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ケース3 山奥の事故物件【解決編】
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親の会社を利用してまで、事故物件を転々とする御令嬢。しかしながら、事故物件そのものへの執着は薄く、事実謎が解けてしまえばお払い箱だ。
「今日はこれでお開きになりそうですが、その――今度少しばかりお時間をいただけないでしょうか?」
誰かと思ったら冥だった。わざわざ一里之にだけ聞こえるように背後から回り込んでくれたらしい。それにしても、どんな用があるのだろうか。
「勘違いしないでください。別に個人的な理由でお会いしたいわけではありません。そろそろ話しておかなければならない話がありまして……」
勘違いなどしていないのであるが、大抵の男という生き物は、冥のような美人に誘われたら期待するのではないだろうか。あえてキャラを作らずに素で接してくれるから、そんな下心のようなものは抱かなかった。それなりの理由があって、話をする機会を設けようとしているのが分かっていたから。
「あ、はい――別にいつでもいいですよ。さすがに今日はお互い疲れているでしょうから、避けたほうがいいと思いますけど」
一里之が返すと、鯖洲と寺山のほうへと視線をやる冥。
「そちらさえ構わなければ、こちらは今日でも構いません。できることならば、なるべく早くお話をしておきたいのですが」
一応、冥に気を遣ったつもりだったのであるが、しかし余計なお世話だったらしい。
これまでの流れだと、一同でコトリを送り届けて解散という流れになるのだが、今回はそこから冥と話をする場を設けることになる。そもそも、こうして仕事が発生するのは不定期であるし、多少の無理をしたところで、明日からはしばらく休みになるだろう。ちょうど彼女には聞きたいことがあったし、本人が問題ないのであれば、是非とも話を聞かせて欲しいと思う。
「僕も今日で構いませんよ。ちょっと色々と聞きたいこともありますし」
冥がどこまで知っているのかは分からない。しかしながら、少なくとも一里之よりかは知っていることだろう。
――しばらくすると寺山が手配したヘリが到着し、無事に全員がそれに乗って帰ることができた。いつもならば、コトリを送り届けて、それで解散の流れである。鯖洲から変に勘繰られたくなかったから、一度解散してから、改めて冥と合流する手筈となった。
この時の一里之はまだ知らなかった。窓辺野コトリという御令嬢が抱える闇の深さを。
飲み込まれていく。深淵に――。
「今日はこれでお開きになりそうですが、その――今度少しばかりお時間をいただけないでしょうか?」
誰かと思ったら冥だった。わざわざ一里之にだけ聞こえるように背後から回り込んでくれたらしい。それにしても、どんな用があるのだろうか。
「勘違いしないでください。別に個人的な理由でお会いしたいわけではありません。そろそろ話しておかなければならない話がありまして……」
勘違いなどしていないのであるが、大抵の男という生き物は、冥のような美人に誘われたら期待するのではないだろうか。あえてキャラを作らずに素で接してくれるから、そんな下心のようなものは抱かなかった。それなりの理由があって、話をする機会を設けようとしているのが分かっていたから。
「あ、はい――別にいつでもいいですよ。さすがに今日はお互い疲れているでしょうから、避けたほうがいいと思いますけど」
一里之が返すと、鯖洲と寺山のほうへと視線をやる冥。
「そちらさえ構わなければ、こちらは今日でも構いません。できることならば、なるべく早くお話をしておきたいのですが」
一応、冥に気を遣ったつもりだったのであるが、しかし余計なお世話だったらしい。
これまでの流れだと、一同でコトリを送り届けて解散という流れになるのだが、今回はそこから冥と話をする場を設けることになる。そもそも、こうして仕事が発生するのは不定期であるし、多少の無理をしたところで、明日からはしばらく休みになるだろう。ちょうど彼女には聞きたいことがあったし、本人が問題ないのであれば、是非とも話を聞かせて欲しいと思う。
「僕も今日で構いませんよ。ちょっと色々と聞きたいこともありますし」
冥がどこまで知っているのかは分からない。しかしながら、少なくとも一里之よりかは知っていることだろう。
――しばらくすると寺山が手配したヘリが到着し、無事に全員がそれに乗って帰ることができた。いつもならば、コトリを送り届けて、それで解散の流れである。鯖洲から変に勘繰られたくなかったから、一度解散してから、改めて冥と合流する手筈となった。
この時の一里之はまだ知らなかった。窓辺野コトリという御令嬢が抱える闇の深さを。
飲み込まれていく。深淵に――。
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