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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】
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「まだ断定はできませんが……どこに敵が潜んでいるのか分からないと思ったほうがいいかもしれませんね。少なくとも、私達が動くと都合の悪い方は、案外身近にいるのかもしれません」
あえてそれ以上の言及はしなかったが、しかし冥は、身近な人間こそが妨害しようとしていると考えているらしい。だが、妨害しようとする理由が分からない。今回の事件に触れて欲しくない――という理由だけで、あれだけの男達を動員するだろうか。
「まぁ、俺達は俺達のやりたいようにするだけだ。邪魔が入るようなら、蹴散らしてやればいい」
鯖洲の考え方は短絡的ではあるが、今この時ばかりは心強い。それだけの腕っ節があるからこそ言えることなのであろうが、鯖洲がいてくれれば何度かの襲撃くらい簡単に跳ね除けてしまいそうだ。
「ただ、変に目立つことはしないほうがいいでしょうね。特に警察に目をつけられると面倒です。可能な限り目立たないように動きましょう」
あれだけの大立ち回りをしておきながら、目立たないようにするというのは難しい気もする。最善なのは、これ以上何事も起きないということなのだが。
「とりあえず警察は追って来てねぇな。玄界灘、ちょっと先で車を停めるからよ、ナビいじってくれ。ナビ」
今のカーナビは運転中に細かい作業ができないようになっているらしい。確か、寺山もカーナビを操作する際は、わざわざコトリに断りを入れ、路肩に車を停めてから操作をしていた。事故防止のためなのであろうが、中々に不便な仕様でもある。
やはり、パトカーが追いかけて来なかったことは大きいと言える。あの状況であれば、後ろにつかれて事情のひとつでも訊かれそうなものであるが、運良くやり過ごすことができたらしい。
大きめの交差点を抜けた先で、鯖洲が車を路肩に停める。カーナビが操作できるようになると、資料を取り出して目的地を設定する冥。車を停めてから、カーナビが道案内を始めるまで、ものの数分。再び鯖洲はアクセルを踏んだ。このようなスムーズな動きを阿吽の呼吸というのかもしれない。
「さて、ここからはかなり車を走らせることになるな。位置的に遠くはないが、思ったよりも現場となったキャンプ場は山の奥にあるらしい」
現場となったキャンプ場。当たり前だが、コトリは一度も訪れたことのない場所だった。そこで倉庫として使っている建物が、窓辺野不動産の持ち物らしいが、なぜそんなところを会社は所有していたのか。まぁ、娘のわがままに付き合って、事故物件を片っ端から所有していた会社ならば、ちょっと妙な
――俗にいう曰く付きの物件を持っていても不思議ではない。
あえてそれ以上の言及はしなかったが、しかし冥は、身近な人間こそが妨害しようとしていると考えているらしい。だが、妨害しようとする理由が分からない。今回の事件に触れて欲しくない――という理由だけで、あれだけの男達を動員するだろうか。
「まぁ、俺達は俺達のやりたいようにするだけだ。邪魔が入るようなら、蹴散らしてやればいい」
鯖洲の考え方は短絡的ではあるが、今この時ばかりは心強い。それだけの腕っ節があるからこそ言えることなのであろうが、鯖洲がいてくれれば何度かの襲撃くらい簡単に跳ね除けてしまいそうだ。
「ただ、変に目立つことはしないほうがいいでしょうね。特に警察に目をつけられると面倒です。可能な限り目立たないように動きましょう」
あれだけの大立ち回りをしておきながら、目立たないようにするというのは難しい気もする。最善なのは、これ以上何事も起きないということなのだが。
「とりあえず警察は追って来てねぇな。玄界灘、ちょっと先で車を停めるからよ、ナビいじってくれ。ナビ」
今のカーナビは運転中に細かい作業ができないようになっているらしい。確か、寺山もカーナビを操作する際は、わざわざコトリに断りを入れ、路肩に車を停めてから操作をしていた。事故防止のためなのであろうが、中々に不便な仕様でもある。
やはり、パトカーが追いかけて来なかったことは大きいと言える。あの状況であれば、後ろにつかれて事情のひとつでも訊かれそうなものであるが、運良くやり過ごすことができたらしい。
大きめの交差点を抜けた先で、鯖洲が車を路肩に停める。カーナビが操作できるようになると、資料を取り出して目的地を設定する冥。車を停めてから、カーナビが道案内を始めるまで、ものの数分。再び鯖洲はアクセルを踏んだ。このようなスムーズな動きを阿吽の呼吸というのかもしれない。
「さて、ここからはかなり車を走らせることになるな。位置的に遠くはないが、思ったよりも現場となったキャンプ場は山の奥にあるらしい」
現場となったキャンプ場。当たり前だが、コトリは一度も訪れたことのない場所だった。そこで倉庫として使っている建物が、窓辺野不動産の持ち物らしいが、なぜそんなところを会社は所有していたのか。まぁ、娘のわがままに付き合って、事故物件を片っ端から所有していた会社ならば、ちょっと妙な
――俗にいう曰く付きの物件を持っていても不思議ではない。
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