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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】
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おそらくは、何者かに襲われた後、車に乗せられて例の場所に連れて行かれたのであろう。帰りは予期せずパトカーに乗ることになったわけであるが、かなりの距離を走って、ようやく市街地に出た記憶がある。
何者かは一里之と、殺害した社長を倉庫へと運び、そしてなんらかの方法で倉庫を密室に仕立て上げた。そして、間抜けにも車で帰ってしまったというわけか。もし、現場に車がないことに、いち早く警察が気づいてくれれば、そこに第三者の存在があったことにたどり着けただろう。そうなっていれば、一里之がこんなところにぶち込まれることもなかったのかもしれない。
「それにしても、あそこには窓ひとつなかったしなぁ」
あまり思い出したくはないが、社長を発見した時のことを思い出してみる。目が覚めて、すぐに倒れている社長を見つけた。部屋の中に窓はひとつもなし。この時点で扉の存在は確認していたが、倒れている人間を優先した。人として当たり前の行動だったと思う。
「で、扉には鍵がかかってたみたいだし――」
ドアノブが何度も空回りするのを見ていた一里之。実際に確認したわけではないが、駆けつけた刑事がそれを確認していたことだろう。密室の中に遺体と一緒にいた一里之が疑われてしまったのは、鍵がかかっていたからにほかならないのだから。
「あー、駄目だ。全然分からねぇや」
一里之はぽつりと呟くと、壁に寄りかかり、後ろ手を組んで枕がわりにした。結局、覚えていることにも限りがあるし、そこから導き出せる可能性だって、たかがしれている。ここは大人しくコトリ達のことを待つしかないのだろう。
また、しばらくすれば冷たい弁当が出て、就寝時間になって、そして朝が来るのだ。このループからなんとかして抜け出したいが、自分ではなにもできないというのがもどかしい。
一里之は小さく溜め息を漏らすと、そっと瞳を閉じた。徹底的に管理されているという刑務所では、こんなことさえもできなくなるのだろう。そして、このままでは無罪のまま、刑務所に入れられてしまう可能性が高い。
コトリ達がきっとなんとかしてくれる。しかも、今回は斑目にくわえて千早も乗り出してくれているのだ。コトリ達に千早達がくわわれば、鬼に金棒どころの話じゃない。
「頼むぜぇ。お嬢様、猫屋敷――」
ぽつりと漏らした一里之の言葉。それは果たして想いとなり、コトリ達の元に届くのか。
それは、一里之の知らないところで、ゆっくりと動き出していた。
何者かは一里之と、殺害した社長を倉庫へと運び、そしてなんらかの方法で倉庫を密室に仕立て上げた。そして、間抜けにも車で帰ってしまったというわけか。もし、現場に車がないことに、いち早く警察が気づいてくれれば、そこに第三者の存在があったことにたどり着けただろう。そうなっていれば、一里之がこんなところにぶち込まれることもなかったのかもしれない。
「それにしても、あそこには窓ひとつなかったしなぁ」
あまり思い出したくはないが、社長を発見した時のことを思い出してみる。目が覚めて、すぐに倒れている社長を見つけた。部屋の中に窓はひとつもなし。この時点で扉の存在は確認していたが、倒れている人間を優先した。人として当たり前の行動だったと思う。
「で、扉には鍵がかかってたみたいだし――」
ドアノブが何度も空回りするのを見ていた一里之。実際に確認したわけではないが、駆けつけた刑事がそれを確認していたことだろう。密室の中に遺体と一緒にいた一里之が疑われてしまったのは、鍵がかかっていたからにほかならないのだから。
「あー、駄目だ。全然分からねぇや」
一里之はぽつりと呟くと、壁に寄りかかり、後ろ手を組んで枕がわりにした。結局、覚えていることにも限りがあるし、そこから導き出せる可能性だって、たかがしれている。ここは大人しくコトリ達のことを待つしかないのだろう。
また、しばらくすれば冷たい弁当が出て、就寝時間になって、そして朝が来るのだ。このループからなんとかして抜け出したいが、自分ではなにもできないというのがもどかしい。
一里之は小さく溜め息を漏らすと、そっと瞳を閉じた。徹底的に管理されているという刑務所では、こんなことさえもできなくなるのだろう。そして、このままでは無罪のまま、刑務所に入れられてしまう可能性が高い。
コトリ達がきっとなんとかしてくれる。しかも、今回は斑目にくわえて千早も乗り出してくれているのだ。コトリ達に千早達がくわわれば、鬼に金棒どころの話じゃない。
「頼むぜぇ。お嬢様、猫屋敷――」
ぽつりと漏らした一里之の言葉。それは果たして想いとなり、コトリ達の元に届くのか。
それは、一里之の知らないところで、ゆっくりと動き出していた。
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