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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】

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 一里之からの情報を得て、少しばかり考え込む様子を見せるコトリ。

「それって、おかしくありませんこと? 仮にシャワーを浴びている時に、衝動的に自殺願望が湧きあがったとしましょう。でも、普通シャワーくらいは止めると思いますの。ほら、ノズルのホルダーの位置から考えても、シャワーが常に後頭部に当たり続けるような形になりますわ。これから首を吊って死のうとしているのに、シャワーが出続けているのは気持ちが悪いというか、なんだかスッキリしませんわ」

 どうやら、現場のシャワーが出たままになっていたことが引っかかるらしい。確かに、なんとなくシャワーは止めたい気がしなくもない。これから自殺しようという時に、ずっとシャワーが出たままというのも――なんか後味が悪い気がする。あくまでも心理的な部分が強いのだが。

「それと、バスタオルが浴室のほうで見つかっているのも奇妙な話ですわね。例えば、シャワーを浴び終えて、脱衣場に戻る前に体を拭いておきたいと考えた――というのであれば、シャワーは当然ながら止まっていたはず。かと言って、シャワーを浴びてる最中に体をバスタオルで拭いてしまおうと考える方もいないでしょう。ならば、どうしてバスタオルは浴室の中にあったのか」

 警察が自殺であると断定したはずの一件ではあるが、確かに自殺として考えると不自然な点が多い。無論、事故とは考えられないだろう。なによりも、現場に奇妙なものが残り過ぎているのだ。

「とにかく、せっかくですから、すぐに答えを出してしまうのはもったいないですわ。それに、今日はセバスチャン達とお泊まりですわよ。あれですわ。お枕投げをしますわ。お枕投げをご存じ?」

 ついさっきまでロジカルモードにスイッチが切り替わっていたというのに、またスイッチが別のところに入ってしまうコトリ。無邪気に振る舞うが、いい大人が枕投げではしゃぐというのはどうかと思う。

「ま、まぁ――知ってますけど」

 一里之が答えると、目をキラキラと輝かせるコトリ。

「でしたら、お枕投げますわよ! 一里之君が寝静まった頃を見計らって――」

 それ、どんな枕投げだ。一里之が思い描いているものと、コトリが思い描いているものが一致していないようだ。少なくとも、一里之の知っている枕投げでは、相手の寝首をかくようなステルス要素はなかったはずだ。

「いや、それ多分――なんか違う遊びですよ」
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