で分かってはいたが、このやり取りで確信した。それを後押しするかのごとく、鯖洲が口を開く。
「逆に言ってしまえば、お前なら好きなタイミングで誘拐できるよな?」
コトリと鯖洲の視線は、ただ一点に集められていた。そう、寺山という男に。しかしながら、寺山は微かな笑みを浮かべるばかり。
「またまた、ご冗談を――。正直、笑えませんね」
コトリとしては、寺山が犯人であると言いたいのであろう。しかし決定打に欠けるような気がする。車に傷がついていないから、こんな辺鄙な場所にやってくる他のルートを知っている……すなわち、この辺りのことに詳しく、それすなわち、今回の事件に深く関わっているからだ――と断定することはできない。
「できることならば、あなたから認めて欲しいのだけど、どうやら認めてはくれないみたいね」
コトリは小さく溜め息を漏らすと、寺山のことを見据える。そして、力強く言い放った。
「そもそも、なぜ一里之君がはめられてしまったのか。それを考えると、答えは見えてきますわ」
寺山が放った一言が、なぜか物凄く冷たく感じた。
「構造上、リムジンは後部座席から外が見えませんわ。だから、実際にどこをどう走ったのかなんて私達に知る由はなかった。ですから――」
「お前が他の道を使ってここまで来たんじゃねぇのかって言ってんだよ」
コトリのお株を奪うかのごとく鯖洲が口を挟んだ。何かに気づいたのか冥がそこに続いた。
「カーナビがあっても、あのような酷い道を通らねばならなかったのに――随分とこの辺りに詳しいようですね」
仮にここまでやって来るルートが他にもあるのだとすれば、寺山はそちらのほうを通ってここまでやって来たことになる。それすなわち、この辺りのことを熟知していることを意味する。
「私、ずっと考えていたの。もし、お父様を誘拐するのだとすれば、どんなやり方がベストなのか――。普段からお父様は、あなたの車に乗って会社まで向かい、そして仕事が終われば基本的にあなたが迎えに行っていたわよね? お付き合いで外に飲みに出た時も、極力はあなたが迎えに行っていましたわ。つまり、他の人間がお父様を誘拐するにも、あなたという存在が邪魔になるのよ。なんせ、お父様の送り迎えをしているのだから」
あぁ、そういうことなのか。なんとなく、空気が変わった時点で分かってはいたが、このやり取りで確信した。それを後押しするかのごとく、鯖洲が口を開く。
「逆に言ってしまえば、お前なら好きなタイミングで誘拐できるよな?」
コトリと鯖洲の視線は、ただ一点に集められていた。そう、寺山という男に。しかしながら、寺山は微かな笑みを浮かべるばかり。
「またまた、ご冗談を――。正直、笑えませんね」
コトリとしては、寺山が犯人であると言いたいのであろう。しかし決定打に欠けるような気がする。車に傷がついていないから、こんな辺鄙な場所にやってくる他のルートを知っている……すなわち、この辺りのことに詳しく、それすなわち、今回の事件に深く関わっているからだ――と断定することはできない。
「できることならば、あなたから認めて欲しいのだけど、どうやら認めてはくれないみたいね」
コトリは小さく溜め息を漏らすと、寺山のことを見据える。そして、力強く言い放った。
「そもそも、なぜ一里之君がはめられてしまったのか。それを考えると、答えは見えてきますわ」
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