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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【プロローグ】
ケース2 干しかんぴょう殺人事件【プロローグ】1
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【1】
「――干しかんぴょう事件? おいおい、そいつは死んだ奴も浮かばれねぇなぁ」
内覧の帰り道、色々と事情を聞かされた一里之は、とりあえず鯖洲に電話をかけることにした。本当なら、直接コトリお嬢様へと連絡するべきなのかもしれないが、不覚なことに彼女の連絡先を聞きそびれていた。冥は相変わらず電話に出ないし、となると鯖洲くらいしか電話をかける相手がいないわけだ。
「笑いごとじゃないですよ。あの家は――かんぴょうの呪いをかけられてしまったらしいです。売主の袴田さんが力説してましたから」
妻を先に亡くし、取り残されてしまった家主である袴田。事前にそこが事故物件であるということは知っていた一里之は、どのようにして事情を引き出そうかと悩んでいた。しかし、それは通り越し苦労というものであり、内覧の間に大方の話を聞くことができたのだった。
物件は2階建ての一軒家。古き良き日本家屋といった具合であり、築年数の割に綺麗だった。外はもちろんのこと、中も綺麗にされていた。そして、事件が起きたのは……1階の風呂場らしかった。
その風呂場で、妻が首を吊って亡くなった――。
袴田からその言葉を聞いた時、正直なところまた首吊りかと思ってしまった。前回のホテルの事件でも首吊りで人が亡くなっていたから、なんというかバリエーションが偏っているように思えたのだ。もっとも、このようにご都合主義ではいかないのが現実というものなのであろう。まさか2連続で首吊りがあった事故物件に出会うことになるとは。
袴田はその日、友人を訪ねて出掛けており、帰りは夜の10時を過ぎていたそうだ。家を出たのが朝の8時頃だったらしく、実に12時間以上ぶりの帰宅だった。
どれだけ遅くとも、帰れば出迎えてくれるはずの妻であったが、その日はどういうわけか妻が出迎えてくれなかった。それどころか、普段はしっかりと施錠をしているはずなのに、その日に限って玄関の鍵が開いていた。不審に思った袴田は家の中を探し回り、そして風呂場で首を吊った妻の姿を発見した。
普通、風呂場に首を吊れるような場所などないように思えるが、どうやらシャワーのノズルをかけるホルダーにタオルを巻き、首を吊ったようだった。
救急車を呼んだがすでに妻は事切れていた。そして、警察の調べで、その日の日中に3人の訪問者が妻と会っていたことが明らかとなった。
「――干しかんぴょう事件? おいおい、そいつは死んだ奴も浮かばれねぇなぁ」
内覧の帰り道、色々と事情を聞かされた一里之は、とりあえず鯖洲に電話をかけることにした。本当なら、直接コトリお嬢様へと連絡するべきなのかもしれないが、不覚なことに彼女の連絡先を聞きそびれていた。冥は相変わらず電話に出ないし、となると鯖洲くらいしか電話をかける相手がいないわけだ。
「笑いごとじゃないですよ。あの家は――かんぴょうの呪いをかけられてしまったらしいです。売主の袴田さんが力説してましたから」
妻を先に亡くし、取り残されてしまった家主である袴田。事前にそこが事故物件であるということは知っていた一里之は、どのようにして事情を引き出そうかと悩んでいた。しかし、それは通り越し苦労というものであり、内覧の間に大方の話を聞くことができたのだった。
物件は2階建ての一軒家。古き良き日本家屋といった具合であり、築年数の割に綺麗だった。外はもちろんのこと、中も綺麗にされていた。そして、事件が起きたのは……1階の風呂場らしかった。
その風呂場で、妻が首を吊って亡くなった――。
袴田からその言葉を聞いた時、正直なところまた首吊りかと思ってしまった。前回のホテルの事件でも首吊りで人が亡くなっていたから、なんというかバリエーションが偏っているように思えたのだ。もっとも、このようにご都合主義ではいかないのが現実というものなのであろう。まさか2連続で首吊りがあった事故物件に出会うことになるとは。
袴田はその日、友人を訪ねて出掛けており、帰りは夜の10時を過ぎていたそうだ。家を出たのが朝の8時頃だったらしく、実に12時間以上ぶりの帰宅だった。
どれだけ遅くとも、帰れば出迎えてくれるはずの妻であったが、その日はどういうわけか妻が出迎えてくれなかった。それどころか、普段はしっかりと施錠をしているはずなのに、その日に限って玄関の鍵が開いていた。不審に思った袴田は家の中を探し回り、そして風呂場で首を吊った妻の姿を発見した。
普通、風呂場に首を吊れるような場所などないように思えるが、どうやらシャワーのノズルをかけるホルダーにタオルを巻き、首を吊ったようだった。
救急車を呼んだがすでに妻は事切れていた。そして、警察の調べで、その日の日中に3人の訪問者が妻と会っていたことが明らかとなった。
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